帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「きらぼし ~煌星~」

episode1 きらぼし ~煌星~」
ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』第1話
2016年12月26日配信(第1話)
脚本 小林弘利
監督 小中和哉

 

クグツキングゲスラ
身長 68m
体重 2万1千t
惑星ザインに捕らえられていたキングゲスラがベゼルブからクグツの毒を打ち込まれて変異した。
クグツアーストロンと戦い敗北する。

 

クグツアーストロン
身長 60m
体重 2万5千t
惑星ザインに捕らえられていたアーストロンがベゼルブからクグツの毒を打ち込まれて変異した。
クグツキングゲスラと戦い勝利する。
上昇したクグツ濃度はクイーンベゼルブに送り込まれた。

 

宇宙悪魔ベゼルブ
身長 2m~50m
体重 400kg~4万t
惑星カノンの衛星軌道を周回して脅しをかける一方、惑星ルーリンを荒らしていた。
尻尾の針から打ち込んだクグツの毒で生物を操る事が出来、惑星ザインでキングゲスラとアーストロンをクグツキングゲスラとクグツアーストロンに変異させた。
惑星ルーリンを荒らしていた個体は火球を使って一度はオリジン・ザ・ファーストを倒すが、再戦ではジャグラーのアドバイスを受けたオリジン・ザ・ファーストのオリジウム光線で倒された。
名前の由来は悪魔「ベルゼブブ」かな。

 

宇宙悪魔クイーンベゼルブ
身長 60m
体重 4万4千t
惑星ザインでベゼルブの群れの頂点に立っている。
サイキの指示で動き、ベゼルブを使ってクグツキングゲスラとクグツアーストロンを作り出した。

 

物語
惑星O-50にある戦士の頂に辿り着いたガイとジャグラー
そこでジャグラーは光に選ばれなかったが、ガイは光に選ばれてウルトラマンオーブとなる。
ウルトラマンになったガイに与えられたファースト・ミッションとは?

 

感想
本作は『オーブ』のスピンオフ作品としてAmazonプライム・ビデオで配信された。
2016年から2017年にかけてAmazonプライム・ビデオはヒーロー作品に力を入れていて、2016年4月から『仮面ライダーアマゾンズ』が配信され、ウルトラシリーズも12月から本作が配信された後、翌年の2017年4月からは平成ウルトラシリーズを取り上げた『ウルトラマン ザ・プライム ~平成ウルトラ激闘編~』が配信されている。

 

闇の刃」でチラッと出たガイが光に選ばれる場面が今回描かれている。ただし「闇の刃」と本作とではいくつか違いがある。本作のガイはかなりボロボロのフラフラなのだが「闇の刃」のガイは落ち着いて余裕がある感じになっている。「闇の刃」ではジャグラーの回想シーンになっていたので、ひょっとしたら、ガイへのコンプレックスを抱えるジャグラーが無意識のうちに記憶を改変していたものなのかもしれない。

 

惑星O-50にある戦士の頂。その頂上に燃える光は優れた資質を持つものを見極め光の戦士となる力を授けるとの事。
ウルトラマンが誕生する場所と言えば光の国が有名だが、光の国出身と設定するとウルトラ兄弟達との関係等も色々と考えなくてはいけなくなってしまう。これは他の場所でも同じで例えば出身地をU40に設定するとどうしてもジョーニアスとの関係が注目されてしまう。(その辺りで色々と大変だったのが『タイガ』)。
だからなのか、出身地が設定されていなかったり謎のままだったりするウルトラマンが意外と多い。平成ウルトラシリーズではコスモスやネクサスの詳しい出身地は不明である。ティガは超古代に星雲からやって来たと説明されているが、その星雲はどこなのかは語られておらず、ダイナも映像作品では光がどこから来たのかは説明されていない。ニュージェネレーションシリーズでもギンガは未来と言う漠然とした事しか明かされていないし、ビクトリーも地球の地底に来る前の情報は無く、エックスに至っては完全に謎である。
『オーブ』では久し振りに「O-50」と言う明確な場所が設定された。このO-50の戦士の頂の設定は使い勝手が良く、平成ウルトラのように光を得た人間の話も出来るし、昭和ウルトラのように宇宙人としてのウルトラマンの話も出来る。又、ウルトラマンを誕生させるシステムだけがあると言う設定なので、光の国のウルトラ兄弟のような昔からの人間関係と言ったものが生まれず、同じO-50出身のウルトラマンでもお互いの面識が無いと言う状態も作れるようになった。又、長い歴史がある故に昔からのイメージを崩すのが難しい光の国と違ってO-50は問題点や暗黒面を設定する事もやりやすかった。(そのせいか、ウルトラシリーズの世界の中でもとんでもない世界になってしまったが……)

 

戦士の頂の光からウルトラサインのような文字が現れる。
ウルトラサインと違うのは一つの大きな文字の中に小さな文字がビッシリと詰め込まれているところ。これなら一文字にたくさんの情報が詰め込まれているのも納得できる。

