帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「黒き王の祝福」

「黒き王の祝福」
ウルトラマンオーブ』第12話
2016年9月24日放送(第12話)
脚本 黒沢久子
監督 田口清隆

 

大魔王獣マガオロチ
身長 70m
体重 8万t
オーブとの戦いの後、しばらく眠っていたが、再び目覚めて街を破壊する。
サンダーブレスターの前には手も足も出ず無残に倒されてしまった。

 

物語
マガオロチによって倒されてしまったオーブ。
マガオロチに対抗する為にSSPはタマユラ姫を復活させようとするが……。

 

感想
今回の隠されたサブタイトルは『初代マン』の「怪獣無法地帯」。
ジェッタが言っている時はまだ無法地帯にはなっていなかったが、後に東京は無法地帯の如く破壊されてしまう事になる。ただし、それは怪獣によるものではなくてウルトラマンであるオーブのサンダーブレスターによってであったが。

 

ナオミと母親の会話を聞くと、ナオミの母親は光の巨人の夢を見ていないようだ。だが、ナオミの母親もナターシャの子孫なので彼女も光の巨人の夢を見ていてもおかしくはない。ひょっとしたらナオミの母親も幼い頃は光の巨人の夢を見ていたのだが、それを重要視しなかった為にやがて忘れてしまい、逆にナオミはその夢を自分にとって大事なものだと考えた為にずっと夢を見続ける事が出来たのかもしれない。

 

前回敗れたガイを見下ろしてジャグラーは「なんかお前格好悪いな。お前、本当格好悪いからさ、せめて自分の負けを認めて俺の勝ちを讃えろよ」と挑発する。
この「大事な人を守れなかった格好悪い存在」「自分の負けを認めて相手の勝ちを讃える事が出来ない存在」と言うのは実はジャグラー自身にも当てはまる。
ここでジャグラーがガイを挑発する言葉がそのままジャグラー本人に返ってくるのだとしたら、最後にジャグラーがガイに言った「負け犬の遠吠えか」はまさに現在のジャグラーを表している言葉と言える。
ジャグラーは「大事な人を守れず」「自分の負けを認める事が出来ず」「負け犬の遠吠え」をしている人間なのだ。

 

SSPが入らずの森にあった石碑を元に戻してもタマユラ姫は復活せず、ナオミの母が大地に種を蒔いて水を掛けた事でタマユラ姫は復活した。タマユラ姫の復活をナオミの母はあまり驚いていなかったようだけれど、タマユラ姫について何か分かっていたのかな?
マガオロチと続くマガタノオロチは「八岐大蛇」をモチーフにしていて、その退治には「お酒」が必要である。そして夢野家は「酒造」を家業としている。もしかしたら、夢野家とマガオロチやマガタノオロチは何か関係があるのかもしれない。

 

復活したタマユラ姫は前回破られたゾフィーのウルトラフュージョンカードとそれを破るのに使用されたベリアルのウルトラフュージョンカードをガイに渡す。
ガイはベリアルのウルトラフュージョンカードをオーブリングでリードしようとするが抵抗されてしまう。カードの状態でも光に抵抗するベリアルがさすが。
ガイはウルトラマン達をさん付けで呼んでいるが、ベリアルもさん付けで呼んで敬語で話しかけるのはさすがにおかしくて笑った。

 

かつてのナターシャのように目の前でタマユラ姫を失ったガイは怒りを爆発させてベリアルのウルトラフュージョンカードをオーブリングでリードする。これはガイが怒りで闇に近くなったのか、それともガイの怒りを感じたベリアルがガイに力を貸してくれたのだろうか……?

 

フュージョンアップの場面ではガイの両隣にいるウルトラマンは同じ動きをするのだが、ベリアルの無茶苦茶な動きにシンクロして無茶苦茶に動くゾフィーが面白かった。この場面を見るとガイだけでなくゾフィーもベリアルの闇の力に振り回されているようだ。

 

サンダーブレスターはゾフィーとベリアルの力で構成されている。
目の形のせいでベリアルの印象が強いように見えるが、よく見ると体全体のデザインはゾフィーとベリアルの要素をバランス良く混ぜている事が分かる。
それにしてもどうしてベリアルの相手がゾフィーだったのだろうか? ゾフィーは実際にベリアルと戦って負けているし、カードの状態でも前回の「大変! ママが来た!」でベリアルのカードで粉々にされている。これがゾフィーではなくてウルトラの父だったらベリアルの闇の力の暴走を押さえられた気がするのだが……。(ただ、ベリアルは父とのフュージョンアップは断固拒否するだろうけれど)

 

『ティガ』でタイプチェンジが取り入れられてからウルトラマンは様々なフォームが登場したが、サンダーブレスターは見た目も動きもこれまで登場したウルトラマンのフォームとは全然違っていた。
こう言う暴走フォームは仮面ライダーに多く見られるが、それを取り込んだ事でウルトラマンはこれまでとは違う展開を見せるようになった。

 

現在の視点で昭和のウルトラ作品を見ると暴力的だったり過激だったりする場面もあるが、当時はそれを意識して描いてはいなかったと思われる。時が過ぎて平成になると、そう言う暴力的なもの過激なものは批判されて排除されるようになっていった。今回はそう言う昭和時代には普通にあって平成時代には意識して外された暴力的なもの過激なものを意識して描いている。

 

「なんでだよぉ、ガイ! なんなんだよぉ! 一度くらい俺に勝たせろよぉ、この野郎ぉ!!」。
今まで飄々としたり皮肉ったり狂った振りをしたりと色々してきたけれど、おそらくこれが現時点でのジャグラーの本音なのだろうなぁ。
ガイの勝利に思い切り悔しがるジャグラーだったがすぐに「あ……」と諦めたように脱力している。どんな事をしてもガイには勝てず悔しい一方で自分はどんな事をしてもガイには勝てないとどこかで諦めている。この「諦め」は後の伏井出ケイや霧崎には無い部分であり、伏井出ケイや霧崎と違ってジャグラーは生き延びる事になった一つの要因となる。

 

前回のマガオロチの強さも凄かったが今回のサンダーブレスターはそれを上回る凄さであった。自分は最初にこの戦いを見た時は正直言って途中ちょっと引いた……。まさかウルトラマンでここまでの暴力を描くとは思っていなかった。

 

 

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