帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「謎のダークマター」

「謎のダークマター -ザム星人登場-
ウルトラマンパワード』第2話
2000年12月6日発売(第2巻)
脚本 武上純希
監督 神澤信一

 

ゾフィー
身長 45m
体重 4万5千t
M78星雲宇宙警備隊の隊長。
ダークマターによって生じるアンバランス・ゾーンの為に地球が混乱の時代を迎える事を知り、ネオスを地球の勇敢な若者であるカグラと一つにした。

 

脳魂宇宙人ザム星人
身長 220cm~60m
体重 157kg~6万5千t
セブン21によると「遥かな宇宙から流れてきた可哀相な宇宙人」。
ダークマターの影響で故郷の星の生態系のバランスが崩れて怪獣が支配する星になったので、ダークマターのパワーで新しいザム星人として進化し再生しようとした。
ザム星人のリーダーがダークマターのエネルギーを浴びるが、苦しみ巨大化して街を破壊するようになってしまう。
目から光線を撃ち、ハサミで相手を攻撃する。他にも姿を消したり、地面に爆発を起こしたりと色々な攻撃を見せる。
ザム星人のリーダーは自分が進化に失敗した時の事をネオスに頼んでいて、その願いに応えたネオスのネオマグニウム光線によって倒された。そして、他のザム星人は壺型宇宙船で宇宙へと逃亡した。

 

物語
ある夜、子供達は街の中にタワーが突然現れたのを目撃するが大人達は全く関心が無かった。
HEARTが調査を開始するとカグラの前に謎の少女が現れて……。

 

感想
「平成のバルタン星人」を目指したと言うザム星人が登場。
話も『初代マン』の「侵略者を撃て」を思い出させるものとなっている。
ザム星人はパイロット版では地球侵略を企む宇宙人であったが、オリジナルビデオシリーズ版ではバルタン星人と同じく故郷を失った放浪者となっていて、ウルトラマンや地球人と戦い続ける事になった昭和のバルタン星人のIFのような存在となっていく。

 

ザム星人は一つ目のデザインが実にカッコイイ。
白と黒を基調としたシンプルなデザインでありながら印象に残るものになっていて『ネオス』に登場したキャラクターの中でも完成度の高いデザインとなっている。

 

毎日毎日同じ事の繰り返しでつまらないと嘆いていた子供達はザムタワーの出現を目撃すると大臣の孫である友達を使ってHEARTに調査を依頼する。
「大人達は子供の言う事なんて本気にしない、興味が無い」「無気力、無理解、無関心、いわば人生の倦怠期」「自分は大人になりたくない症候群だ」とこまっしゃくれたところを見せるが、かと言って物凄く生意気と言うわけでもなく意外と素直で、なかなか面白いキャラクターだった。

 

大人達は目の前の風景が昨日と同じかどうかなんて考えずにただなんとなく生きていて目の前に現れたザムタワーにも何の関心も持たなかった。
面白い設定なのだが、巨大化したザム星人が建物を破壊しても何も気にしていなかったのはさすがにおかしい。大人達が気付かない変化を子供達が感じ取り、そこから物語が始まると言うのは良かったが、それがその後の展開にとって特に意味が無かったのは残念。
ここは最後に巨人と巨大怪獣が街で戦わなければいけないウルトラマンシリーズの難しさとも言える。仮面ライダーのような人間大ヒーローだったら最後まで大人達は気付かない子供達だけが知る不思議な事件として描けたかもしれない。

 

内閣情報局とHEARTのパイプ役であるフジワラ秘書官が登場。
『ネオス』はこれまでのウルトラシリーズにあった要素を多く取り入れているが、フジワラ秘書官のキャラクターは『ネオス』のオリジナル設定と言える。
今回のフジワラ秘書官はダークマターの話をしているHEARTに向かって「エキスパート集団が今更天文学の勉強か」と嫌味を言い、「HEARTの給料は国民の血税」として「調査一つまともに出来ない隊員がいたら税金の無駄だ」と酷評する等、HEARTに対して良い印象を抱いていない事が分かる。
このように終始厳しい感じのフジワラ秘書官だが、エンディングではチェスでアユミ隊員に負けたミナト隊長を見て微笑む人間らしい部分も見せている。

 

フジワラ秘書官はプロの集団であるHEARTに所属しているカグラに対して彼は何の専門家なのかとその存在に疑問を抱く。
その話をヒノ隊員から伝えられたカグラだったが特に気にせず、皆が調査をしているのにのん気に鏡で自分の顔を見ていた。自分の顔を気にするところが若者と言う感じがする。
話の流れを考えると、カグラは特に何かの専門家と言うわけではないがウルトラマンとして事件を解決する事が出来ると言う事なのかもしれないが、カグラがウルトラマンである事をHEARTは知る事が無かったので、この辺りの話はいまいち掘り下げられなかった。

 

顔に似合わず(?)、実は発明担当だったヒノ隊員。
平成ウルトラシリーズの発明担当は太目な人が多かったので、ヒノ隊員が発明担当だったのは意外性もあって印象に残った。
発明とは関係無いが、ザムタワーで唸り声を聞いて怖くなってウエマツ副隊長にしがみついての、
ウエマツ「……くっつくな」、ヒノ「はい」、
ウエマツ「……寄り添うな」、ヒノ「はい」、
に笑った。

 

ザムタワーを調査しようとするカグラの前に謎の少女が現れ、全てが終わるまで待ってほしいと訴えるが、ザム星人がHEART隊員を捕らえてしまった為に失敗してしまう。
謎の少女の正体はザム星人かと思いきや実はセブン21の変身であった。
決まった人物に変身するのではなく状況に応じて色々な人物に変身すると言うセブン21の設定は面白いが今回の話ではあまりそれを活かせていなかった。
カグラにとって、ネオスと同じウルトラマンであるセブン21の発言と正体不明の謎の少女の発言とでは信憑性がまるで違ってしまうので、セブン21が地球人とザム星人の衝突を回避したいのなら相手の信頼を得られる姿で話をするべきであった。どうしてセブン21はカグラに対して自分の正体を隠したのだろうか……?

