帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「キボウノカケラ」

「キボウノカケラ」
ウルトラマンジード』第24話
2017年12月16日放送(第24話)
脚本 安達寬高
監督 坂本浩一

 

ウルトラの父
身長 45m
体重 5万t
アトロシアスが行動を開始した事を光の国で感じ取る。

 

ウルトラの母
身長 40m
体重 3万2千t
アトロシアスが行動を開始した事を光の国で感じ取る。

 

ウルトラマンベリアル アトロシアス
身長 55m
体重 5万5千t
高度4万kmに静止し、カレラン分子を使って宇宙全体からキングのエネルギーを吸収してストルム器官で邪悪な力に変換して自分の力にする。
ジードの力も吸収する予定だったので現在はまだ完璧な状態ではない。
キングのエネルギーを無くす事で宇宙をクライシス・インパクト時に戻そうとする。
ゼロの出現を受けて地球に降り立ち、伏井出ケイの協力もあってゼロビヨンドに勝利する。

 

物語
アトロシアスとなったベリアルが地球に宣戦布告をし、更に宇宙全体からキングのエネルギーを吸収して宇宙をクライシス・インパクト時に戻そうとする。
宇宙の崩壊を阻止する為、リク達はアトロシアスを止める作戦を立てる。

 

感想
エンペラ星人とルギエルの怪獣カプセルでアトロシアスになったベリアル。
因みに「アトロシアス」は「残虐、極悪非道、残忍」と言う意味がある。
ベリアルのアトロシアスへの変身は「デモニックフュージョン・アンリーシュ」と呼ばれていて、「デモニック」は「悪魔のような、凶暴な」、「アンリーシュ」は「束縛を解く、解放する、自由にする、感情を爆発させる」と言う意味がある。「アンリーシュ」の意味を考えると、ベリアルがウルトラマン達に抱いている複雑な感情が見えてくるような気がする。

 

現時点でのジードの最強形態はベリアルとキングの力を融合させたロイヤルメガマスターであるが、ラスボスであるアトロシアスはベリアルがエンペラ星人とルギエルの力を得て、さらに宇宙全体からキングのエネルギーを吸収すると言うロイヤルメガマスターを遥かに超える存在となっている。
アトロシアスはキングとエンペラ星人と言うベリアルにとっては目標のような存在の力が入っているが、そこにベリアルとは直接の面識は無いが多くのウルトラマンや怪獣や宇宙人達をスパークドールズに変えたルギエルと言う強力な力を加えているのがキメラベロスの時と同じく人間関係より力を重視しているベリアルらしいチョイスと言える。

 

オメガ・アーマゲドン(超宇宙最終戦争)でベリアルが使った超時空消滅爆弾によって宇宙は崩壊の危機に陥ったが、キングが一体化する事で危機は先延ばしにされていた。
今回、アトロシアスが宇宙全体からキングのエネルギーを吸収する事で宇宙は再び崩壊の危機に陥る事となる。
ウルトラシリーズでは作品のクライマックスで地球の危機が起きる事が多いが今回は一つの宇宙が危機に陥ると言うかなりスケールの大きい戦いとなった。

 

リク達はトリィが研究していたカレラン分子分解酵素を宇宙船ネオ・ブリタニア号を使ってアトロシアスのカラータイマーに打ち込む作戦を立てる。
「戦闘機を使ってウルトラマンのカラータイマーに打ち込む」と言うのは平成ウルトラシリーズではウルトラマンを復活させる時によく使われる展開だが今回はウルトラマンを倒す為にこの展開が使われる事となる。

 

ゼナに覗き込まれた時のモアは「私にはリク君が……」と言っていながら目は閉じていてまんざらでもない感じ。
因みにゼナ役の岩田栄慶さんとモア役の長谷川眞優さんは後に結婚している。

 

