帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「決断せよ! SX救出作戦」

「決断せよ! SX救出作戦 -怪獣ギガドレッド登場-
ウルトラマンネオス』第10話
2001年4月5日発売(第10巻)
脚本 武上純希・星貴則
監督 宮本拓

 

隕石怪獣ギガドレッド
身長 62m
体重 8万5千t
宇宙から日本アルプス山中に落下した未確認物体。
表面の金属特性は不明で内部スキャンは不可能。
ただの隕石ではなく生きていて人工衛星を次々に飲み込んでいた。
アユミ隊員の推測によると「宇宙にある生命の源たるアミノ酸から微生物が誕生し、ダークマターの影響で怪獣になったのではないか」との事。
セブン21によると、あらゆるものを吸収し、やがて惑星の核にまで入り込んで破壊する「動く要塞」との事。
目から怪光線を発し、飲み込んだ軍事衛星の武器で攻撃する。バリアーを展開する。
軍事衛星のミサイルも飲み込んでいて、ミサイルは軌道を外れると自爆する仕組みになっていて、爆発すれば半径300kmが吹き飛ばされる。
重力遮断システムで浮き上がったところをネオスとセブン21に持ち上げられ、宇宙空間に追放されて爆発した。
ルネ・マグリットの『ピレネーの城』がモデルらしい。

 

物語
宇宙から未確認物体が地球に落下。
基礎調査を行おうとするHEARTに対し、内閣情報局のカタギリ次官は即刻宇宙に追放しろと命令。
不審に思ったミナト隊長は部下に代わって単独調査を行うが……。

 

感想
衛星が次々と消失して衛星ネットワークの維持が困難になった事で日常生活にも支障が出るようになる。
さらにウエマツ副隊長はスパイ衛星や軍事衛星が消失して世界のパワーバランスが崩れて戦争状態になる事を危惧する。
ウルトラシリーズで怪獣が原因で戦争が起きる可能性が生じると言う話は殆ど無いが、今は海の底から宇宙空間まで色々な国の利害が絡んでいるので、怪獣出現によって国際問題が生じると言うのはあり得る話である。

 

どうやらヒノ隊員には彼女がいる模様。デートでカーナビが無いだけでパワーバランスが著しく崩れるらしい。……尻に敷かれている様子が目に浮かぶ。

 

フジワラ秘書官の上司で嫌味なカタギリ次官が登場。
フジワラ秘書官がHEARTに理解のある人物に変わっていったので、彼女に代わって新しくHEARTに理解が無い人物を用意する必要があったのだと思われる。

 

国家的緊急事態と判断されて危機管理会議が開かれ、即刻物体を宇宙に運び出して処分しろと言う命令がHEARTに下される。
部下を危機にさらす可能性があるのでまずは基礎調査をと訴えるミナト隊長に対し、カタギリ次官はHEARTは我々に従えば良いと言い放つ。
結局、ミナト隊長が単独で調査を行ってギガドレッドに飲み込まれる事になり、一人の犠牲は仕方が無いと言うカタギリ次官にHEARTが反発する展開になってしまった。
最初にちゃんと理由を説明すればミナト隊長やHEARTがここまで反発する事も無くてスムーズに処理が出来たと思うが、カタギリ次官には何か素直に説明が出来ない理由があったのだろうか? 考えられるとしたらギガドレッドが飲み込んだ軍事ミサイルの所有国だが……。

 

HEART隊員によるミナト隊長の評価で皆が「HEARTに無くてはならない大切な人」と言っているのに対して、アユミ隊員は「ケチで頑固だし、下手なくせにチェスばっかりやっているし、欠点ばかりな人だけど……」と凄い事を言っている。いつも一緒にいると色々と見えてくるものがあるのだろう。

 

カタギリ次官はウエマツ副隊長を隊長代理に任命して明朝までにギガドレッドを宇宙に追放するよう命令。
「どうしてあんな奴の言いなりになるんですか?」と怒るカグラに対して「ウエマツさんじゃない! いいか、隊長代理として命令する! ただいまよりミナト隊長救出作戦を実行する!」と命令するウエマツ隊長代理が格好良かった。一瞬、「命令だから仕方が無い」と言ってミナト隊長を見捨てるかと思った。

 

