帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「まほろば ~新世界~」

Final episode まほろば ~新世界~」
ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』第12話
2017年3月13日配信(第12話)
脚本 小林弘利
監督 小中和哉

 

ウルトラマンダイナ
身長 55m
体重 4万5千t
ストロングタイプにタイプチェンジしてベゼルブを倒し、最後は他のウルトラマンとの合体光線でサイクイーンを倒した。

 

ウルトラマンガイア
身長 50m
体重 4万2千t
アグルV2との合体光線ストリーム・クラッシャーを放つがサイクイーンの光線と相殺される。最後は他のウルトラマンとの合体光線でサイクイーンを倒した。

 

ウルトラマンアグル
身長 52m
体重 4万4千t
ガイアV2との合体光線ストリーム・クラッシャーを放つがサイクイーンの光線と相殺される。最後は他のウルトラマンとの合体光線でサイクイーンを倒した。

 

ウルトラマンコスモス
身長 47m
体重 4万2千t
フルムーンレクトで暴走しそうな戦神を抑える。
オリジン・ザ・ファーストと協力して命の木の果実をクグツ怪獣に与えて解毒し、正気に戻ったアーストロンとバキシムを宇宙へ送る。
最後は他のウルトラマンとの合体光線でサイクイーンを倒した。

 

クグツアーストロン
身長 60m
体重 2万5千t
サイクイーンに呼ばれて地上に降り立つ。
最後は命の木の果実を与えられてクグツを解毒され、正気に戻った後、コスモスによって宇宙に帰された。

 

クグツバキシム
身長 65m
体重 7万8千t
サイクイーンに呼ばれて地上に降り立つ。
最後は命の木の果実を与えられてクグツを解毒され、正気に戻った後、コスモスによって宇宙に帰された。

 

宇宙悪魔ベゼルブ
身長 2m~50m
体重 400kg~4万t
ウルトラマン達と戦い全て倒された。

 

宇宙悪魔クイーンベゼルブ
身長 60m
体重 4万4千t
かつて両親を失ったサイキの前に現れていた。

 

宇宙悪魔サイクイーン
身長 60m
体重 4万4千t
戦神とも同化して自身でクグツを全宇宙に放出しようとするが、ダイナのダイナスラッシュで尻尾を切られ、最後はウルトラマン達の合体光線で倒された。
サイクイーンの中にいたサイキはパーテルによって量子分解された後、オリジン・ザ・ファーストによって助け出された。

 

物語
サイキとクイーンベゼルブが同化した宇宙悪魔サイクイーンが誕生。5人のウルトラマンがサイクイーンに挑む!
一方、翔平と結衣はクグツを打たれた戦神を正気に戻す為に命の木に果実が出来ていないか確かめに行く。

 

感想
両親を失った少年時代のサイキの前にクイーンベゼルブが現れる。
オルゴールの音が徐々に歪んでいくのは『ネクサス』の「人形 ーマリオネットー」を思い出す演出。
サイキの過去に何があったのかは直接描かれていないが、争いの犠牲になった事は分かる。そんなサイキが争いの無い世界を作る為に様々なものに犠牲を強いるようになってしまうのは皮肉。
サイキとクイーンベゼルブの関係だが、サイキがクイーンベゼルブを見付けたのか、クイーンベゼルブの方からサイキの所にやって来たのかで解釈が大きく変わる。サイキの計画はクイーンベゼルブ無しでは成り立たないが、クイーンベゼルブの計画はサイキ無しでも実行しようと思えば出来るので、争いの無い世界を作る為にサイキがクイーンベゼルブを探し出したと言ったところかな。

 

惑星カノンの後始末が一段落付いたのかアスカとムサシも地球へ。
ガイ「皆さんの力、お借りします!」。
ウルトラフュージョンカードとは関係無いが、それでも本編にあった台詞が遂に出て燃える!
その後の5人連続変身も燃えるのだが、他のウルトラマンに合わせて言ったガイの「オーブ!」が聞き慣れていないせいかちょっと違和感があった。

 

