帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「朝焼けの死闘」

「朝焼けの死闘」
ウルトラマンギンガS』第8話
2014年9月2日放送(『新列伝』第62話)
脚本 小林雄次
監督 田口清隆

 

EXレッドキング(SD)
身長 14cm~49m
体重 150g~2万4千t
ギンガにウルトライブできなくなったヒカルがショウからスパークドールズを借りてウルトライブした。
市街地を破壊するファイブキングと戦うも倒されてしまう。

 

宇宙怪獣エレキング(SD)
身長 14cm~53m
体重 150g~2万5万t
ギンガにウルトライブできなくなったヒカルがショウからスパークドールズを借りてウルトライブした。
市街地を破壊するファイブキングと戦うも倒されてしまう。

 

宇宙ロボットキングジョーカスタム(SD)
身長 14cm~55m
体重 150g~5万t
ギンガにウルトライブできなくなったヒカルがショウからスパークドールズを借りてウルトライブした。
市街地を破壊するファイブキングと戦うも倒されてしまう。

 

超合体怪獣ファイブキング(SDU)
身長 75m
体重 5万5千t
エクセラーがこれまで集めたビクトリウムのエネルギーを使って、ファイヤーゴルザ、ガンQ、メルバ、レイキュバス、超コッヴのスパークドールズを合体強化させて生み出した。
構成する怪獣の能力を駆使して一度はギンガとビクトリーを倒すが、皆の協力で復活したギンガとビクトリーとの再戦では背中の結晶体と各部位の怪獣達を次々に破壊され最後はギンガストリウムのストリウム光線で倒された。

 

物語
エクセラーのファイブキングに敗北したギンガとビクトリー。
地球滅亡の危機が迫る中、地球に住む者達が力を合わせたギンガとビクトリーの復活作戦が始まる。
一方、ライブベースで一度は倒されたワンゼロは……。

 

感想
合体怪獣のファイブキングは構成している怪獣の力を使う時に「○○の力!」と言うのが分かり易くて良かった。
ギンガストリウムと同じ言い回しなのだが、ギンガストリウムが一度に一人の能力しか使えないのに対しファイブキングは一度に複数の能力を使える事が出来る。

 

ファイブキングの猛攻からヒカルとショウの命を救う為にギンガとビクトリーはウルトライブを強制解除。ヒカルとショウを失って抜け殻となったギンガとビクトリーがライブベース前に置かれる事となった。
このウルトライブが解除された時にスパークドールズに戻る場合と実体化したまま残る場合の基準と言うのがイマイチ分かり難い。

 

ビクトリーがショウのウルトライブを強制解除した事でビクトリー自身の意思がある事が判明。
これまで自ら動く事も喋る事もしていなかったので、ティガのように力だけが残っている状態なのかと思っていたので、ここで実は意思があったと分かったのは驚きだった。
出来ればビクトリーにも喋ってほしかったところ。

 

最強の力は最高の頭脳を持つ自分にこそ相応しいとしてエクセラーはビクトリウムを譲渡するようビクトリアンに迫る。
高い知能を持っていながら肉体は弱いと言うコンプレックスがエクセラーをチブローダー、ファイブキング、ルギエルと言った強い肉体へと執着させたようだ。
ところでこのエクセラーのビクトリアンへの脅しの場面でファイブキングが宙に浮いている。こういう二足歩行の重量級怪獣が空に浮いている場面と言うのは今までありそうで意外と無かったと思う。こういう映像が作れるようになったところに、さり気ないが技術の進歩を感じる。

 

ヒカルに連れられてライブベースにやって来たショウ。
ここでショウがビクトリアンであるとUPGの皆に知られ、ビクトリアンはビクトリウムを封印して守護する事が使命であると語られる。
ショウによるとビクトリウムは遥か昔から存在する地球の生命そのもので、失われれば地球は滅び去ってしまうとの事。作品世界が違うが『A』の「さようなら夕子よ、月の妹よ」でルナチクスにマグマを吸い尽くされた月が滅亡したと言うのもこれと似たような事だったのかもしれない。

 

エクセラーにビクトリウムを全て奪われたら地球が滅びる。ここに遂に地上人と地底人が力を合わせて戦う事となった。
そして「ビクトリウムとスパークドールズはエネルギー波動が似ている」「マグネウェーブ作戦でUPGも理論上はビクトリウムのエネルギーを扱う事が出来るようになった」「シェパードンの背中のビクトリウムには通常の何十倍ものエネルギーが秘められている」からシェパードンのビクトリウムのエネルギーをUPGのマグネウェーブで吸い上げてギンガとビクトリーに照射すると言うウルトラマン復活作戦が立案される。
これは『セブン』の「セブン暗殺計画 後編」から続くウルトラシリーズ定番の展開。色々な要素を繋ぎ合わせてのヒーロー復活は何度見ても盛り上がる。

 