ギガドレッドの内部にミサイルがあった事をHEARTに隠して事態を悪化させたあげく、その責任をHEARTに押し付けるカタギリ次官に遂にフジワラ秘書官がキレる!
カタギリ次官のネクタイを締め上げ、
カタギリ「君、上司に何をする!?」、
フジワラ「偉そうに……!」、
カタギリ「はっ……?」、
フジワラ「偉そうにすんなって言ってんのよ! 何隠してんだか洗いざらい話さないと……!」。
その後の怯えてフジワラ秘書官だけでなくウエマツ隊長代理にも何も逆らえず、何を言われても「……はい」と素直に言う事を聞いているカタギリ次官が前半とのギャップで面白い。フジワラ秘書官に一体何をされたのか想像するだに恐ろしい……。

 

HEARTの対ギガドレッド作戦。
最初はチェーンミサイルでギガドレッドの口をこじ開けてハートビーターSXの脱出通路を確保すると言うもの。
次は4台の重力遮断システムから放射される粒子ビームで地球の重力を遮断してギガドレッドを宇宙に追放すると言うもの。
実は今回の話は『初代マン』の「空の贈り物」に展開が似ているが、ギャグではなくシリアスな展開なので全く違う印象の話になっている。

 

今回は大掛かりなミニチュアセットが嬉しい。
夕焼けの使い方も上手く、人物とミニチュアの合成も良かった。

 

HEARTには色々な武器があるが、ミサイルを爆発させない程度にミナト隊長を救出できる物はなかなかなかった。
変身しようと決断するカグラの前にセブン21が現れ、ギガドレッドはネオスでも攻略が難しく、地球人の作戦を見守ろうと告げる。

 

遂に救出作戦を思いつかなかったと言うヒノ隊員に対し、ウエマツ隊長代理が呟く。
「正直……、今まで隊長の事を優柔不断な人だと思っていた。……何故もっと早く決断を下さないのかなって……。でも分かった……。その言えない訳が……。ミナトさんには……その一言に……命の重みがかかっている事が……分かっていたんだ……」。
この辺りは『ダイナ』の「決断の時」を思い出す。
今回の話は実はミナト隊長よりウエマツ隊長代理の台詞が多いのだが、ウエマツ隊長代理の台詞を通してミナト隊長の普段語られない心情が語られている。
上の台詞の後、いよいよと言う時の「我々は本当に手を尽くしたのだろうか……。まだ、何か見逃している事は……」や「出来ない……。俺には……」と言った台詞も緊急事態で命の選択を託された者の苦しみが出ていた。(隊長代理としては正直言って駄目なのだろうが……)

 

ミサイルを発して重力遮断システムを破壊しようとするギガドレッドに対しカグラはネオスに変身。
ミサイルを弾いて重力遮断システムを守るが、弾いたミサイルがHEARTのすぐ近くに落ちて爆発。危ないぞ!
さらにそこにセブン21も登場。ウエマツ隊長代理は二人のウルトラマンを信頼して重力遮断システムを作動。ネオスとセブン21は力を合わせてギガドレッドを持ち上げて宇宙へ。やがて宇宙で爆発が起き、ネオスはハートビーターSXを連れて無事帰って来る。
そしてミナト隊長は心配するHEART隊員に対し、笑顔でサムズアップをした。
因みにギガドレッドを持ち上げるネオスとセブン21の姿はギリシア神話にある地球を支えるアトラスの姿がモデルらしい。

 

フジワラ秘書官は事件が解決して安堵すると、隣で悪態をつくカタギリ次官に対して遂にグーパンチをお見舞いする。
気が済んだと言う感じのフジワラ秘書官にこちらの気もすっきり晴れた。上司に手を上げたのはフジワラ秘書官と『A』の竜隊長ぐらいであろう。
フジワラ秘書官のキャラクターの変化は『ネオス』の中でも特に面白い部分となった。

 

無事に帰還したミナト隊長に対し、ウエマツ副隊長は「隊長代理の任務を完了しお返しします」と敬礼するが、ミナト隊長は敬礼せず握手を求める。
これは冒頭でミナト隊長が握手を求めたのをカタギリ次官が拒否したのと対比されている。ちゃんと握手が出来る上下関係こそ理想と言う事かな?
因みにエンディングを見ると、ギガドレッドの中で覚悟を決めたミナト隊長が敬礼をして、それに対してHEART隊員が敬礼を返す場面があったようだ。この時の「姿を見れずに敬礼を交わした場面」と最後の「姿を見れて握手を交わした場面」も見事な対比だったので本編でカットされたのは残念だった。

 

エンディングと言えば、シリーズ前半にあったチェスでアユミ隊員に負けるミナト隊長の場面を今回入れてほしかったなぁ。

 

脚本の星貴則さんと監督の宮本拓さんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。

 

 

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