帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あめ玉とおまんじゅう」

「あめ玉とおまんじゅう」
ウルトラマンR/B』第21話
2018年11月24日放送(第21話)
脚本 根元歳三
監督 伊藤良一

 

超弩級怪獣グランドキングメガロス
身長 78m
体重 21万7千t
美剣サキがグランドキングメガロスクリスタルで変身した。
圧倒的な戦闘力を誇るが、ロッソフレイムのフレイムミラーウォールで攻撃を弾き返されたところにブルグランドのアースブリンガーを受けて変身解除となった。

 

豪烈暴獣ホロボロス
身長 56m
体重 4万4千t
美剣サキがホロボロスクリスタルで変身した。
ロッソとブルを倒そうとするが最後はルーブに圧倒された。

 

物語
三つのルーブジャイロを同時に起動させる事が出来ず、グランドキングメガロスに変身してもロッソとブルに勝てなかった美剣サキは遂に覚悟を決めてカツミとイサミの命を奪おうとする。

 

感想
オープニングナレーションにアサヒと美剣サキも加わる。
仮面ライダービルド』もだったが、自分はアバンと本編は分けて見る事が出来るので、本編がシリアスな時にあえてアバンをコミカルにするのはアリだと思っている。

 

グランドキングメガロスに変身した美剣サキであったがロッソとブル相手に引き分けに終わる。
グランドキングメガロスのパラメータを考えると、ルーブに変身できなかったロッソとブルに勝てなかったのは変身者の美剣サキの生命エネルギーが弱っているからだと思われる。(美剣サキ自身は戦闘経験が豊富なので万全な状態で戦えば勝てたはず)

 

グランドキングメガロスに変身した美剣サキは強大な力に溺れて暴走していたようだった。
美剣サキはグルジオボーンに変身していたので怪獣への変身は慣れていたはず。と言う事はグランドキングメガロスの力がグルジオボーンより遥かに強大で精神を蝕むほどだったのか、逆に美剣サキの生命エネルギーが弱っていたので精神的な防御も弱ってしまっていたのか。

 

「他人に頼み事をする時は礼を尽くす」のが日本のルールだと学んだ美剣サキは自分の外見(JK)に合った服装(学校の制服)を着て、お土産の「あやかほし饅頭」を持ってクワトロMにやって来る。しかし、その頼み事の内容は「カツミとイサミに死んでもらう」であった。この「頼み事の内容と頼み方にギャップがある」と言うのは「みんなが友だち」での地球爆破宣言の時と同じである。

 

「ルーゴサイトには偉大な真のウルトラマンである兄達でさえ敗れた」。
美剣サキは以前は敗れた兄達の事を低く見ている発言もあったが段々と兄達の偉大さを称える発言が増えてきた。だが、カツミとイサミを認めたくない故に必要以上に兄達を持ち上げているようにも聞こえる。

 

15年前にアイゼンテックがルーブジャイロを発掘して研究している事を知った美剣サキはカツミとイサミの母親である湊ミオと接触していた。
美剣サキによると愛染マコトは小物で研究は全て湊ミオが進めていたとの事。凄いな、母さん。
ただ、愛染マコト(チェレーザ)はミオの残したデータがあったとは言え、AZジャイロとオーブリングNEOを完成させているし、それとは別にキングジョーも用意している。美剣サキはAZ計画を知らなかったりと愛染マコト(チェレーザ)の計画全てを把握していたわけではないので彼の事を過小評価しているところがあると思う。

 

自分と同じように感情的なイサミは自分に対して敵意を剥き出しにするが、感情より役目や使命を優先するカツミはそうはならなかったので、美剣サキは母親の失踪の真実を告げてカツミとイサミが自分と戦うように仕向ける。
それでもカツミが戦う気にならないと見ると「自分も地球ごと爆発してルーゴサイトを倒す。それが自分の使命だ」と今度は「使命」を使ってカツミとの対立構図を作ろうとする。
カツミとイサミの命を奪ってでもルーブジャイロを手に入れると言うのなら、それこそ不意打ちでも何でもすれば良いのに、正面から真っ向勝負を仕掛け、相手に全力を出させようとする辺り、美剣サキの不器用なほどの真面目さが見えてくる。

