帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「見えない絆」

「見えない絆 ー怪獣シルドバン バッカクーン登場ー
ウルトラマンネオス』第5話
2001年1月24日発売(第5巻)
脚本 星野卓也
監督 満留浩昌

 

昆虫怪獣シルドバン
身長 50m 寄生状態・50m
体重 4万9千t 寄生状態・4万5千t
あさひが丘団地に出現した日本におけるアンバランス現象による怪獣第6号。
ヒノ隊員によって07式貫通弾を弱点の腹部に当てられて倒される。その後、造成所に埋められて墓も立てられるが、翌日、墓を壊してゾンビ状態で出現した。
菌糸を通じてバッカクーンにエネルギーを吸われていた。バッカクーンに操られていたが菌糸を切られて活動停止する。

 

寄生怪獣バッカクーン
身長 49m
体重 4万7千t
シルドバンが現れた翌日にあさひが丘団地に出現した。報道では第7号菌糸成長型怪獣と紹介されていた。
最初は巨大なキノコだったがヒノ隊員が撃ったヒートブラスターで怪獣化した。
黄色い胞子を撒き散らす。負傷しても菌糸を使ってすぐに回復する。
菌糸を通じてシルドバンからエネルギーを吸っていたが、ヒノ隊員の垂直降下による一点集中攻撃で菌糸を切られ、最後はネオスのネオマグニウム光線で倒された。
爆発しなかったがその後の処理はどうしたのだろうか?

 

物語
出現した怪獣をネオスの助け無しで倒したHEART。
活躍したヒノ隊員は自信を付けるが、続いて出現した巨大キノコに対し不注意で事態を悪化させてしまう。

 

感想
活躍した隊員が自信を付けるが続く事件で失敗して特別チームから身を引く。しかし、仲間の危機に再び自分のするべき事を見付けると言う王道展開。ヒノ隊員役の森田猛虎さんの演技が光る傑作となっている。
ヒノ隊員は分析開発が担当だが前線でも戦い、ギャグメーカーだがナイーブでシリアスな部分もあるとHEART隊員の中でも特においしい役どころとなった。

 

迅速かつ正確な武器の選択とフォーメーションの指示でシルドバンを倒したヒノ隊員はアユミ隊員との将棋対決でも見事に勝利を収める。アユミ隊員はチェスは強いが将棋はあまり強くなかったようだ。
因みにエンディングではアユミ隊員が将棋でヒノ隊員に負けて悔しがる直後に今度はチェスでミナト隊長に勝って喜ぶ場面が繋げられている。

 

自信を付けたヒノ隊員は自分が隊長になる日も近いと豪語。
ウエマツ副隊長達はヒノ隊長誕生を嫌がるが、カグラだけは「隊長! 給料上げてください!」とちゃっかり頼み込んでいる。カグラのこういうところは現代っ子だなぁと思う。
もし本当にヒノ隊員が隊長になったらだが、ミナト隊長やウエマツ副隊長に比べて精神面が脆いので逆境に弱そうだ。

 

HEARTがネオスの助け無しで怪獣を倒したのは今回が初めて。倒したシルドバンだが置き去りになった怪獣の死体の悪臭に苦情が殺到し、HEARTは手分けして怪獣の死体を処理できる場所を探すが、保健所、産業廃棄物処理課、清掃事務所と全て駄目で、ようやく許可が取れた海外の民間会社も予約して一ヶ月後になると言う事で、結局はヒノ隊員のアイデアで造成所の人に許可を貰って怪獣を埋める事になる。
そう言えばいつもはネオスが怪獣を爆破していたので後処理はまだ楽だったんだなぁ。怪獣を倒した後の処理をどうするのかと言うのは今までに無い展開だった。怪獣出現が日常になったら出てくるであろう問題なので、この辺りのフォローがあるとリアル感が増すと思う。

 

「住民の避難完了しました!」と言って本当に避難が完了した事は殆ど無くて、危険区域の封鎖が完了しても誰かが入り込んでしまうのは今回も同じ。同じ展開が何度も続くのはちょっと考えてほしいところ。
今回の少年は大切にしていた小鳥を迎えに帰って来たのだが、ウルトラシリーズで小鳥と犬を迎えに帰って来た子供は一体何人いるのやら……。避難の途中で思い出して危険区域に戻るくらいなら最初から小鳥や犬の事を忘れずに一緒に逃げなさいよと言いたくなる。

 

HEARTは若いチームと言うイメージがあるが、さすがにミナト隊長とウエマツ副隊長はベテランの風格がある。
ヒノ隊員の行く末を思っての会話や、負傷を押して出てきたウエマツ副隊長に対して「出てきた以上は大丈夫なんだろうな」と確認して基地を任す場面等にミナト隊長の信頼が見られる。

 

ハートウィナーのコックピットにはパイロットの人形が付けられている。
見てすぐに人形と分かってしまうが、今までコックピットの人を見せるのは意外と無かったので、こういう細かい配慮は嬉しい。

 

バッカクーンとシルドバンとの一対二の戦いに苦戦するネオスだが、ヒノ隊員の援護で逆転勝利を収める。
戦いが終わった後、命令違反を犯したので処分は覚悟していると言うヒノ隊員をHEART全員が庇う。(と言ってもアユミ隊員だけは周りの状況を見てしょうがないと言う感じだったが)
しかし、ミナト隊長は「誰が処分すると言った? ヒノ隊員、良くやったな。よし、これでHEARTが全員揃ったな」と答える。

 

人と人とを繋ぐ「見えない絆」と怪獣と怪獣とを繋ぐ「見える絆」を対比させたのが上手い。「冬虫夏草」と言うアイデアも他のコンビ怪獣には無かったオリジナリティであった。
他にも初めてネオスの助け無しで倒したが故の怪獣処理の問題も今まで取り上げられなかった部分を上手く突いていたし、ヒノ隊員のドラマもしっかりしていて、よくまとまっていた話だった。

 

今回の話でヒノ隊員の父親を演じているのは『セブン』の「円盤が来た」でフクシン役だった冷泉公裕さん。実はロケ地も同じ場所で「円盤が来た」を思わせる台詞もある。

 

今回の話は星野卓也さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。

 

 

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