帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラマンはじめました」

ウルトラマンはじめました」
ウルトラマンR/B』第1話
2018年7月7日放送(第1話)
脚本 中野貴雄
監督 武居正能

 

火炎骨獣グルジオボーン
身長 60m
体重 6万2千t
夜中に綾香山に出現した後、翌日の昼にアイゼンテック社の施設から現れた謎の怪獣。
綾香市に1300年前から伝わる「妖奇星伝説」に登場する「偶龍爾王様」を思わせる姿をしている。
口からボーンブレスターを吐く。
ロッソフレイムのフレイムスフィアシュートとブルアクアのアクアストリュームで倒された。

 

物語
今日も良い天気だ。
ここは俺達の町・綾香市。皆、休日を思い思いに楽しんでいる。
俺達はそれどころじゃないけどぉ!

 

感想
いきなり主人公のナレーションとウルトラマンの戦闘シーンから始まる驚きのオープニング。
同じウルトラシリーズと言っても話の作りは様々で、例えばXioやSSPがある『X』や『オーブ』は謎の現象が起きてその調査をすると言う「謎解き」になっていて、エクセラーやベリアルと言った敵が前面に出てくる『ギンガS』や『ジード』は「戦い」がメインになっている。
今回の『R/B』は『ギンガ』と同じく主人公達が特別チーム等とは無関係なので話の最初は事件も戦いも無い平和な「日常」が描かれて、話の後半で「その日常が非日常に侵される」と言う展開になっている。
その為、『R/B』の第1話は怪獣や宇宙人やウルトラマンと言ったキャラクターが話の後半まで登場しないので時系列を変える事で話の最初にウルトラマンを登場させている。

 

これまで多くの作品でvoyagerが主題歌を担当していたが、今回はオープニング曲はオーイシマサヨシさんの『Hands』、エンディング曲は三森すずこさんの『夢飛行』となっている。
二人ともアニメ関係の仕事が多く、特にオープニング曲の『Hands』はこれまでのウルトラシリーズとは違った感じの歌になっている。サビ前のラップ部分を初めて聴いた時は衝撃が走った。

 

前作『ジード』のリクと前々作『オーブ』のガイがちゃんと働いている場面が殆ど無かったので、接客業をちゃんとしているカツ兄を見るとなんか涙が出てくる。

 

ウルトラシリーズは『帰マン』の坂田家から一般人をレギュラーにするようになった。この流れは平成ウルトラシリーズで一度途切れるが、ニュージェネレーションシリーズでは再び取り入れられるようになり、『ギンガ』や『オーブ』では一般人がメインキャラとなり、『ジード』でもゼロが伊賀栗家に身を寄せていた。そして『R/B』では遂に「一般の家族」が主人公としてウルトラマンに変身する事となった。

 

前作『ジード』の「銀河マーケット」に続いて本作でも特別チームの代わりにレギュラーメンバーが揃う場所として「クワトロM」が設定されている。又、仮面ライダーシリーズのおやっさん枠や『ジード』の店長と言ったコメディリリーフでもあり主人公の父親代わりでもある人物として湊ウシオが設定されている。
クワトロMは主人公達の実家で、ウシオも主人公達の実の父親であるとヒーロー作品でよくある「主人公にとって家のような場所」「主人公にとって父親のような存在」が『R/B』では本当の家と父親になっている。

 

劇中に登場するウシオミナトブランドのTシャツは実際に発売されていた。

 

20世紀のウルトラシリーズは殆どが特別チームを中心にした話なのである特定の地域が舞台になる事は少なく、毎回の舞台になっていて地名がハッキリと出ていた場所は『80』の桜ヶ岡中学校くらいしかなかった。
ニュージェネレーションシリーズになると特別チームがメインではない作品が多くなり、『ギンガ』の降星町、『ギンガS』の雫が丘、『オーブ』の北川町、『ジード』の星山町と言った町が登場するようになった。
これまでは毎回の舞台となる町の名前が出てくる程度であったが『R/B』では綾香市に関する設定が数多く作られ、これまで以上に「町を舞台にしている」と言うのが強くなった。

 

今回は湊カツミと湊イサミの兄弟が主人公。
第1話となる今回は二人のキャラクター紹介になっていて、仕事をしていて現実主義者な兄と大学で宇宙考古学を専攻していて夢見がちな弟と分かりやすく対比されている。
他にも弟が不思議な現象を見付けたら立ち入り禁止の場所にも平気で入ってしまうと好奇心で無茶をするのに対し、兄は逃げ遅れた子供がいたら怪獣が迫る中でも助けに行くと正義心で無茶をする。怪獣に追われた時に兄はがむしゃらに走るだけだが弟は自転車を見付けて早く逃げる事が出来たと様々なところで両者の対比が行われていた。