アトロシアスとの決戦の日はマユの誕生日で、AIBの準備が済むまでの間、レイトはマユとルミナと一緒に過ごす。
リク達もモア達も宇宙人や怪獣事件が日常になっているのだが、レイトだけは宇宙人と怪獣事件は非日常のままで日常は家族と共にあった。
だからなのか、今回のマユの誕生日はレイトにとって最後の日常と言う雰囲気があった。しかし、レイトはこの戦いで日常を手放すつもりは無く、マユに向かって「明日も明後日もマユがいっぱい笑って暮らせるようにパパ仕事頑張るから」と告げ、ルミナの「晩ごはん作って待ってるから」と言う言葉に「楽しみにしている。一緒に食べよう。必ず……!」と答えている。

 

遂に準備が整って作戦が開始される。
そこでモアはレイトに向かって「娘さんとの大切な時間を……すいません」と謝りを入れる。
ここでこう言う言葉をちゃんと言えるのがモアの良いところ。ドジで見ていて不安なところが多いが、こう言う場面を見ると彼女がAIBに必要とされている理由がよく分かる。

 

前回の「ストルムの光」で伏井出ケイはベリアルが復活の為にジードではなく自分を利用した事を喜んだが、ベリアルの予定ではそれとは別にジードも吸収するつもりだった。
ジードを吸収していないアトロシアスはまだ完璧ではないのだが、ジードを吸収していなくてもベリアルが勝てるようにする為か、伏井出ケイは独自に行動を開始する。
ここまで来ると伏井出ケイの心情を理解できる人物は殆どいなくなっていて、リクもゼロもゼナも伏井出ケイがルミナ達を人質に取る事は予想しておらず、ベリアルですら「まだ忠誠を誓うとは愚かな奴だ」と伏井出ケイの行動は理解できないと発言している。唯一人、ライハだけが伏井出ケイの心情を理解して彼の行動を予想する事が出来た。

 

伏井出ケイの行動を「愚か」と断じながらもベリアルは伏井出ケイの協力に乗っかってゼロビヨンドに勝利している。何だかんだ言いながらも部下の行動を無駄にしないところはベリアルらしいなと思う。
でも、伏井出ケイの行動によってアトロシアスはゼロビヨンド相手に圧倒的な強さで勝利すると言う場面が無くなってしまい、ラスボスでありながら強いイメージがあまり無いと言う問題が生じてしまうのだが……。(アトロシアスはゼロビヨンドを押していたので、伏井出ケイが人質を取らなくてもおそらく勝利していた)

 

レイトの家族を人質に取られて戦えなくなったゼロを見てベリアルは「ウルトラマンゼロ、この星に来て弱点を作ったようだな!」と挑発。それに対してゼロは「家族を弱点と言ったな。それは違う! 守るべきものがあるから俺達は戦えるんだ!」と返す。
『ゼロファイト』の「輝きのゼロ」や『列伝』でベリアルはゼロの強さの秘密は守るべきものがあるからと考え、自分も守るべきものを見付けると言っていたので、ここのやり取りはちょっと違和感を覚えた。
「守るべきもの」と口にしてはいたが実際のところは理解できていなかったのか、一時は「守るべきもの」を見付けたがそれを手放す事になったのか。オメガ・アーマゲドン(超宇宙最終戦争)時の詳しい内容は不明なので、ベリアルの考えが変わった鍵はここにありそうな気がする。

 

ウルトラシリーズでは主題歌がサブタイトルに使われる事があり、今回はエンディング曲の『キボウノカケラ』から付けられている。
『キボウノカケラ』の歌詞を読むと、リク達と伏井出ケイ達を分けたものが何なのか分かる感じがする。

 

今回の話でルミナさんがレイトさんとウルトラマンの関係を問い詰めていく場面が夫の浮気を問い詰めているように見えてしまった。

 

伏井出ケイの行動によってゼロビヨンドが倒されてしまい、まだ戦う予定ではなかったがリクはジードに変身してゼロを助ける。
ベリアル「俺の血を受け継ぎながら敵対する愚か者め!」、
リク「ベリアル! 僕が相手だ!」。
次回、遂に決着……!

 

 

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