帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ネバー・セイ・ネバー」

「ネバー・セイ・ネバー」
ウルトラマンオーブ』第15話
2016年10月15日放送(第15話)
脚本 小林弘利
監督 アベユーイチ

 

シビルジャッジメンターギャラクトロン
身長 61m
体重 6万1千t
食物連鎖と言う間違った進化を選んだ地球の生態系全てをリセットしようとする。
右手を切り離して遠隔操作で攻撃する事が出来る。
ギャラクトロンスパークで周囲を焦土に変えた。
一度はオーブに勝利するが、サンダーブレスターの暴力の前には敵わず、最後はゼットシウム光線で破壊された。

 

物語
オーブをも退けたギャラクトロンは地球の生態系そのものをリセットする事を宣言する。
ギャラクトロンを倒す為、ガイは再びベリアルのカードを使う決意をするが……。

 

感想
今回のタイトルである「ネバー・セイ・ネバー」は劇中でナオミが言ったように「出来ないなんて言わないで」と言う意味で、科学やオーブの暴走を止められないと感じたシンやガイに向けた励ましの言葉であるが、一方で「ネバー・セイ・ネバー」には「ありえないなんて事は無い」と言う意味もあって「ウルトラマンが人間に危害を加えるなんてありえないと言う事は無い」と言う解釈も出来る。

 

今回の隠されたサブタイトルは『G』の「永遠なる勇者」。こちらも人間の文明をリセットしようとする存在が出てくる。
因みにガイがサンダーブレスターにフュージョンアップする時に「闇と光の力」と言っているが『ギンガ』の「闇と光」は今回の隠されたサブタイトルの答えではなかった。まぁ、ウルトラシリーズのサブタイトルは『ティガ』の「」とか「」とか『Qdf』の「」とかあるので、こう言ったものはさすがに外して考えるべきなんだろうな。

 

「人間の文明から争いが無くならないのは、この星の残虐な自然界を模倣しているからだ。この宇宙には最初から有り余る程のエネルギーが満ちている。別の生物からエネルギーを奪わずとも済むように全てがデザインされている。だが、この星の生態系は自分の命を長らえさせる為に他の命を奪い、この星そのものも傷付け疲弊させ天然資源を掘り尽くすような低レベルの文明を良しとしている。耳が痛いか? だから君達は耳を塞ぐ。都合が悪いからと無視する。だが、この星は君達の都合で存在しているのではない。よって、この星の文明と食物連鎖と言う間違った進化を選んだ生態系を全てをリセットする」。
食物連鎖が無い生態系ってあり得るのか?と思ったが、そう言えば、光の国のウルトラマン達は今は食物連鎖から外れているのかな? 地球人に変身したダンやミライは食事を取っているがウルトラマンの姿で何かを食べている場面は(CM等は除いて)見た事が無い。
他には『メビウス』の『ヒカリサーガ』に登場したアーブの民も食物連鎖は関係無い存在になっていたが、こちらは最後に食物連鎖の権化と言えるボガールに食い尽くされてしまっている。

 

「平和が望みなら他の星の女の子を拉致ったりするなよ!」と言うジェッタの言葉を聞いたギャラクトロンは考え込んでしまう。ひょっとしたらギャラクトロンもここで自分の使命と行動の矛盾に気が付いたのかもしれない。
このギャラクトロンの使命と行動のズレについては『ジード』の劇場版『つなぐぜ! 願い!!』で答えが明かされる事になる。

 

ギャラクトロンのギャラクトロンスパークによる被害が予想を遙かに超える大きさで驚いた。この数週間前にはマガオロチが暴れていたし、SSPがある街とその周辺はこの数ヶ月間でとんでもない事になっていそう。

 

今回のガイはフュージョンアップする時に破壊する者であるベリアルのカードを最初にリードしている。今の彼が何の力を求めているのかが思わず出てしまったと言える。

 

相手を倒す事を考えすぎた為に守るべき人を傷付けてしまったと言う展開は過去にも『レオ』の「大沈没! 日本列島最後の日」であった。しかし、ここでのレオはあくまで「周りに被害が及ぶ事まで考えが回らなかった」であったが、今回のサンダーブレスターは「邪魔だ」と言わんばかりに目の前にあったゼットビートルを叩き落としている。暴走状態とは言えウルトラマンが人間を攻撃する展開はかなりの衝撃であった。幸いにもパイロットは無事であったが、これまでウルトラマンが踏み越えなかった一線を今回のサンダーブレスターは踏み越えてしまったと言える。

