帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ネオス誕生」

「ネオス誕生 -怪獣アーナガルゲ登場-
ウルトラマンネオス』第1話
2000年11月22日発売(第1巻)
脚本 武上純希
監督 神澤信一

 

鉱脈怪獣アーナガルゲ
身長 64m
体重 8万t
中央アルプスの阿賀鉱山で目撃された動く岩肌の正体で日本初のアンバランス現象。
地元では鉱山を守るアーナガルゲと言う竜と同一視された。鉱脈を竜に例えた伝説だとする説があるが、アンバランス現象でその鉱脈が怪獣になったのかどうかは不明。
分析によるとダークマターで突然変異した光を放つ微生物が岩石に取り付いたとの事。
攻撃を受けて砕けても修復可能だったが、HEARTの冷却ミサイルで微生物の活動が抑えられたところをネオスのネオマグニウム光線で倒された。

 

物語
ダークマター漂う宇宙空間を通過する事になった地球には様々なアンバランス現象が起きていた。
そして遂に日本に怪獣が出現! その時、謎の巨人が姿を現した!

 

感想
『ネオス』は元々は「ウルトラマン生誕30周年記念作品」を目指して1995年に企画されたもので、初代マンとセブンの平成版と言えるネオスとセブン21のコンビでウルトラシリーズの新しい展開が期待された。
最初はイベントと児童誌を中心に展開して最終的にTV放送を目指す事となったが、この時はTV放送は実現せず、『ネオス』に代わって企画された『ティガ』によってウルトラシリーズは新しい展開を実現する事となった。

 

『ネオス』には1995年に制作されたパイロット版がある。CGを使ってウルトラマンに表情を付ける等、新しい試みがされている。
ネオスとセブン21のデザインは現在のものと一部異なっている。この時のネオスの頭部は幻に終わった中国版ウルトラマンのものが使われている。
パイロット版と後のオリジナルビデオシリーズ版では色々と設定が異なっているが、ネオスの必殺技がパイロット版は「マグニウム光線」でオリジナルビデオシリーズ版は「ネオ・マグニウム光線」となっている等、繋がりを感じさせる部分もある。
パイロット版に登場した宇宙鉱石怪獣ドレンゲランはこれまでのウルトラ怪獣とは違ったデザインで面白かったのでオリジナルビデオシリーズ版にも出てほしかった。
このパイロット版は後に『テレビマガジン』の全員プレゼント作品『ウルトラ戦士 スペシャルビデオ』に再編集されて発表されている。

 

1995年に『ネオス』が企画された頃に円谷プロウルトラマンの整理を行っている。
1995年に円谷プロがカウントしたウルトラマンは初代マン、ゾフィー、セブン、ジャック、エース、ウルトラの父、タロウ、ウルトラの母、レオ、アストラ、キング、ジョーニアス、80、ユリアン、スコット、チャック、ベス、グレート、パワード、ネオス、セブン21となっている。
セブン21を「21番目のウルトラマン」にしたかったのか、カウントに選ばれなかったウルトラマンが何人かいる。
因みにセブン21以降は、ゼアス、ティガ、ダイナ、ガイア、アグル、ナイス、コスモス、ジャスティス、レジェンド、ネクサス、マックス、ゼノン、メビウス、ヒカリ、ゼロ、サーガ、ギンガ、ビクトリーと続いている。

 

ここからは2000年に発売されたオリジナルビデオシリーズ版の話を。
当時TV放送されていた平成ウルトラシリーズやオリジナルビデオシリーズの『平成セブン』がそれまでのウルトラシリーズとは違った設定や作風だったのに対し、『ネオス』は基本・王道の設定や作風となっている。過去の設定を復活させたりオマージュしたりしているので、当時の多くの人がウルトラシリーズに抱いていた一般的なイメージを持った作品となった。

 

懐かしいM78星雲宇宙警備隊の設定を復活させた『ネオス』だが過去の作品とは世界観は繋がっていない。『平成セブン』もTVスペシャル版では『T』等と世界観が繋がっていたのだがオリジナルビデオシリーズ版では『セブン』以外の作品とは世界観が繋がっていない設定に変わっていたので、VAP制作のオリジナルビデオシリーズはあまり他の作品と世界観は繋げない事になっているのかな。

 

本作のオープニングはいきなりカグラが宇宙空間で事故に遭って宇宙の彼方に消えてしまうと言う衝撃の内容となっている。後に明かされるネオス誕生の話への謎掛けとなっていて面白い出だしであった。又、シリーズ通しての軸となるザム星人の壺型宇宙船も既にオープニングに登場している。
ただ、第3話以降も全く同じ映像だったのは残念。ネオス誕生の謎が本編で明かされた後は映像を変えてほしかった。

 

懐かしい『Q』のアンバランス・ゾーンの設定が復活。
全長1mのゴキブリや手の平に乗るほど小さな象の群れが発見されると言う怪獣事件とは違う異常現象が報告されるのはウルトラシリーズでは意外と少ない。手の平に乗るほど小さな象の群れは実際に映像で見てみたかったが全長1mのゴキブリは見たくないなぁ……。
『Q』のアンバランス・ゾーンは地球の自然界の歪みがもたらしたものだったが『ネオス』では宇宙空間に漂うダークマターの影響となっている。『ウルトラマンZOFFY』や『ウルトラマン物語』に「宇宙の歪み」と言う設定が出ていたが、昭和作品の始まりである『Q』のアンバランス・ゾーンに昭和作品の終わりである『ZOFFY』や『物語』の宇宙の歪みを合わせたものが今回のダークマターによるアンバランス現象なのかな。

 