自己修復で再起動したワンゼロはライブベースの爆破に失敗した事を報告。それを聞いたエクセラーは最後の使命だと言ってワンゼロに仕組まれたレプトン爆弾を起動させる。
エクセラー「いらないんだよ! 貴様のような使えん駒は! 人間もろとも消え失せろ! このガラクタ!」。
それを聞いたワンゼロはショックを受けながらもライブベースのエネルギールームに向かい、自身のレプトン爆弾を使って雫が丘を跡形も無く消し去ろうとする。
そこにヒカルとショウが阻止しに来て、ワンゼロは「邪魔をするな! 私は最後の使命を果たす」と戦いを挑む。個人的にはここは後の神山長官絡みの話もあるので、もう一度アリサに来てワンゼロと戦ってほしかった。

 

今までエクセラーは失敗を重ねるワンゼロに最後のチャンスだと言いながら起用を続けてきたしボルストの勝手も許していた。それはいざとなった時に自身にはワンゼロやボルストを止める肉体的な力が無かったからであろう。ワンゼロの機能を止めたりボルストをスパークドールズに戻す手立てくらいは用意してあると思うが、ワンゼロやボルストが反逆した場合、エクセラーが絶対に倒されないと言う保証は無い。
又、エクセラー自身に戦闘力が無いので、いくら失敗しようが勝手であろうが結局はワンゼロとボルストと言う実行部隊がいなければ計画を進められないと言う部分もあった。
しかし、今はファイブキングと言う強大な肉体を手に入れ、全てを自分一人で実行できるようになった。先程のワンゼロに対する仕打ちもだが、その後もエクセラーは約束を破って夜明け前に地上を攻撃するわとやりたい放題に暴れるようになった。

 

ファイブキングによる市街地破壊シーンは素晴らしい出来。
『ギンガS』は『ギンガ』と同じ程度の予算らしく、昔に比べて予算は抑えられているらしいが、完成された映像を見ると平成三部作と遜色が無いレベルに仕上がっていて驚かされる。

 

ギンガにウルトライブできなくなったヒカルだがショウからスパークドールズを借りて怪獣達にウルトライブする。ここは『ギンガ』時代の設定を使って盛り上がる場面に仕上がった。
ギンガの前に怪獣にライブしても結局最後はギンガにライブして勝利しなくてはいけないので先にライブした怪獣が噛ませ犬扱いになると以前に書いたが、それなら逆にきっちりとヤラレ役にしてファイブキングの強さを引き立てたのが良かった。
「ギンガの力は無くとも怪獣の力はある!」、
「駒じゃない! 怪獣は戦いの駒なんかじゃない! 俺達に力を貸してくれる大切な仲間だ!」。
以前も書いたが、ここでのヒカルの怪獣への信頼と言うのは最初にウルトライブしたのがギンガと言うウルトラマンではなくてブラックキングと言う怪獣だったからこそ出て来るものだと思う。

 

ショウとワンゼロの戦い。
ショウ「そんなになってまで、お前は何の為に命を張っているんだ!」、
ワンゼロ「私に命など無い! これが私の使命だ!」、
ショウ「お前は今、ここで生きているじゃないか!」。
ショウの言葉を理解できないワンゼロ。
ショウ「ただ駒にされ、裏切られ、そんな運命に何故お前は抗おうともしないんだ!」、
ワンゼロ「黙れぇー!!」。
そしてショウはビクトリウムの水晶を握った拳でワンゼロを撃破。
ビクトリウムの力か、ワンゼロのレプトン爆弾は作動しなかった。
この時のワンゼロの崩れ落ちる場面が凄くて思わず「大丈夫か!?」と役者さんを心配してしまった。ワンゼロの一連の場面は迫力があって演じた最上もがさんのプロ根性に感動した。

 

復活したギンガとビクトリーの再戦。
これまで複数のウルトラマンが登場して戦う時は横に並んで同時に攻撃をするのが殆どであったが、今回は二手に分かれて一人が相手の注意を引き付けている隙にもう一人が反対側から攻撃すると言うのを繰り返すヒット・アンド・アウェー戦法がとられた。
今回のファイブキング戦は複数のウルトラマンが合体怪獣に挑む構図としては完璧と言って良い見事な戦いの組み立て方であった。

 

21世紀に入って日本のヒーロー作品はヒーローのフォームやアイテムが増え、最近はそれら全フォームと全アイテムを駆使した総決算的な戦いも作られるようになったが、今回は「ヒカルは怪獣にもウルトライブできる」「ギンガストリウムに強化変身したらウルトラ兄弟の技を使える」「ウルトランスで怪獣の能力が使える」と言った設定を使って短い時間に次々とヒーロー側が持っている技を無理無く出してきた。
単にフォームやアイテムを出すのではなく、ちゃんと戦いの流れに沿って出していて、近年の日本のヒーロー作品におけるヒーローの技全出し戦の中でもかなりレベルの高い戦いであった。

 

勝利した喜びのあまりアリサにキスをしようとして叩かれて蹴られるゴウキ。
気のせいか、この辺りからゴウキはセクハラおやじっぽいところが見られるようになる。

 

戦いに勝利し朝焼けに飛んで行くギンガとビクトリー。
ウルトラシリーズらしい映像であるが、そう言えば、実際にこの映像を見る事って意外と無かった気がする。

 

これにて『ギンガS』の前期が終了。
ファイブキングは倒されたがエクセラーは生き延びていて、この後の『新列伝』第63話と第64話の「チブル星人エクセラーのファイブキング超解析」ではスパークドールズから戻ったボルスト相手にファイブキングについての説明を行っている。

 

 

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