帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「いくさがみ ~戦神~」

episode6 いくさがみ ~戦神~」
ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』第6話
2017年1月30日配信(第6話)
脚本 林壮太郞
監督 おかひでき

 

ウルトラマンダイナ
身長 55m
体重 4万5千t
アマテが出した答えに介入する事を躊躇うが最終的には惑星カノンの人々を守る為にクグツ怪獣と戦う事を決断する。

 

ウルトラマンコスモス
身長 47m
体重 4万2千t
アマテが出した答えを見守ろうとするが、戦神がクグツで操られたのを見て、惑星カノンの人々を守る為に戦神を抑えようとする。

 

クグツベロクロン
身長 55m
体重 4万4440t
クグツで操られて惑星カノンで破壊行為を行う。

 

クグツバキシム
身長 65m
体重 7万8千t
クグツで操られて惑星カノンで破壊行為を行う。

 

宇宙悪魔ベゼルブ
身長 2m~50m
体重 400kg~4万t
何体かは倒されるが圧倒的な物量で惑星カノンを攻撃しミコットの命を奪う。

 

宇宙悪魔クイーンベゼルブ
身長 60m
体重 4万4千t
サイキの指示を受けてベゼルブやクグツ怪獣を動かしていたが、戦神と会うとサイキの指示を無視して自分の意思で対話を始める。戦神と和解する素振りを見せるが実はそれは罠で、ベゼルブを使って戦神にクグツを打ち込み支配下に置いてしまう。

 

物語
戦神に変身したアマテであったが戦いを嫌う彼女はクイーンベゼルブとの対話を望む。
好転しない状況の中、ウルトラマン達は惑星カノンの人々を守る為に戦う事を決意する。

 

感想
戦神の戦闘力が予想以上に高かったのに驚いた。
戦いを嫌うアマテが変身したので、自分からは攻撃を行わず防衛のみだった為に結局は負けてしまうが、あのまま攻撃に転じていたら勝てた気がする。
話の展開上仕方が無いところはあったが、今回は戦神のデビュー戦なのに攻撃を行わなかった為に苦戦し、クイーンベゼルブに騙されて操られてしまう等、戦神を格好良い素晴らしいと思う場面が無かったのが残念。

 

ガイとアスカのW変身は左右や前後を意識した構図になっていて実に格好良かった。

 

サイキ「光の戦士。君達の光でこの宇宙の悲しみが拭い去れるのかな?」。
『コスモス』では宇宙に平和をもたらす為に、コスモスは一つ一つの問題を解決していき、カオスヘッダーは世界そのものの仕組みを変えようとした。このような「一つ一つ解決していく」と「世界そのものの仕組みを変えようとする」の対立は平成ウルトラシリーズで度々見られた。サイキは個人レベルで色々な事を仕掛けているのはニュージェネレーションシリーズの敵キャラらしいが、その思想は平成ウルトラシリーズの敵キャラに近いところがある。

 

相手が人間と同じ大きさとは言え怪獣相手に剣や槍で戦うのは無理があるのだが、本来なら戦神が光のバリアーを張って民を守りながらクイーンベゼルブを倒す予定だったはずなので、戦神が倒されてバリアーが張られなくなってしまった時点でライゴウ率いる王立防衛軍は決死隊になる以外の選択肢は無くなっていたのだった……。

 

シンラがライゴウを助け、二人で力を合わせて戦う。これまで対立していた二人が危機を前に力を合わせるのは感動の場面になりそうなのだが、ライゴウは偽者を用意してまでシンラを陥れようとした疑いがあるので、その辺りの疑惑を解明しないままの和解と共闘は色々と引っかかってしまった。

 

平和を望むウルトラマンも怪獣を倒すと言う暴力でしか問題を解決できないし、対立していたシンラとライゴウも敵を倒すと言う暴力の前では他の問題を脇に置いてしまう。
おそらくサイキが嘆いたのはそう言う「暴力」が全てに優先されている事なのだろう。しかし、そう言うサイキ自身も脅しや攻撃と言う暴力を使って物事を成し遂げようとしている。

 

クイーンベゼルブが上半身を起こすと胸に当たるところに口らしきものが見え、虫型だったデザインが人型へと変わったのが面白かった。変身や変形を使わないでここまでイメージが変わるとは思わなかった。

 

オリジン・ザ・ファーストはジャグラーから受け取った命の木の種を光の槍状にして戦神の額に打ち込む!
戦神には口があるので、てっきり口の中に入れるのかと思ったら予想外の行動で驚いた。

 

ミコットは死ぬ時の反応を見るに戦いで自分が死ぬ事を考えていなかった感じがする。
アマテが徹底的に戦を嫌っていた事やサイキのアジトに侵入する時のリッカの様子等から考えるとミコットやリッカの世代は実戦を経験した事が無かったのかもしれない。
実戦を経験していたジャグラーはミコットとベゼルブの戦いの結果を予想できたが、演習のみだったミコットは自分の死を予想できずにベゼルブと戦ってしまった。

 

ミコットの命を奪ったベゼルブが巨大だったら、それは巨人であるガイが責任を持って戦う事になるのだが、人間大のベゼルブだった為にジャグラーはガイではなく自分の責任だと考えてしまったのかもしれない。

 

今回の話は色々と疑問点がある。
ウルトラマン達も惑星カノンの人々も最終的にはアマテの判断に委ねるのだが、そのアマテの判断がどうにも良くない。
戦いは嫌なので平和的な解決を望むのは良いのだが、具体的な手段を提示せずシンラに丸投げだった上に戦神に変身しなければいけなくなると自分一人だけ逃げようとしたので、この後に王家の神話を出して「民を巻き込みたくない」と言っても、自分が戦神に変身して戦うのが嫌だから色々言い訳をしているように見えてしまった。いっその事、幼い時に母親が戦神に変身して死んでしまったのを目の前で見たので戦神に変身するのが怖いとハッキリ言ってくれた方がまだ感情移入しやすかったと思う。
何だかんだあってアマテは戦神に変身するが自分からは攻撃せず防御のみを行った。最終的にはクイーンベゼルブと対話して問題を解決しようとしたのだが、結局はクグツ怪獣に反撃しなかった為に負けてバリアーを張れなくなって民を危険に陥れてしまい、脅しや罠を仕掛けてくるサイキ側に真正面から交渉を行おうとしたら騙されてクグツを打ち込まれ、操られた戦神を救う為にジャグラー達が命の木の種を手に入れるところでミコットが殺されてしまうと逆に民の被害を大きくしてしまった。しかもこれらは想定外だったウルトラマン達の救援があったのでまだ被害がマシになった状態で、ウルトラマン達が来なかったら最初の時点でクグツ怪獣に倒されて終わりと言う可能性が高かった。
漫画『ダイの大冒険』のアバン先生の言葉だが「愛や優しさだけでは必ずしも他人を守れない時もあるのです。正義無き力が無力であるのと同時に力無き正義もまた無力なのですよ」を思い出す。
今回の話にあったアマテと翔平の場面を見ると分かるが、アマテは「惑星カノンの女王」と言う肩書きだが劇中では「一人の女性」として描こうとしているところがある。その結果、女王としてはあまりにも無責任で考えなさすぎな言動が見られるようになった。ひょっとしたら、血筋で一人の人物に国の政治や防衛を委ねてはいけないと言うテーマなのかもしれないが……。