サイクイーンに向かって駆け出すジャグラーに「頼む!」と声を掛けるシンラ。
リッカはジャグラーの事を許していないがシンラは違うようだ。
シンラは命の木を切り倒す選択はさすがにしないだろうが、それでも事態を早く解決する為に女王の意思に反してサイキを爆殺しようとした事があるので、事態を早く解決する為に命の木を切り倒したジャグラーの考えを理解できるのかもしれない。

 

いくら魔人態に変身できても人間大のままのジャグラーでは巨人と巨大怪獣の戦いに割って入るには限界があり、ダメージを負って変身が解けてしまう。そんな絶体絶命の危機に陥ったジャグラーをガイは戦神を抑えながら助ける。
ガイはアマテもジャグラーも守ろうとしたのだろうが、結果として、フルパワーのジャグラーより戦神を抑えながらのガイの方が強いと言う残酷な現実が明らかになってしまった。

 

命の木に種ができていたが光っていなかった事に絶望する翔平。そんな翔平を見て結衣が叱咤する。
「今更そんな顔しないでくれる! 星の向こうのお姫様と直接心が繋がるなんて奇跡を起こしておいて今更絶望しないでよ! 女王様の為にここまで駆け上がってきたんでしょうが! 女王様だってあんたの為に7万光年も飛び越えてきたんだよ! なのに、種が光っているの光っていないのって、んなもん、あんたが自分で光らせなさいよ! 翔平は進化したんだよね。だったら、進化した人間の物凄さを教えてよ!」。
本作は全体的に淡々と進んでいるところがあったので、こう言う感情が爆発する場面は盛り上がりどころに相応しかったと思う。
結衣の「自分で光らせなさいよ!」はさすがに「そんな無茶な……」と思った。翔平は進化したと言ってもテレパシーが使えるようになったくらいだし……と考えたが、それはテレパシーが普通の能力であるウルトラシリーズの感覚で、ウルトラマン達の設定を外して翔平達の世界の常識だけで考えたら翔平は超人のレベルになっていると思われても不思議ではない。ここは一つの作品に超能力のレベルが違う世界を複数出してしまった弊害かもしれない。

 

遂に5大ウルトラマンが一緒に戦う展開になるのだが、ストロングタイプにタイプチェンジしたダイナと戦神やクグツ怪獣を抑えたり浄化したりしたコスモスに比べてガイアとアグルの活躍がいまいち。
スーツの状態等と言った色々な理由があると思うが、ガイアがスプリーム・ヴァージョンに、コスモスがエクリプスモードに変身せず苦戦を強いられてしまうのは見ていてモヤモヤしてしまう。同じ地球でも自分達がいた世界とは別の次元なので力を発揮できないとか何かしら理由があれば納得できたのだが。

 

命の木の果実を使ってクグツを解毒したコスモスはアーストロンとバキシムを宇宙へと送る。
ちょっと待って! 洗脳から解放された怪獣を倒さないのはコスモスらしいが、地球出身のアーストロンを宇宙に帰したり、クグツ関係無しに破壊のプログラムが仕込まれている超獣のバキシムを野生の生物のように扱ったりしているのは違和感を覚える。同じ展開でも別の怪獣にしてほしかった。

 

パーテルはサイクイーンと戦神を量子分解して同化させる事で一人でクグツを全宇宙に放出できる存在を生み出そうとする。
パーテル、アンタは一体どれだけ凄いんだ……。
と言うか、そんな事が出来るのなら、戦神にクグツを打ち込まなくても、命の木の果実を手に入れた時点でクイーンベゼルブと戦神を量子分解して同化させてしまえば良かったのでは……。

 

建物の破片からパーテルがシンラとリッカを助けるのはガイがサイキを助けたのと重ねられているのだろうけれど、さすがに唐突すぎた。ガイがサイキを助けたのは「誰一人犠牲にしたくないんだ」と言う言葉で分かるのだが、パーテルは計画実現の為には犠牲はやむを得ないと言う立場だったし。
パーテルがいなくなった事で、今までサポートAIと言う自分に都合の良い存在だけを相手にしてきたサイキがこれからは人間を相手にしていくと言うテーマは分かるのだが……。

 