本作の特別チームであるHEART。
予算の関係上仕方が無いが、妙にガランとしている本部が寂しい。
ミナト隊長役はなんと嶋田久作さん。こういう隊長役をするとは思わなかったのでかなり驚いた。
ウエマツ副隊長役はお馴染みの影丸茂樹さんで、やはり安心して見る事が出来る。
ウルトラシリーズの特別チームの隊員は基本的に礼儀をわきまえているので、口が悪いアユミ隊員のキャラは印象に残った。
ヒノ隊員は顔で印象に残った。
『初代マン』や『セブン』を思い出させる戦闘機のデザインや発進シーンが懐かしい。様々な機能を持つ車ハートビーターSXが空を飛んだのは拍手喝采であった。

 

宇宙空間で事故に遭ったカグラは入院していたが退院して現場に復帰。今まで「ミラクルマン」と呼ばれていたが、これからはミラクルを超えた「ウルトラマン」と呼んでほしいと宣言する。
この辺り、他の主人公にはあまり無かった自己顕示欲の強さが見えた。
ミラクルマンの話は『セブン』の「地底GO! GO! GO!」からだが、まさかそのまま「ミラクルマン」と言う単語が出てくるとは思わなかった。

 

ナナ隊員がカグラに「宇宙の果てで会ったのは宇宙人か神様か」と尋ねる。
カグラが出会ったのはウルトラマンと言う「宇宙人」であったが、本作の最終回「光の戦士よ永遠に」にはメンシュハイトと言う悪魔をイメージした敵が登場するので、その悪魔と戦うネオス達ウルトラマンは「神様」と言っても良いのかもしれない。

 

今回の話がHEARTにとって初めての対怪獣戦となる。
話の前半で見られたお粗末な行動は今まで怪獣事件に遭遇していなかった事を演出していたと思うが、隊員同士で喧嘩をしていたら子供が立ち入り禁止区域に入ってしまったと言うのはさすがに問題がある。
話の後半では初の対怪獣戦となるアーナガルゲ戦で冷却ミサイルで微生物の活動を抑えてネオスを援護したりと妙に戦い慣れていた。その為、HEARTは優秀だけれどあまり仕事に熱心ではないと言う感じになってしまったのは残念。
今回の話は一般人が怪獣を目撃しても事故で気が動転していたんだろうとして隊員が調査に乗り気でなかったり、怪獣が地元で語られている伝説の怪物と同一視されたり、立ち入り禁止区域に犬が入り込み、その犬を追って子供が入ってしまう等、お約束な展開が多い。お約束が昔懐かしい雰囲気を作っているのだが、その懐かしさを出す為に強引な展開が目立って色々とバランスが崩れていたところがある。

 

アーナガルゲに引っ掛かってしまったハートビーターSXを救出する為にカグラはハートウィナーを脱出して単身アーナガルゲに向かっていく。
オープニングで描かれた宇宙空間での行動と繋がっていてカグラのキャラクターがよく分かった。
普通の人間であるカグラと巨大怪獣であるアーナガルゲが直接戦うのも『T』を思わせて面白い映像になっていた。

 

アーナガルゲの攻撃に絶体絶命の危機に陥るカグラだったが気が付くと周りの時間が止まっていた。
そこにセブン21が現れてカグラに呼びかける。
「ネオス……、ウルトラマンネオス! カグラ・ゲンキ、君の魂に共に宿るもう一つの友の力を思い出せ。ウルトラマンネオスの力を!」。
カグラの前に現れるエストレーラー。そしてカグラはネオスに変身する!

 

地球に姿を現したネオスであったがHEARTはネオスの出現もダークマターの影響の一環と考え、ハートビーターSXを助けようとするネオスの行動も攻撃しているように見えてしまう。
ミナト隊長は一度は攻撃指示を出すが、ナナ隊員のネオスは自分達を助けようとしていると言う報告を聞くと、臨時本部を飛び出してネオスの行動を直接目で見て、今度はネオスの援護を指示する。

 

ネオスのアクションはジャンプを多用したもので軽快。打点の高いキックが見事! どこか『A』や『T』や『80』を思い出して懐かしい。
セブン21は懐かしのウルトラサインを使ってネオスにネオマグニウム光線を使うよう指示する。これも『A』や『T』や『レオ』と言ったウルトラ兄弟関係の話を思い出して嬉しい演出だった。

 

アーナガルゲが倒された後、ナナ隊員は生死不明となったカグラ隊員の事を思い「せっかく宇宙空間で奇跡的に助かったのに最初の犠牲者になるなんて」と落ち込む。
そこにカグラ隊員が「おーい!」と言って駆けて来る。その後、ネオスに助けられたと説明し、自分でネオスの名前を勝手に付け、最後は皆に無事を祝って叩かれるとあまりにもお約束な結末が心地良い。

 

「俺よりもミラクルな新世紀のヒーローだからさ!」。
1995年から1996年にかけてはTV放送は実現しなかった『ネオス』だが、2000年から2001年にかけてオリジナルビデオシリーズで展開される事になり、「ネオス」と言う名前には「新しいウルトラマン」と言うだけでなく「新世紀」と言う意味も付け加えられる事となった。

 

エンディングではHEART隊員の日常が描かれている。
最も面白かったのはチェスでアユミ隊員に負けてしまうミナト隊長であろう。二人のキャラクターが上手く描けている。
どうせなら全部を日常シーンにしても面白かったかも。
ラストの暗闇でポーズを決めるネオスとセブン21がかなりカッコイイ!

 

1995年に前田達也さんのソロで『ウルトラマンネオス』『ウルトラセブン21』と言う歌が作られているが、2000年にProject DMMによって『ウルトラマンネオス TYPE 2001』『ウルトラセブン21 TYPE 2001』としてカバーされている。

 

 

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