「わたしはだあれ? ー宇宙化猫タマ・ミケ・クロ登場ー」
『ウルトラマンマックス』第16話
2005年10月15日放送(第16話)
脚本 NAKA雅MURA
監督・特技監督 三池崇史
宇宙化猫タマ・ミケ・クロ
身長 45m
体重 2万3千t
隕石として地球に落下し、地面に潜って電磁波を吸収して成長していった。有機生命体の脳にだけ影響を及ぼす波長を発し、口から赤、青、黄の電撃を発する。
成長途中で猫を吸収したのか、それぞれトラ、ミケ、クロの猫の姿を残している。
DASHとマックスを追い詰めるが、最後はマックスが高速回転して勢いで出した光線に倒された。
物語
ベース・タイタンの近くに宇宙化猫が現れた!
生物に記憶障害を起こしてしまう宇宙化猫を前にDASHだけでなくマックスさえもピンチに陥ってしまう!
ただ一人正常なエリーはこの事態をどう切り抜ける?
感想
さり気にDASH最大の危機と言っても良いぐらいの大ピンチw
『マックス』はギャグ編やコメディ編になるとかなりのピンチに陥っている。
今回もヒジカタ隊長役の宍戸開さんの演技が光るが、コバ隊員役の小川信行さんの顔芸もかなり面白いw
DASHだけでなくウルトラマンも生物なので宇宙化猫の影響を受けてしまう。
こういうコミカルな動きが出来るウルトラマンは当時はまだ少なかった。
頭部に収納できず、最後は海に捨てちゃったマクシウムソードの行方が凄く気になる。
変身後のウルトラマンの意識が人間かウルトラマンかは話によって微妙に違っているが、今回は「ご飯を食べる時にお茶碗を持つ方の手」の話でカイトの意識だったと思われる。
だけど、宇宙化猫に負けそうになった時にM78星雲光の国を走馬灯に見ているんだよなぁ……。
と言うか、映像作品では数年振り、TVシリーズに限れば数十年振りとなる光の国の映像がこんな話のこんな場面で良いのだろうかw
アンドロイドのエリーは宇宙化猫の影響を受けないので今回は孤軍奮闘。
ウルトラシリーズでは珍しいキャラクター設定なのでいつも目立っている印象のあるエリーだが、ちゃんとした主役回は今回が初めてだったりする。
宇宙化猫の能力でもエリーは冷静沈着なままだったが、記憶を失った皆のハチャメチャ言動には怒り爆発!
その後もマックスの逆転勝利に感極まって涙する等、今回の危機的状況の中でエリーの感情が急速に育まれたようだ。
戦いが終わった後も「本当に凄い! ウルトラマンマックスって。あんなピンチの中で新しい必殺技を生み出すなんて!」と大感激。その後も「ここ一番でやってくれる事は証明済みです!」とベタ褒め。エリーがここまで素直に褒めるのは珍しい。
今回のエリーはマックススパークの名称、活動時間が3分間、パワータイマーは活動時間が残り1分になると点滅する等、マックスについて色々な情報を持っている事が分かる。
2番目と3番目はこれまでの戦いのデータから分かったのだろうが、マックススパークの名称はどこで知ったのだろうか? ゼノンの時のようにカイトがマックスのテレパシーを聞いたとして名称を教えたのだろうか。
「今、あなたの後ろにいるのはこの星を守ろうとしている人達、あなたの仲間よ……。何も思い出さなくたっていい……。ただ平和の為、仲間達を守る為に戦うんだって、それだけを心に思って……。あなたなら出来る! だって、あなたはウルトラマン、ウルトラマンマックスだもの!」。
まさに名言!
何と今回は『ティガ』最終決戦以来となる海のセット!
『マックス』は戦闘場所が幅広くて見ていて飽きない。
最後は高速回転して勢いで出した光線で逆転勝利を収めたマックス。
回転すれば何とかなるのは初代マンからの伝統。
最初はギャグだったが途中から狂気に至っていく流れは『帰マン』の「地球頂きます!」を思い出す。
そこから盛り上がるクライマックスに向かって最後は良い話で締める。……と思いきや、エリーですら忘れていたものがあったw
「俺は仲間じゃないんですね!」。
変身の仕方を忘れたカイトが様々な変身ポーズを取るが、完成作品に使われなかった中には「変身……!」と言う非常に危険なものがあったらしいw
『セブン』の「第四惑星の悪夢」と「あなたはだぁれ?」を元ネタにした「第三番惑星の奇跡」と「わたしはだあれ?」と言うサブタイトルを初めて見た時は不安に駆られたが、実際に見ると、どちらもウルトラシリーズに残る傑作であった。
脚本のNAKA雅MURAさんと監督の三池崇史さんはウルトラシリーズは前回の「第三番惑星の奇跡」と今回のみの登板となっている。
これまでウルトラシリーズとはあまり関わっていなかった人物が参加してバラエティ溢れる作品となったのが『マックス』の魅力の一つ。