サイキによると「クグツは暴走した知恵が宇宙を乱した時にそれを消し去る為の安全装置」で、ガイによると「命の木の果実こそが知恵ある世界を守る最後の安全装置だった」との事。
真実は不明だが、クグツで知恵ある世界を消し去れるようになっていても、その実現には戦神の存在が必要で、又、命の木の果実があればクグツを解毒する事が出来るとなっているので、知恵ある世界を消し去る事も守る事もどちらも出来るようになっていたのだろう。そのどちらを選択するかはその世界に住む人々が知恵を出した末に決める事なのかなと。

 

計画が失敗に終わりパーテルも失ったサイキにアマテが声を掛ける。
「この宇宙で争いの無い世界を望む事は確かに難しい。不可能のように思える。けれど、諦めずに思い続ければ、いつかきっと……」。
諦めずに思い続ける事は大事だけれど、アマテ様はもう少し知恵を使って行動してくださいなと言いたくなる。

 

今回の話は最終的にはハッピーエンドに辿り着いたように思えるが、そう簡単な話ではないのかもしれない。
アマテは遂に戦神に変身した。クイーンベゼルブがいなくなったので今後は変身する必要は無いかもしれないが、惑星カノンが他の星に攻め込まれたら再び変身を求められる可能性は高い。一度ならず二度までも戦神に変身したと言う事実を作ってしまったアマテは今後戦神への変身を拒否し続ける事が出来るのだろうか?
惑星カノンもシンラとライゴウの対立が表面化している。ベゼルブの襲撃で有耶無耶になっているが、シンラの言い分を信じれば、ライゴウはシンラの偽者を仕立て上げてアマテを暗殺しようとしていた。さすがにこれは今後に禍根を残す事になるだろう。
サイキはガイによって命を助けられたが惑星カノンに多大な犠牲を出しているので無罪放免と言うのはありえない。監獄惑星に幽閉される可能性があるが、パーテルも失ったサイキが独り幽閉されたらどうなってしまうのだろうか……。
翔平のいる地球では翔平と結衣のおかげで命の木が輝き始めたが、命の木が災いを呼ぶ可能性がある事は今回の戦いで証明済み。ウルトラマンも戦神もいない地球はその災いをどうやって防ぐのだろうか?
翔平は命の木の種に触れた事で進化を始めた。こう言う進化を取り扱った作品では新人類と旧人類による争いが起きやすい。『平成セブン』で似たテーマを取り扱っていたがハッピーエンドとは言い切れない結末を迎えている。
そしてクイーンベゼルブがいなくなった事で知恵が暴走して宇宙を乱した時の安全装置が無くなってしまった。
そう、今回の話はあくまで「クイーンベゼルブを倒しただけ」であって、それぞれが抱える問題には明確な解決方法は出されていないのだ。

 

皆揃ってめでたしめでたしと言う場面で、遠くにポツンと一人でいるジャグラーの姿が印象的。
最初はガイとジャグラーの二人旅だったが、終わってみたらガイの周りにはたくさんの人がいて、ジャグラーの周りには誰もいなくなっていた。

 

ガイ「次はどの宇宙に行くのかな……。一体、宇宙っていくつあるんですか?」、
ムサシ「可能性の分だけ。そして宇宙の数だけ冒険と素晴らしい出会いが君を待ってる」。
これはガイだけでなく今後のウルトラシリーズにも向けた言葉のようにも聞こえる。

 

「初陣にしては良い動きだったぜ、ルーキー」。
サーガ』のアスカは父親であるカズマのイメージが付いていたが今回のアスカはヒビキ隊長のイメージが付いていた感じだった。

 

アスカ「行こう。それぞれの明日へ…」。
今回の隠されたサブタイトルは『ダイナ』の「最終章Ⅲ 明日へ…」。
リアルタイムで『ダイナ』の最終回を見た時はアスカはもう二度と現れないと思ったので、その後もアスカの物語がこんなに続いていくとは思いもしなかった。

 

戦士の頂に戻ったガイはそこにジャグラーの姿を見るが、ジャグラーの幻は闇の中に消えてしまった。
そして戦士の頂から新しいミッションと新しい光を与えられたガイはオリジン・ザ・ファーストからオーブオリジンへとパワーアップする。
ガイ=ウルトラマンオーブの物語はまだ始まったばかり。

 

