帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「さらばウルトラマン」

「さらばウルトラマン -ゼットン・バルタン星人登場-
ウルトラマンパワード』第13話
1994年8月25日発売(第7巻)
脚本 ウォルター・A・ドォティ三世(原案 伊藤和典
監督 キング・ワイルダー
特殊効果 ジョセフ・ビスコーシル

 

宇宙恐竜ゼットン
身長 99.9m
体重 6万6666t
バルタン星人が手に入れた情報をフルに活用して生み出した怪獣。
繭の状態でW.I.N.R.基地に落下して現れた。火球でアメリカ陸軍の戦車部隊を全滅させる。
パワードのメガ・スペシウム光線を吸収するが、パワードの機転によってメガ・スペシウム光線を吸収能力の無い背後に受けて消滅。しかし、パワードもエネルギーを使い果たして相打ちとなった。

 

宇宙忍者サイコバルタン星人
身長 ミクロ~75m
体重 0~2万6千t
バルタン星人の指導者と思われる存在。
パワードが力尽きたのを見計らって母船でW.I.N.R.基地上空に出現してスカイハンターのウルトラレーザーと対決する。
そこに現れたパワードの仲間とスカイハンターによる三方向からのウルトラレーザーを受けて母船は爆発、バルタン星人の侵略は終わりを告げた。

 

M78星雲人
カイ曰く「パワードの友達」。赤い玉の状態で2体現れた。
W.I.N.R.の危機に駆けつけて共にバルタン星人の母船を倒し、力尽きたパワードを赤い玉に変えて連れ帰った。

 

物語
燃え盛る流れ星はW.I.N.R.基地に落下して中からゼットンが現れる。
一方、ベックはカイがパワードだった事を突き止める。
そしてパワードはカイと分離してバルタン星人との最終決戦に挑む!

 

感想
パワード暗殺計画」の続きで原題は「The Final Showdown?」。
「最終決戦?」となるが、最後の「?」が気になる。
因みに日本語タイトルはテロップでは「さらばウルトラマン」となっているが、書籍等では「さらば! ウルトラマン」となっている。タイトルの通り今回の話は『初代マン』の「さらばウルトラマン」のリメイクとなっている。

 

ドラコとの戦いで24時間寝ていないと言うW.I.N.R.に告げられる衝撃の事実。W.I.N.R.基地壊滅!
攻防が無かったのは残念だが、特別チームの基地が壊滅すると最終決戦と言う感じがする。

 

その名はウルトラマン」で名前だけ出ていたガルシア将軍が登場。エドランド隊長にバルタン星人に関する情報を分析して統合参謀本部での会議で発表してほしいと頼む。
「隊長、君だけが頼りなのだ」。
こういう場面で上官と現場の対立や上層部からの無理な要求が無いと言うのはウルトラシリーズでは意外と珍しい。以前にも書いたが、こういうところは日本とアメリカの違いなのかな。

 

W.I.N.R.のミーティングでベックはパワードに関する新たな情報を発表したいと申し出る。それはカイがパワードだったと言う衝撃の内容であった。
信じられないサンダースに対し、ベックはカイがパワードだと思える根拠を並べていく。
①パワードとドラコが戦っている時、カイはローバーの後部座席から消えた。
②皆気付いていて、あえて口に出していないが、カイはパワードと同じところを怪我している。
③カイのその傷は奇跡的に治っていっている。誰かに治してもらっているかのように。
④最初にパワードが現れた時にカイは赤い光に包まれた。その赤い光はパワードが消えた時の光と同じ。
以上の事からベックはカイがパワードと同化していたと考えたのだった。
ウルトラシリーズで主人公の正体が周りに知られる展開は他にもあるが、その多くが主人公から秘密を打ち明けられたり、変身の瞬間を目撃したり、いつの間にかなんとなく気付いていたであった。
個人的には怪獣や宇宙人と言った存在を調査・研究している特別チームがウルトラマンについて全く調べていないと言うのは不自然なので、今回のベックのようにウルトラマンについて調査・研究を続けて証拠や材料を得ていくと言う展開も一つのパターンとして定着させてほしいなと思う。

 

カイはパワードと同化していた事でパワードと同じところを怪我してしまうが、同化しているパワードの力によって奇跡的な早さで傷が治っていった。
最初の『初代マン』でハヤタ隊員が命の危機に陥って初代マンと合体しているので、他のウルトラマンも命の危機に陥った人間と合体する事が多い。しかし、この場合、最終回でウルトラマンが分離すると命の危機に陥っていた人間はどうなるかと言う問題が出てくる。『初代マン』の「さらばウルトラマン」ではゾフィーが新しい命を持って来る事で解決したが、さすがにこの方法は何度も使えるものではない。今回の話で「ウルトラマンと同化した人間はウルトラマンの力によって傷を早く治す事が出来る」と言う設定が出た事で、ウルトラマンが命の危機に陥った人間と合体して傷の治療を行い、傷が完治したので分離しても大丈夫と言う展開が作れるようになった。