 

戦士の頂の光から発せられたサインを読んだジャグラーは「成すべき事を伝えている。お前に、いや、俺達に」と言う。その後に「ガイのサポートをしろと言うのなら従う」と言っているので、戦士の頂の光はガイをオーブに選んで、ジャグラーにガイのサポートを命じたと考える事が出来る。
のだが、ちょっと気になる点がある。ジャグラーがサインに書かれていたミッションの内容を説明する時に「お前の任務はベゼルブを操る黒幕を捕らえる事」と言ってガイに「俺達の任務だろ?」と訂正されるくだりがある。ガイはサインをちゃんと読めなかったと言っているので、ガイは先程ジャグラーが言った言葉を聞いて「俺達の」と言ったのだろう。しかし、果たして本当にサインには「ガイとジャグラーの二人」と書いてあったのだろうか? 実はサインにはオーブに選ばれたガイにだけミッションが与えられていて、ジャグラーには全く触れられていなかったのではないのだろうか。そして、オーブに選ばれなくて自身の存在理由が揺らいでいるジャグラーは「自分にはガイのサポートと言う任務が与えられた」と言う嘘を吐いてその場を取り繕ったのではないだろうか……。

 

王立惑星カノンでは女王は戦神に変身して戦えるとなっている。なので、サイキがベゼルブを使って脅迫してきても王立防衛軍将軍のライゴウはアマテ女王が戦神に変身すれば神話のように敵を駆逐できると言えた。
このような血筋で変身者が決まるのは『ティガ』の古代英雄戦士や『ギンガ』の選ばれし者があるが、どちらも最終的には血筋は関係無いと言う話になっている。
アマテのように戦える能力があっても戦う意思が無ければ変身能力を持っていても意味が無くなってしまう。アマテを戦神に変身させて戦わせる事が出来なかったライゴウは「あんな臆病な小娘が我らの最終兵器とはな」と愚痴っていたが、今回は血筋で戦える者が決まる事の問題点を示している。

 

戦神に変身して戦う事を拒んだアマテは戦争を回避する為に近衛隊隊長のシンラにサイキとの交渉を頼む。
惑星ザインでサイキは暴力で解決する人間を野蛮人と馬鹿にする。それを聞いたシンラはいきなりよその星を脅迫する人間は野蛮人ではないのかとサイキを皮肉る。
これに対してサイキはあらゆる生物はクグツの毒によってベゼルブに操られる、ベゼルブはクイーンベゼルブの支配下にある、クイーンベゼルブはサイキの指示で動くと言うのを見せ、全ての生命がクグツの毒によって操られるのとシンラが星を愛する心と女王への忠誠心と言う毒によって操られているのは同じで、同じ構図なら争いの無い宇宙を作ると言う目的がある自分のシステムに組み込まれた方が良いのではないかと返す。
サイキは最初に暴力を行使する事を野蛮としていながら、そう言うお前も暴力を行使しているではないかと追求されたら、正しい目的の為に使うのは暴力ではないと返した。こう言うのを「独善」と言う。

 

パーテルと言うサポートAIを傍に置いているサイキの姿は『R/B』でダーリンと言う秘書AIを使っていた愛染マコトに通じるものがある。そう言えば愛染マコトも正義のヒーローを気取っていた独善的な人物であった。

 

スターゲートで射手座銀河にやって来たガイは悲鳴が聞こえたとして惑星ルーリンに降り立つ。この時にガイがかつて救助隊にいた事が語られている。

 

オーブでの初めての実戦だがガイは上手く戦えず最初は負けてしまう。
再戦ではジャグラーのアドバイスもあって勝利を収める事が出来たので、ガイ一人ではなくジャグラーも一緒にいて良かったと思えるのだが、逆にこれはガイが一人で戦えるようになったらジャグラーの存在理由が無くなってしまうと言う事でもあった。

 

オリジン・ザ・ファーストはところどころに黒があるものの全体は銀と赤で構成されていて初代マンを思わせるシンプルなデザインになっている。
オーソドックスなウルトラマンのデザインになっているのにニュージェネレーションシリーズのウルトラマン達を見た後だと逆に違和感を覚えてしまうのが面白い。

 

惑星ルーリンでのオリジン・ザ・ファーストとベゼルブの戦いは近くにいた人間の大きさを考えると実は数メートルくらいの大きさだったのだが、見慣れた地球の町並みではなかったからか、初見では小ささに気付きにくかったかな。

 

オープニング曲は浅倉大介さんとつるの剛士さんが歌う『ULTRAMAN ORB』で、エンディング曲はシライシ紗トリさんの『Ultraman Orb ーTouch the Sunー』となっている。
浅倉さんは貴水博之さんと「access」と言うユニットを結成しているが、貴水さんも2016年から2017年にかけて『仮面ライダーエグゼイド』に出演していて挿入歌も歌っている。