帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「サクリファイス」

サクリファイス
ウルトラマンジード』第7話
2017年8月19日放送(第7話)
脚本 柳井祥緒
監督 武居正能

 

シビルジャッジメンターギャラクトロン
身長 61m
体重 6万1千t
ゼロを抹殺する為に伏井出ケイが怪獣カプセルで召喚した。
ギャラクトロンスパークで攻撃する。
ジードクローのコークスクリュージャミングでも倒す事が出来なかった。

 

物語
ゼロが計画の邪魔になると考えた伏井出ケイはゼロを抹殺する為の罠を用意する。
伏井出ケイが書いた小説の話がかつての自分とベリアルの戦いであった事に気付いたゼロは伏井出ケイの講演会に向かうが……。

 

感想
今回のサブタイトルは「サクリファイス」となっているが『ネクサス』にも「受難 ーサクリファイスー」と言うサブタイトルがあった。ウルトラシリーズで過去の作品と同じサブタイトルが使われるのは珍しい。(今回は「受難」の部分が無いので全く同じと言うわけではないが)
因みに「サクリファイス」は「生贄」と言う意味で、今回の話も『ネクサス』での話もウルトラマンが犠牲になる展開となっている。

 

店長とルミナさんが伏井出ケイのファンである「フクイデスト」である事が分かる。
これは村上春樹さんのファンを「ハルキスト」と呼ぶのを元ネタにしていると思われる。

 

伏井出ケイの本を読むか読まないかで揉めるレイトとゼロ。
この時の自分の体を他の存在に一部乗っ取られるのを台詞だけでなく動きも使って表現した場面はレイト役の小澤雄太さんの身体能力の高さが活かされていた。

 

伏井出ケイが書いた小説「コズモクロニクル」で描かれていたのはゼロとベリアルの戦いで、伏井出ケイが見て書いたとした思えない内容となっていた。ただし、本の中ではゼロは悪役となっているとの事。
伏井出ケイの説明を聞くと、ベリアルが復活したばかりの話である『ウルトラ銀河伝説』の戦いも小説になっているようなので、伏井出ケイが実際に見て書いたのではなくベリアルから話を聞いて書いたのだと思われる。
ゼロが悪役になっている点だが、ベリアルが自分を正義にしてゼロを悪役にして印象操作を行うとは思えないので、その辺りの変更は伏井出ケイが独断で行ったのかもしれない。

 

今まで裏で暗躍していた伏井出ケイが遂にリク達の前に出てくるようになる。
表向きは笑顔の紳士であるが、その正体は邪悪な笑みを浮かべながら相手を追い詰める宇宙人であった。
場面によって伏井出ケイの顔に影が差しているように見えるのが面白かった。

 

生身の人間で怪獣を扱うと言う点で伏井出ケイは前作『オーブ』に登場したジャグラーと似たキャラであるが、今回の話を見ると両者の違いが見えてくる。
例えばジャグラーも伏井出ケイも笑顔を見せるが、ジャグラーの笑顔が相手を挑発するものであるのに対し、伏井出ケイの笑顔は人当たりが良い人物を演出する為のものであった。又、ジャグラーは表社会に出る事が無いアウトローな存在であるが、伏井出ケイは著名な小説家と言う社会的地位を手にし、それを使ってリク達を呼び寄せ、ライハ達に自分を攻撃出来ないようにした。そして最大の違いはジャグラーはあくまで自分自身の心に基づいて行動するのだが、伏井出ケイはあくまでベリアル様を基準に全てを決定している。

 

「今ここで私を斬れば、あの怪獣は止まるかもしれない。だが、あなたは著名な小説家を殺害した人殺しになりますよ」とライハを脅す伏井出ケイ。人間社会において何が一番恐ろしいかを熟知しているところはさすが。ただし、こんな事を言った伏井出ケイ自身が後に編集者殺害の容疑を掛けられて全国を逃亡する事になるのだが……。

 

ゼロは今の自分ではギャラクトロンと戦っても勝てない事が分かっていた。伏井出ケイはその判断を「戦士の勘」と言っていたが、実際にゼロは『絆の力、おかりします!』でギャラクトロンと戦っているので、その時の経験を元に判断したのであろう。
ギャラクトロンは歴戦の戦士であるオーブでも苦戦した相手で、まだ戦い始めたばかりのジードでは勝つのは難しく、前回登場したばかりの新アイテムであるジードクローを使っても倒す事が出来なかった。
再登場怪獣は以前より弱くなるものが多いので、何度か再登場しても強敵と言う印象をしっかりと残すギャラクトロンは珍しい存在と言える。

 

実を言うとベリアルの計画では伏井出ケイが小説家になる必要は無かったりする。
今回の作戦は著名な小説家と言うのを活かしていたが、新米のジードと体調が万全ではないゼロでは勝てない相手であるギャラクトロンを出して、ルミナ達をギャラクトロンの近くに置けば今回の作戦は成立するので、著名な小説家と言うのを使わなくても似たシチュエーションは作れたはず。
では、何故、伏井出ケイは小説家になったのか。おそらくそれはベリアル様について多くの人に向けて語りたい、ベリアル様を表舞台に立たせたいと言う伏井出ケイ個人の思いがあったのであろう。
伏井出ケイは人気の小説の主人公のモデルにする事でベリアルを人間社会の表舞台に立たせ、逆にゼロを誰にも見られない舞台裏で殺そうとした。ただゼロを抹殺するのではなく、現在の宇宙の中心であるウルトラマンを舞台裏に引きずり落として代わりにベリアルを宇宙の中心に据えようとする。ベリアルを崇拝する伏井出ケイの心の内が垣間見える話であった。

 

 

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