 

ニュージェネレーションシリーズの定番となった「歴代ウルトラマンの力を借りる」は今回は火のタロウクリスタルや水のギンガクリスタルと言ったように歴代ウルトラマンの力がクリスタルに込められているが、歴代ウルトラマン要素よりも「火・水・風・土」と言った四大元素の方が重視されていて、歴代ウルトラマンの力が込められている事にあまり意味が無いようになっている。

 

本作は2010年代では珍しく他のウルトラ作品との関わりが抑えられているが、ロッソとブルと同じ出身であるオーブとは繋がりはあり、オーブ自身の登場は回想場面のみであったが、『オーブ』で使われた四大元素の設定を本作でも踏襲する等、O-50関連の掘り下げが行われた。

 

これまでのウルトラシリーズでもレギュラーのウルトラマンが二人いた作品はいくつかあるが、それらでは先輩後輩と言った関係になっている事が多く、経験があるウルトラマンが新人ウルトラマンを見守り指導する形になっている事が多い。しかし、今回は二人とも新人で戦闘経験が全く無いとなっている。
ウルトラマンでありながら戦闘経験が無くてトラブルばかりと言うのが笑いになっている一方で「新人なのでウルトラマンの力を全て引き出す事が出来ていない」「クリスタルの力で火・水・風・土と言った属性の技が使える」「二人は性格が違っていて、光線の形も変わっている」と言うのを合わせて「二人で考えて今ある技を色々組み合わせて勝機を見出す」と作戦や戦術を重視した頭を使う戦いになっている。

 

イサミ「カツ兄、どうやったんだ?」、
カツミ「分からん。なんかビュッて出た」。
と言うやり取りやイサミがとりあえず撃ってみた光線が前にいたカツミに当たってしまう等、戦闘経験があったり誰かからアドバイスを受けられる状態だとあり得ないドタバタした戦いが実に面白い。
よく考えたら一般人がいきなり巨人に変身してスムーズに戦える方がおかしいので、こちらの方が実はリアルなのかもしれない。

 

謎の空間でルーブジャイロとルーブクリスタルホルダーを手にしたカツミとイサミはロッソとブルに変身する。
事情を全く知らないはずのカツミとイサミが変身や名乗りをスムーズに出来たのは不思議で違和感を覚える。先代の意思が微かに残っていたのかルーブジャイロに変身方法が記録されていたのだろうか。
この「事情を知らない人物が複雑な工程がある変身を何故か出来る」と言うのにツッコミを入れたのが後の『Z』第1話「ご唱和ください、我の名を!」である。

 

グルジオボーンの動きが人間臭くてコミカルだったのは今回がギャグだからと言うのもあるが実は人間が変身していたと言う伏線でもあった。

 

「近所にすき焼きのお豆腐を買いに行く」と言ったまま母親が姿を消してしまうと言うのは自分の身に起きたらと考えるとかなり怖いシチュエーション。
『R/B』は基本的にコミカルなのだがところどころにかなり怖いシーンが挟まっている。

 

アサヒ「カツ兄! イサ兄! しっかりしてください! 目を覚ましてください!」、
カツミ&イサミ「アサヒ……?」。
戦いが終わった後にアサヒが登場。真実を知った状態で第1話を見るとカツミとイサミが最初の戦いを終えるまでアサヒが全く登場していない事に気付く。でも、アサヒが登場していなかった場面の殆どが学校で授業が行われている時間帯だったので、アサヒは学校に行っていたと考えたら腑に落ちるようになっている。
アサヒが登場してすぐにカツミとイサミがアサヒの名前を呼んだり、その後も普通にやり取りをしているので、意識して見ていなかったらここでアサヒを疑う要素はあまり無かったりする。逆に父親のウシオがカツミとイサミは巨人と怪獣が現れた場所にいるはずだと言って妹を迎えに出しているので、どうして父親はそんな事を知っているのかと、アサヒよりウシオに疑いが向くように会話が作られている。この辺りの話の組み立ては上手くて良い感じにアサヒの謎を作っていた。

 

今回の話は母親の誕生日に起きた出来事となっている。
15年前に母親がすき焼きの具を買いに行ったまま姿を消し、15年後に姿を現した妹がすき焼きの具を買って帰ると言うのは上手い繋げ方。
カツミの「母さん、お誕生日おめでとう」が本人も知らないところで妹の誕生の祝いにもなっていた等、この辺りは真実を知った上でもう一度見ると色々な発見がある。

 

 

 

 


【監督コメント付】『ウルトラマンR/B(ルーブ)』新番組予告 第1話「ウルトラマンはじめました」

 

 

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