 

カイの服からフラッシュプリズムを見付けていたベックはフラッシュプリズムの色がパワードと同じ事から、カイの体の一部は人間ではなく他の生命体と融合していて、フラッシュプリズムはカイをパワードに変身させる為のきっかけを作る道具であろうと考える。 

 

さらにベックはバルタン星人は今までずっとパワードを観察していて、ドラコは中間テストとでも言える存在で、今度のゼットンはバルタン星人が手に入れた情報をフルに活用して生み出したパワード最強の敵、最終テストとでも言える存在と結論付ける。
基本的に『パワード』は『初代マン』と同じように一話完結で様々な事件を扱っているが、最初と最後の敵をバルタン星人にして、バルタン星人はずっとパワードを観察していたとした事で作品全体が一つの物語としてまとまった。

 

ベックの結論にW.I.N.R.隊員は絶望に陥るが、エドランド隊長は「今まで我々はウルトラマンに助けられてばかりだった。今度は我々が彼を助けようではないか!」と檄を飛ばす。

 

地球に刻一刻と近付いてくるバルタン星人の母船。
一方、廃墟となったW.I.N.R.基地前に立ちはだかるゼットンアメリカ陸軍の戦車部隊が攻撃を仕掛けるが火球の前に全滅してしまう。
遂にガルシア将軍は最悪の場合に備えて核兵器の使用を視野に入れる。核兵器を使用したら辺り一帯が死の街になるが、このままゼットンとバルタン星人に敗北したら地球が死の星となってしまう。

 

いまだ眠り続けるカイを見てサンダースは「カイがウルトラマンなんて信じられない……。こんな小さな奴がさ……」と呟く。
そう言えば、サンダースは常にカイの事を心配して気にかけていたような気がする。
又、サンダースは「銀色の追跡者」で「ウルトラマンからだと人間は虫けらに見えるかな?」と言っている。自分と言う存在が虫けらのように思えてしまうほどに巨大な存在が実は自分より体が小さい弟分だった。このギャップこそ変身ものの面白さと言える。

 

分析の結果、ベックはフラッシュプリズムが超小型のレーザー発生器である事を突き止める。
内部のパワーグリッドが弱くて光を増幅させる程度のエネルギーしか出せないが、アンペア数を上げてソーラーパワーでグリッドを充填させれば、従来のどんなものより強力で密度の高いレーザーを発生できる。
こうしてSDI計画の一環で打ち上げ準備中だった軍事衛星の動力源を使ってのウルトラレーザー開発が決定した。
変身道具を分析し、それが最終決戦に使われると言うのは例が無い展開で斬新だった。

 

眠り続けるカイの部屋を赤い光が包み、カイの心にパワードの声が響く。
パワード「ケンイチ・カイ。すまない……。君を苦しめる事になってしまった……。ここまで完璧に同化できるとは思っていなかった……。許してくれ……。これ以上、君の体を傷付けるわけにはいかない」、
カイ「何を言うんだ!? 俺の体を離れるつもりかい? 俺がいないと地球上では生きられないんだろ?」、
パワード「短い時間なら大丈夫だ……。すぐにカタを付ける」、
カイ「待ってくれ! 行くなよ!」、
パワード「カイ……、私は光だ……。二度と会えないわけではない。誰の心の中にも光はあるのだ……。目を開いて周りを見渡せば、きっと私が見える……。さらばだ!」。
目を覚ますカイ。
ベックが尋ねる「ウルトラマン?」。
カイは答える「彼は行ってしまった……」。
これまでのウルトラシリーズでは主人公を助ける為にウルトラマンが合体すると言うのが殆どだったが、『パワード』ではウルトラマンを助ける為に主人公が同化すると言う逆の関係になっていた。

 

カイとの会話でパワードは 「私は光だ……。誰の心の中にも光はあるのだ……」と言っている。「闇からの使者」で太陽の民が太陽の光ではなくウルトラマンの光を欲していたように、今までのウルトラシリーズでは「光」と言うと太陽の光を指していたが本作では別の光を指している。平成ウルトラシリーズでは人の心の光がウルトラマンのエネルギーとなったが、その始まりが、この『パワード』であったと言える。
ただ、この会話で出た「ウルトラマンは光」と言う設定はこれまでの話ではあまり言及されておらず、今回の話で唐突に出てきた印象はある。