 

ザム星人の故郷の星はダークマターの影響で生態系のバランスが崩れて怪獣が支配する星になってしまったらしい。
地球人の未来の姿としてザム星人を登場させ、ダークマターのパワーに進化の秘密があるとして後の展開に繋げている。

 

ザム星人のリーダーは宇宙に輝かしいザム文明を築く為に今の姿を捨てて進化しなければいけないとして、今の姿のまま地球に住めば良いと言うカグラの申し出を断る。
この時点では語られていないが、メンシュハイトと戦う為にもザム星人は進化して強くならなければいけなかったのだと考えられる。
それにしても『ネオス』や同時期に展開されていた『平成セブン』では「生物は進化しなければ滅びる」「その星にはその星で生まれた存在しか住んではいけない」と言う考えがよく出てくる。
 

ダークマターのパワーをザムタワーのシステムに集めて進化しようとするザム星人のリーダー。ここで中止すると周りに影響が出てしまうらしい。
ザム星人は地球人に危害を加えるつもりは無くて、セブン21もそれを知ってカグラに忠告したようだが、それならどうして街中にザムタワーを作ったのか疑問が生じる。この街にダークマターが多くあったのだろうか。
ザム星人のリーダーは「もし進化に失敗して地球人に迷惑をかけるようになったらその時は……」とネオスに頼む。そしてダークマターのエネルギーを浴びたザム星人は巨大化してザムタワーを破壊。苦しむザム星人を見たカグラは「進化は失敗したのか?」と尋ね、ザム星人は街を破壊する事でその質問に答える。

 

ザム星人が進化に失敗したのを受けてセブン21はカグラに自分の正体を明かし、カグラは宇宙空間に飛ばされた後の出来事を思い出す。
光り輝く世界で横たわるカグラを見守るゾフィー、セブン21、ネオス。
ゾフィー「勇敢な地球の若者よ。ダークマターにより出来るアンバランス・ゾーンの為に地球は混乱の時代を迎える」、
セブン21「しかし、君の仲間を思いやる心と勇気があれば、きっと苦難の時代を乗り越える事が出来る」、
ゾフィー「君は再生する為に我ら戦士と一つになるのだ。ネオス、いいね?」。
黙って頷くネオス。そしてカグラにエストレーラーが与えられる。
ウルトラマン達が見守る中で新たなウルトラマンが誕生するのは『A』や『T』を思い出す。
やはりゾフィーの登場が懐かしくて嬉しい。同じM78星雲出身と言っても新しいウルトラマンとレジェンドのウルトラマンとでは見た時の感動が違う。

 

ゾフィーはネオスと一体化するカグラに「再生」と言っている。セブン21もザム星人の「進化」を「再生」と言っているので、ウルトラマンとの一体化は地球人にとってある種の「進化」と考える事が出来る。
ダークマターと進化をキーワードにして地球人とザム星人とウルトラマンの関係を繋げたのが面白い。

 

ところでゾフィー達が地球に手を差し伸べて、同じダークマターの影響を受けていたザム星には手を差し伸べなかったのは何故なのだろうか。
ザム星の悲劇を後で知ったので、それからザム星人を影から見守って、新たな悲劇を起こさない為に同じダークマターの影響を受ける事になる地球に手を差し伸べる事にしたとかなのかな。

 

ネオスとの出会いを思い出したカグラは立ち上がり、街を破壊するザム星人を見て変身する。
「ザム星人! 君が命を懸けて君の文明を守ろうとしたように、俺も! この星と! 仲間達を守らなければならないんだ!」。
ネオスは一度はザム星人のリーダーに止めを刺すのを躊躇い、戦いが終わった後も逃げるザム星人の壺型宇宙船を追撃しようとするミナト隊長を制止するのだが、悲しい事にそんなネオスが後にザム星人の残党の復讐を受ける事になる。

 

今回のネオスは上空にジャンプしてネオマグニウム光線を撃つが、ウルトラマンがジャンプして必殺技を撃つのはこの頃はまだ珍しかった。他にもザム星人がハサミを地面に突き刺して大爆発を起こしたり、姿を消して地下からネオスを持ち上げたりと今回の戦いは今まであまり無かった演出が見られる。

 

ザム星人に苦戦するネオスを援護しにミナト隊長とアユミ隊員がやって来る。
平成ウルトラシリーズでは隊長やオペレーターが出撃するのは稀なので、いきなり第2話で二人の出撃場面があったのは意表を突かれた。
アユミ隊員の「戦闘はゲームと同じ」発言には不安を覚えてしまうが……。

 

ザム星人の話は『ネオス』全体を貫く縦軸となる。その部分は上手く描けていたが、他の子供達と大人達の関係やカグラの存在理由に疑問を抱くフジワラ秘書官や何故か少女に変身して正体を隠していたセブン21等、中途半端に終わった部分もいくつかあって、一つの話として見た場合、ちょっととっ散らかった感じがあった。
ウルトラシリーズは昔は一話完結であったが平成ウルトラシリーズからは縦軸の話が増えてきて、『ネオス』前後の時代の作品は一つの話の中でシリーズ全体の流れとその話のみの物語をどのように両立させていくか試行錯誤していた印象がある。

 

 

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