本作は『オーブ』の前日談であるが、TVシリーズの直前の話ではないので、オーブカリバーに備えられている四つのエレメント、ウルトラフュージョンカードや怪獣カード、TVシリーズでは描かれなかった闇ノ魔王獣マガタノゾーアとの戦い等については触れられていない。
しかし、この後にTVシリーズのメインスタッフである田口監督と中野さんによって「エピソード10構想」が作られ、『ウルトラマンオーブ完全超全集』に「ウルトラマンオーブクロニクル〈年代記〉」として発表され、『オリジンサーガ』とTVシリーズの間が埋められる事となった。因みにTVシリーズは第6章「さすらいの太陽」に、『オリジンサーガ』は第1章「命の木」編にあたる。
ウルトラマンオーブクロニクル〈年代記〉」は地上波放送であるTVシリーズに比べてシリアスハードな展開になっていて、この『超全集』で重めの過去編をする流れは後の『R/B』や『タイガ』にも引き継がれていった。

 

本作はあまり高い評価は得られなかった。
色々な理由があると思うが、その一つとして「ガイとジャグラーの話がメインではなかった」事が挙げられる。TVシリーズの「闇の刃」でガイとジャグラーが戦士の頂で光に手を伸ばす場面が描かれ、TVシリーズが終了した直後にガイとジャグラーのファースト・ミッションを描いた話が配信されると宣伝されたら多くの人がガイとジャグラーの話がメインの作品だと思うのも仕方が無い。
『オリジンサーガ』はTVシリーズとは別に動いていて、TVシリーズのメインスタッフである田口監督も中野さんも参加していなかったので、TVシリーズと密接に繋がった作品を作るのは難しかった。この辺りは色々なメディアで物語を展開するメディアミックスの難しさの一つと言える。
後の『R/B』や『タイガ』でもTVシリーズだけでなく様々なメディアを使って物語を展開しているが、今回のように現場と宣伝と視聴者の間にズレが生じてしまった事がいくつかあり、今後の課題と言える。

 

二つ目の理由だが、ウルトラシリーズは作る方も見る方も連続形式に慣れていないところがある。
ウルトラシリーズは基本的に一話完結になっていて、一話の中にウルトラマンが事件を解決するカタルシスが込められているのだが、連続形式でウルトラマンが事件を解決するカタルシスを中々得る事が出来ない作りにしてしまうと、最後まで我慢できずに脱落する視聴者が出てしまった。

 

三つ目の理由は「都合の良い展開が殆ど起きなかった」であろうか。
ウルトラシリーズは基本的に一話30分で一つの事件が解決する。その為にやや都合の良い展開が起きる事があるのだが、本作にはそう言う都合の良い展開は殆ど起きなかった。結果として、オリジン・ザ・ファーストや戦神は苦戦が多くなり、先輩ウルトラマン達の助言や援護が役に立たない事もあった。リアルと言えばリアルなのだが、その為にダイナのミラクルタイプやガイアのスプリーム・ヴァージョンやコスモスのエクリプスモードと言った一気に事態を解決できる能力を出せなくなってしまい、本編では使っていた能力を今回は使わなくて苦戦するとして、先輩ウルトラマン達の本編での活躍を知っている人達にモヤモヤしたものを抱かせる事になってしまった。
上に挙げた連続形式の話もだが、本作は従来より高い年齢層を狙って制作されたのだが、従来の話と変えると言う事は従来の話に満足している人達には受け入れられない恐れが生じると言う事である。完全新規の作品なら従来とはガラッと変えるのもアリだと思うが今回は「『オーブ』のスピンオフ」だったので完全新規の視聴者よりTVシリーズの『オーブ』を楽しんだ人が多く観に来たので、TVシリーズの『オーブ』とは無関係の話でTVシリーズの『オーブ』とは違う連続形式だったのは残念ながらマイナスに働いてしまったと言える。

 

色々書いてしまったが、地上波放送とは違う媒体なので今までとは違った形のウルトラシリーズを作ると言う試みは悪くなかったと思うので、本作を踏まえて作ったAmazonプライム・ビデオの大人向けウルトラシリーズ第二弾を見てみたかった。

 

今回の話は小中監督の現時点でのウルトラシリーズ監督最終作となっている。 

 

 

 

 

 

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