 

ギャラクトロンの頭部のギャラクトロンシャフトを力尽くで無理矢理引き千切るサンダーブレスター。見ていて「残虐だな……」と思うが、そう言えば初代マンはこう言う戦い方が多かったなぁ。

 

サンダーブレスターのカラータイマーが点滅したのを見て「オーブはもうすぐ消えてくれます」と呟くシン。
『初代マン』の「恐怖の宇宙線」のように怪獣に悪意が無かったり破壊活動をしていない場合ならともかく、先程まで街を破壊しまくっていた怪獣相手でありながら劇中の人物も視聴者も早くウルトラマンが退場する事を望んだのはこの回くらいであろう。

 

ギャラクトロンは最初が綺麗な純白だっただけに最後は油で真っ黒に汚れたのはギャップがあって印象に残った。

 

ギャラクトロンが倒される直前にサンダーブレスターに向けて音を鳴らしていたけれど、あれはどういう意味があったのだろうか? 前回の「暴走する正義」でジェッタとシンが喧嘩している時にも流していたが、それとは別に街を破壊する時にも流しているし……。単にオーブとコミュニケーションを取ろうとしたがナオミとのシンクロが切れてナオミの口を使って言葉を伝えられなくなったので音を使ったのだろうか?
もし、あの音が命乞いだとするのなら、映画『2001年宇宙の旅』のHAL9000を思い出す。

 

「機械は体温を測れても想いの熱さは測れない」、
大自然は争っているんじゃなく、支え合っているんだ」、
「この星はバラバラに生きる道じゃなく、協力し合って一つのデッカい命として生きる道を選んだんだ」。
小舟さんの熱い言葉!
理屈で考えたらシンが出した結論のようにギャラクトロンの言い分の方が正しいのかもしれないけれど、そう言う理屈を吹き飛ばす熱さがある台詞。こう言う台詞は喋り方で説得力が全然違ってしまうので、今回は『ダイナ』のヒビキ隊長も演じた木之元亮さんを小舟さん役にしたのは大正解であった。

 

高速移動で誰にも知られずにナオミの病室に入るガイ。
何人かのウルトラマンは人間の状態でも特殊能力を使えるけれど、高速移動を使って部屋に入ると言うのは意外と少ないかな。

 

コフネ製作所が作った緊急脱出用のバネがゼットビートルのパイロットを救った。
これでオーブも人殺しにならずに済んだので、コフネ製作所の科学はオーブをも救ったと言う事が出来る。

 

ガイの「俺は……オーブを許せない」は自分自身を許せない自分の力を許せないと言う意味で、ジェッタの「俺も……オーブは味方だって信じてきたのに」は幼い頃から憧れてきたヒーローと言う偶像への失望となっている。
ジェッタがヒーローに求めているものは単なる強さや格好良さだけでなく人としての立派さも含まれている事が「ニセモノのブルース」を見ると分かる。だからジェッタはオーブの敗北よりもオーブが過ちを犯した事の方がショックだったのだ。

「科学と同じだ。強力なパワーを作り出した途端、破壊と暴力に飲み込まれてしまう。そんな闇に制御が効かなくなる。自分の闇ってのはな、力尽くで消そうとしちゃいけねぇんだ。逆に抱き締めて、電球みたいに自分自身が光る。そうすりゃあ、ぐぐっと360度、どこから見ても闇は生まれねぇ」。
小舟さんが言った「自分の闇を抱き締める」は最終回の「さすらいの太陽」、さらにはジードの最終回「GEEDの証」にまで続く話となる。

 

ナオミの意識が戻ったのを確認したガイは「俺は消える……。また逃げたんだと思ってくれても良い。今の俺は、アンタのそばにはいられない」と言い残して姿を消してしまう。

 

「闇を抱き締める……。そんな強さを、俺は見付けられるのか?」。

 

今回の話はアベ監督の現時点でのウルトラシリーズ監督最終作となっている。

 

 

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