 

フラッシュプリズムを使ったウルトラレーザーをスカイハンターに装備するベック。
説明がチンプンカンプンなエドランド隊長にカイが分かりやすく通訳し、それを聞いたベックはそう説明したじゃないと呆れ顔。
サンダースはぶっつけ本番は止めてくれと練習を申し出るが、カイはフラッシュプリズムは本来武器ではないので1回しか使えないかもしれないと答え、ぶっつけ本番で最終決戦に挑む事になる。
現在の地球人のレベルでは侵略者に勝てないが、ウルトラマンの技術を使えば勝てるレベルに引き上げられると言うのは後の『メビウス』に登場するメテオールを思わせる。

 

W.I.N.R.基地前では赤い光からパワードが現れ、残された3分間による最終決戦に挑む!
実写のウルトラシリーズでは初めて主人公とウルトラマンが分離しての最終決戦。
思えば、主人公とウルトラマンがキチンと別れの会話をしたのも実写のウルトラシリーズでは初めてだったりする。
メガ・スペシウム光線を吸収するゼットンに対し、パワードはメガ・スペシウム光線をW.I.N.R.基地で反射させてゼットンを振り向かせると、吸収能力の無い背後にメガ・スペシウム光線を発射して勝利を収める。しかし、ゼットンを倒すのにエネルギーを使い果たしてしまいカラータイマーが消えてしまう。
バルタン星人と戦う前に力尽きてしまったパワード。そして、何かを感じ取ったカイ。
「分からない……。今、何かを感じたんだ……」。
W.I.N.R.基地に到着したカイが見たものは力尽きて倒れたパワードの姿であった。

 

スカイハンターを覆う影。太陽を背にバルタン星人の母船が遂に姿を現す。母船の中にはバルタン星人と、その指導者サイコバルタン星人が不気味に笑っていた。
エドランド「ヤング、敵から逃げ切れるか?」、
ヤング「あまり自信ありません……」。
そんな中、サンダースはウルトラレーザーの準備を進める。
エドランド「いや、待て! サンダース! 逃げよう!」、
サンダース「逃げてもやられちまいます! どうせなら思いっきり戦いましょう!」。
発射されるウルトラレーザー! しかし、直撃しても母船を倒せない!
スカイハンターのメインパワーが切れ、バルタン星人の母船はエネルギー砲の充填を開始する。
エドランド「命令だ! 止めろ! サンダース!」、
サンダース「すいません、キャップ! でも、やらせてください!」。
メインエネルギーが切れていながら発射される2発目のウルトラレーザー!
バックアップのエネルギーを使った事でスカイハンターのパワーは82%にダウン。このままではあと数秒で墜落してしまう!
サンダースの行動は無謀と言えばそれまでなのだが、彼は「銀色の追跡者」でパワードを味方と考えて援護する事を決めていた。結局、この時はサンダースが援護する前にパワードがバルタン星人を倒してしまったので、今回の話でようやくサンダースはバルタン星人と戦うパワードを援護すると言う自分の中での決断を実行する事が出来たのだった。

 

その時、パワードと同じ赤い玉が突如2体出現する。カイ曰く「友達だ……」。
スカイハンターを含めた三方向からのウルトラレーザーによってバルタン星人の母船は爆発。
そのまま2体の赤い玉は倒れていたパワードを包み込んで赤い玉にすると宇宙へ去ろうとする。
呆気にとられるW.I.N.R.の前にパワードの赤い玉が一旦引き返し、しばらくして再び他の赤い玉と一緒に宇宙へ帰っていった。
ベック「さよならって言ってたみたい」、
サンダース「うん、死んではいないよな」。
『初代マン』の「さらばウルトラマン」でのゾフィー登場をイメージしたのだろうが、2体の赤い玉の登場が伏線が全く無くて最初に見た時はかなり驚いた。

 

赤い玉を見送るW.I.N.R.。
カイ「ウルトラマンは言っていた。「誰の心の中にも光がある。目を開けば私が見える」って……」、
ヤング「綺麗な言葉ね。どういう意味?」、
エドランド「誰の中にもウルトラマンはいるのさ。さあ、まだ仕事が山ほど残っているぞ! 行こう!」、
「はい! キャップ!」。
こうして宇宙から来たウルトラマン、パワードの戦いは終わりを告げた。
そして平成ウルトラシリーズでは心の中の光、人間の中にいるウルトラマンが現れる事になる。

 

 

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