 

今回の話で美剣サキは「友などいなかった」と語り、アサヒに「後で食べて」と渡されたあめ玉を舐めずに今ここで噛み砕く事で、地球の人々との関係を完全に断ち切り、自分は絶対に地球を破壊してルーゴサイトを倒すと言う覚悟を示した。(あめ玉を捨てずにちゃんと食べるところが彼女らしいなとは思うが)

 

基本的にウルトラシリーズは「主人公達が地球や宇宙や人類に害を成す存在と戦う」と言う形になっているが、『R/B』後半では世界に害を成すルーゴサイトと言う存在がいるのに、そのルーゴサイトを誰がどうやって倒すかでカツミとイサミと美剣サキが争う内輪揉めのような展開になっている。
このような主人公達による内輪揉めは平成仮面ライダーシリーズではよくあるが、ウルトラシリーズでは珍しい。平成仮面ライダーシリーズと違ってウルトラシリーズは変身者自体が少ないので、ウルトラマンに変身する人物同士で対立するとなると『ガイア』『メビウス』『ギンガS』くらいであろうか。今回の美剣サキもウルトラマン側の人物ではあるがあくまで変身するのはウルトラマンではなくて怪獣となっているし。

 

ロッソとブルがルーブに変身できなくなったのはおそらくカツミとイサミの向いているところがバラバラになっていたからだと思われる。
ロッソとブルを守る為にホロボロスに立ち向かうアサヒを見てカツミはウルトラマンとしての使命を優先させようとしていた自分が間違っていた事に気付く。
カツミ「俺が間違っていた……。俺達は何だ? あいつの言うとおり、俺達はウルトラマンじゃない。ヒーローでもな……。俺は湊カツミ、お前は湊イサミ、湊アサヒの兄貴だ。俺達のやるべき事は何だ?」、
イサミ「妹を、アサヒを守る!」、
カツミ「そうだ! アサヒの命を、全てを守る!」、
イサミ「あぁ、分かった。分かったぜ、カツ兄!」。
元々は存在しなかったはずの湊アサヒと言う妹の存在がカツミとイサミの向くところを一つにする。そしてロッソとブルは再びルーブに変身する!
「「偽物上等! 別に本物になんかなりたかねぇ! 俺達はウルトラマンじゃない! 俺は湊カツミ! 俺は湊イサミ! 父さんはウシオで、母さんはミオで、妹はアサヒ! 俺達湊家は地球の日本の綾香市のクワトロMのただの家族だ!! 家族を、妹を守れねぇで何が地球だ宇宙だよ! 家族は絶対に守る! こいつが俺達の覚悟の仕方ってな!」」。
ヒーローが覚悟を決める話はたくさんあるが『R/B』はそこを家族に絡めた話にする事が多い。(美剣サキの覚悟も兄達と言う家族から来ている)

 

カツミ「俺はアサヒの全てを守る。アサヒの命と願いを!」、
イサミ「だから倒さねぇ! お前の事は絶対に許せねぇけどな。お前も倒さないし、地球も爆発させないし、ルーゴサイトにも勝ってみせる!」、
カツミ「アサヒと父さん、それに母さんが帰ってくる場所を守る為に」。
前回から今回にかけて、カツミは「ウルトラマンとしての役目・使命」を、イサミは「オーブダークに痛い目に遭わされた記憶」を理由や基準にして動いていたが、今回の戦いで「家族を守る」を理由や基準にして動く事で二人の考えが一致する。
ウルトラマンとしてではなく湊カツミと湊イサミとして動く。だから、兄として妹の湊アサヒの全てを守る。だから、アサヒの友達である美剣サキも守る。
美剣サキが「全てを捨てる」事で覚悟を見せようとしたのに対し、カツミとイサミが「全てを守る」事で覚悟を見せたのが上手かった。

 

今回の話は伊藤監督の現時点でのウルトラシリーズ監督最終作となっている。

 

 

 

 


【監督コメント付】『ウルトラマンR/B(ルーブ)』次回予告 第21話「あめ玉とおまんじゅう」

 

 

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