帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ジードアイデンティティー」

ジーアイデンティティー」
ウルトラマンジード』第11話
2017年9月16日放送(第11話)
脚本 安達寬高
監督 田口清隆

 

AIBのエージェント達
伏井出ケイの正体を探ろうとするが気付かれてしまう。
冷凍星人グローザ星系人、憑依宇宙人サーペント星人、策略宇宙人ペダン星人、ドーブル星人、宇宙怪人ゼラン星人、友好異星人ネリル星人が登場した。

 

宇宙帝王バド星人
身長 2m
体重 80kg
伏井出ケイがリクに脅しを掛ける為に用意したスナイパー。
ペガの不意打ちを受け、ライハとの戦いの最中にジードとペダニウムゼットンの戦いで飛び散った瓦礫の下敷きになって死亡する。

 

ベリアル融合獣ペダニウムゼットン
身長 65m
体重 5万4千t
伏井出ケイがキングジョーとゼットンの怪獣カプセルでフュージョンライズした。
ペダニウム・フレアで一度はジードを倒した。
その後、度重なる失敗の責任を取る為に伏井出ケイがウルトラカプセルを取り込んで暴走した状態で再び変身した。

 

ウルトラマンベリアル
身長 55m
体重 6万t
AIBが伏井出ケイを調査している事に気付く。
失敗を重ねた伏井出ケイにウルトラカプセルを自分の体に打ち込むよう迫る。

 

物語
AIBは伏井出ケイを調査するが失敗し、ゼロに協力を仰ぐ事に。
ベリアルの拠点を知られた伏井出ケイは事態打開の為にリクが持つウルトラカプセルを手に入れようとする。

 

感想
伏井出ケイは小説の打ち合わせをしている最中にベリアルとテレパシーで会話をし、その後、正体を明かしてAIBを始末している。
これまでも表の顔である小説家の場面と裏の顔であるストルム星人の場面があったが今回は表と裏を続けて見せているので二つの違いがよく分かるようになっている。こうして見ると喋り方とか全然違っていたんだな。

 

序盤から何度か出ていた編集者の名前は大隅丈治と言い、SF作家のジョー・O・スミスから名付けられている。
AIBは編集者を使って伏井出ケイの正体を探ろうとした。編集者がどの時点でAIBと関わったのかは不明だが、今回の話で電話に呼び出される前は落ち着いていたのに呼び出された後はかなりの汗をかいていたので、おそらく電話の相手はAIBで、編集者はその時に伏井出ケイの正体を知らされたと思われる。
ウルトラシリーズでは一般人が怪獣や宇宙人の被害に遭って命を落とす事があるが、編集者のように何度か登場し特に悪い事をしていなかった人物が殺されてしまうのは希で結構衝撃であった。

 

ウルトラシリーズでは主人公の正体が周りに知られたらこれまでの生活が終わってしまうと言う展開が『セブン』の最終回から何度かある。
今回は敵である伏井出ケイが正体を知られる事になり、小説家と言うこれまでの生活を終える事となった。打ち合わせの時の楽しそうな様子を見ると、伏井出ケイは自身の小説家生活を終わらせる事になる編集者の殺害をどのような感じでしたのか気になる。

 

AIBのエージェントであるドーブル星人はバグバズンブルードの頭部を改造して作った新キャラらしい。(おそらく名前も「ブルード」から「ドーブル」にしたのだろう)
絆の力、おかりします!』に登場したクカラッチ星人とガルメス人もだが、既存のマスクを使って新しい宇宙人を出すようになってきた。やはり、同じ宇宙人を何度も出すより少しでも新キャラを作りたいのかな。

 

掃除機が壊れたのでリクは掃除機を買いに行くのだが何故かゲーム機を買ってきてしまった。
以前にも書いたが、ガイさんとは違うタイプでリクもダメ人間だ……。
『オーブ』のガイさんと『ジード』のリクを見た後だと『R/B』のカツ兄のしっかりさが実にありがたい。

 

ライハさんには「銃刀法違反」と言う概念が無いのだろうか……。

 

緊急事態と言う事でAIBはゼロを宿しているレイトを拉致して協力を仰ぐ事に。
結局、レイトさんは大事な会議に出られなかったのだが、その辺りのフォローはAIBがしてくれたのだろうか……?

