帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ことわり ~理~」

episode9 ことわり ~理~」
ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』第9話
2017年2月20日配信(第9話)
脚本 黒沢久子
監督 おかひでき

 

ウルトラマンアグル
身長 52m
体重 4万4千t
ジャグラーを助けてベゼルブと戦い、フォトンクラッシャーで倒した。

 

クグツベムスター
身長 46m
体重 6万1千t
翔平のいる地球に向かうスザーク号を取り囲み、助けに来たオリジン・ザ・ファーストと戦い最後は殴り飛ばされた。

 

クグツバードン
身長 62m
体重 3万3千t
翔平のいる地球に向かうスザーク号を取り囲み、助けに来たオリジン・ザ・ファーストと戦い最後は蹴り飛ばされた。

 

宇宙悪魔ベゼルブ
身長 2m~50m
体重 400kg~4万t
命の木を狙って地球に現れた個体はアグルV2のフォトンクラッシャーで倒され、翔平のいる地球に向かうスザーク号を取り囲んだ個体はオリジン・ザ・ファーストのオーブスピンアタッカーで一掃され、月にあるサイキの宇宙船を守護していた個体もオリジン・ザ・ファーストに倒された。

 

宇宙悪魔クイーンベゼルブ
身長 60m
体重 4万4千t
ガイ達はクイーンベゼルブはサイキに操られていると考えるが……。

 

物語
ベゼルブに苦戦するジャグラーはアグルに助けられる。
一方、翔平のいる地球にアマテがやって来る。
そしてガイはサイキの真意を知る為、月にあるサイキの宇宙船へと向かう。

 

感想
『ガイア』以来となるアグルの戦い。
『ガイア』の終盤では苦戦が多かったが経験を積んだ今回は近くにいたジャグラーにも注意を払える余裕を見せている。
実際の戦績は実はそんなに良くなかったりするんだけれど、やっぱりアグルは強い方が良い。

 

光の戦士の力は借りないと巨大なベゼルブ相手に挑むも返り討ちに遭ってしまうジャグラー。そんなジャグラーを見て藤宮は「随分無茶な戦い方をするんだな」と告げる。
ガイに張り合って無茶をするジャグラーの姿にかつての自分を見た藤宮は「いつまでも一人で戦えるものじゃない」と忠告する。
昔の自分と似ているジャグラーの姿に思わず微笑んでしまう藤宮。そして、昔の自分と似ているからこそ今のジャグラーは周りの忠告を聞き入れない事も藤宮は分かっている感じがする。

 

ガイ「良きライバルであり良き友。俺はアイツの事をずっとそう思っていました。いや、今でもそう信じています」、
我夢「僕にもそう言う奴がいるなぁ。何度も、本当に何度もぶつかりあった」、
ガイ「ジャグラーは今一人なんです。きっと、たった一人で孤独な戦いを続けている」、
我夢「本当に一人か? 君がいるだろう? 今は別々の場所にいても気持ちはまだ繋がっているんじゃないのか。たとえ今は憎む気持ちが勝っていたとしても、君が彼を忘れず、彼が君を忘れない限り、またいつかきっと分かり合える時が来る」。
藤宮との対立と和解があった我夢だからこその台詞。我夢と藤宮の場面があれから年齢を重ねた良い感じのベテラン感が出ていた。

 

我夢の話を聞いていた藤宮は「相変わらず熱いな」と言って出てくるとガイを見て「なるほど。昔の俺なら反発していた。お前はあまりにも影が無さ過ぎる」と告げる。
こうして見ると一人でウルトラマンとして戦ってきたアスカやムサシより二人でウルトラマンとして戦ってきた我夢と藤宮の方がガイとジャグラーの関係に近くて話もしやすいのかもしれない。

 

翔平のいる地球はウルトラマンも怪獣も現れた事が無いので、ウルトラマンと怪獣の戦いの中継映像や異常事態に対して政府が対策を打ち出していく等、ウルトラシリーズでは久し振りに日常が非日常に切り替わっていくところが見られる。

 

これまで翔平のいる地球と惑星カノンは別の宇宙だと思っていたが、「ひびき ~響~」で「7万光年離れている」と説明され、今回の話でスザーク号でやって来られたと言う事は同じ宇宙にあったと言う事なのか。

 

今回は先輩ウルトラマンの助け無しで戦うガイ。
序盤では苦戦していたクグツベムスター相手に圧勝する等、わずか数日でこの成長速度は凄まじい。
この頃のオーブは光で相手を撃ったり切ったりする戦い方となっている。オーブがこんなに光線技が豊富だったとはちょっと驚き。

 

遂に直接会うアマテと翔平。
なのだが劇中ではそれを良いようには描いておらず、悲しむ結衣と戸惑うシンラとリッカと怒るガイの場面を挟んでいる。
さらにアマテと翔平の感応も色々なものをすっ飛ばして心が繋がってしまった為に本人達も周りも状況が整理できず混乱する事に。『機動戦士ガンダム』のニュータイプや『新世紀エヴァンゲリオン』のA.T.フィールドではないが、人と人は心の壁を取り除いた状態では生きにくいものなのかもしれない。

 

「ようこそ、光の戦士。張り切っているね。実に勇ましい。きっと君は自分の正しさをこれっぽっちも疑っていないんだろうねぇ。本当に立派だよ。ところで一つ教えてくれないか? 君達は知恵を得た事で何を成し遂げたの? 単により多くのものを破壊できるようになった、それだけなんじゃないの? 君達は自由意志が愛を生むのだと言う。しかし、君達はその愛すらも取り引きに使う。愛する者の為に戦え!とね。愛故に殺し合いが始まる。君達が守ろうとする宇宙はそう言う宇宙さ。根本から変えたくはないか?」。
サイキがガイに向けた言葉なのだが、面白い事に言葉全てがサイキに反って来るようになっている。サイキは自分の正しさをこれっぽっちも疑っていないし、天才的な頭脳を使って多くのものを破壊し、アマテの惑星カノンの民への愛を利用して戦神に変身させようとした。そしてサイキは世界を愛するがあまり世界を殺す事を始めた。

 

サイキが目指す世界は「変化は無い。成長も無い。永遠の停滞だ。しかし、その代わり、平和な世界が永遠に続くんだよ」との事。
これは『G』のゴーデス、『ダイナ』のグランスフィア、『コスモス』のカオスヘッダー、ギンガシリーズのルギエルと同じ。ゴーデス達とサイキの違いは自分の主張を何度も繰り返して表明するかしないかかな。ゴーデス達はもう答えが出ていて相手を説得するつもりが無い。なので、最後に一度自分の考えを表明するくらいなのだが、サイキはまだ「自分の主張を聞いたら周りの人も理解してくれるかも」と言う期待が残っている。なので、結局は暴力には暴力で返す事を決めてはいるが、その前に一応相手を説得して協力してくれるかどうか確認を取ろうとする。

 

オリジン・ザ・ファーストへの変身を阻止できる遮蔽装置を作れるサイキってやっぱり凄いな。

 

ジャグラーはサイキの主張を「そんな世界はつまらない」で終わらせ、そのままサイキを真っ二つに切り裂いてしまう。この決断の早さは「くるる ~眩る~」で命の木を切り倒す事で戦いを終わらせたのと同じである。

 

今回の話は黒沢さんの現時点でのウルトラシリーズ脚本最終作となっている。