 

ゼロへの変身を拒むレイトの動きは小澤雄太さんの演技が素晴らしかった。
レイトの時はレイトの意思の方が強いのかもしれないけれど、ゼロの意思をあれだけ拒む事が出来るレイトさんって実は凄いのかも。

 

「宇宙の帝王」と言う肩書きを持ちながら情けないイメージが強いバド星人。
今回はスナイパー役で格好良い感じの登場だったのだが、結局は非戦闘員であるペガの不意打ちにやられたり、ジードとペダニウムゼットンの戦いの巻き添えで死んでしまったりと情けない感じで終わってしまった。飛び道具の銃を封じられた近接戦闘で剣を持ったライハと互角に戦えるのは結構凄い事だと思うんだけどね……。

 

今回の話で色々な謎が解かれた。
伏井出ケイの目的は起動した状態のウルトラカプセルの収集であったが、カプセル起動に必要なリトルスターはウルトラマンにしか譲渡されない。そこで伏井出ケイはカプセル起動に必要な存在を作る事をベリアルに提案し、ベリアルの遺伝子を預かって実験室でウルトラマンになり得る生命体を作った。それがリクであった。
この設定を見るとリクは『ダイナ』のゼルガノイドや『ネクサス』のダークザギに近い存在と言える。そう言うかつては敵に使われた設定が今度は主人公に使われる。『ジード』はこれまでのウルトラシリーズとは全く逆の場所から物語が作られた作品であった事が判明した。

 

AIBにベリアルの居場所を知られた伏井出ケイは今あるウルトラカプセルを使ってベリアルの拠点を移動させようとするのだが、その一方で大きな失敗を犯した事で自分のアイデンティティーが揺らいだ伏井出ケイはリクのアイデンティティーを壊す事で自分のアイデンティティーを持ち直そうとしたところがある。
ジードとの戦いで「ベリアル様の恩寵を受けるのはお前ではない。私だ! 私の方が優れている!」と叫んだように、伏井出ケイはベリアルの注目が自分ではなくジード(リク)に向かう事を許せなかった。
戦国時代で豊臣秀吉織田信長に忠誠を誓ってはいたが織田信長の子供達には忠誠を誓わず、最終的に自分が織田信長の後継者になったように、伏井出ケイはあくまでベリアルに忠誠を誓っていたのであって、ベリアルの息子に忠誠を誓っていたわけではなかった。そこはベリアルがジードの事を「息子」と言っているのに対し、伏井出ケイはリクの事を「模造品」と言っている事からも明らかである。

 

伏井出ケイがリクを作って天文台に置いたのは今から19年前の事。リトルスターはウルトラマンにしか譲渡されないので人工ウルトラマンであるリクを作ったわけだが、その一方で伏井出ケイは6年前にスカルゴモラフュージョンライズしてライハからリトルスターを得ようとして失敗している。
おそらくリクを作りながらもリクの存在を疎ましく思っていた伏井出ケイはウルトラマン不在でリトルスターを得る事は本当に不可能なのか一度実験しておきたかったのかもしれない。
その結果、ライハにスカルゴモラから元の姿に戻るところを見られ、そこからAIBにも正体を知られるようになり、最終的にベリアルの居場所まで知られる事になってしまうと伏井出ケイに破滅をもたらす事になってしまうのであった。

 

今回の伏井出ケイはベリアルの息子であるジード(リク)への歪んだ気持ちを爆発させ、これまでのジードの正義の戦いは全て自分が仕組んだものであったと告げる。
ニュージェネレーションシリーズでは色々な敵キャラが登場しているが、生物を人形に変えて自分の管理下に置こうとしたルギエル、自分以外の全てを駒としてしか見ていなかったエクセラー、魔王獣復活の為にガイや惑星侵略連合を手玉に取ったジャグラー、リトルスターを手に入れる為に正義の味方ジードの戦いを用意した伏井出ケイと言ったように「他人を自分の思い通りにしようとする」敵が多い。これまでのウルトラシリーズで戦ってきた相手が自然やスパイや文明の負の部分や心の闇だったりとその時代の問題点を表していたように今の時代は「他人との関係」が一つのポイントなのかもしれない。

 

地下基地を準備してジードライザーとカプセルを用意したのが伏井出ケイだと知ったリクは「レムは敵? それとも仲間?」と尋ね、それに対してレムは「現在のマスターはリク。裏切る事はありません」と答える。
この返事の前にレムはライザーの事をリクが名付けた「ジードライザー」で呼んでいるので、その時点でレムはリク側の存在である事が分かる。

 

ペダニウムゼットンは生物のゼットンと機械のキングジョーが融合していて半分生物半分機械の異形が実に良い。

 

ジードに勝った伏井出ケイであったがリクに止めを刺す前にライハがやって来たのでゼロのウルトラカプセルを回収出来ずに撤退する事に。その結果、失敗した罪を贖う為にウルトラカプセルを自分の体に打ち込んで力を解き放ち暴走状態でペダニウムゼットンに変身する事になる。
負けたリクはウルトラカプセルを奪われて変身出来なくなってしまったが、勝った伏井出ケイも追い詰められた状態になってしまう。これまで事態を裏で操っていた伏井出ケイはここで脱落し、以降はリクと伏井出ケイの運命に大きく関わるベリアルが事態を動かすようになる。

 

 

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