「燃えつきろ! 地球!! ー挑発星人モエタランガ登場ー」
『ウルトラマンマックス』第31話
2006年1月28日放送(第31話)
脚本 中島かずき
監督 梶研吾
特技監督 高野敏幸
挑発星人モエタランガ
身長 180cm~50m
体重 77kg~4万2千t
黄色い発光体で地球に侵入した。
空間転移で相手を翻弄し、瞳から炎を、左手の甲から光線を、右手の甲から捕獲光線を発する。
光波チャンネルを通じてモエタランガウイルスを人間に感染させ、生体全ての行動を司る神経電離をメタ次元ニューロンを通じて吸収する事が出来る。この事によって人間は新陳代謝が異常活性化して脳が極度の興奮状態になり、いわゆる「熱血」状態になって最後は「燃え尽き症候群」に陥ってしまう。
人間を脆弱な存在と侮っていたがトミオカ長官ら老人達の底力によって形勢逆転され、最後はマックスのギャラクシーカノンで倒された。
『ネクサス』のグランテラの着ぐるみを改造している。
物語
街に現れたモエタランガによって全ての人が「熱血」状態になってしまった!
異常な興奮状態になった人々はモエタランガに戦いを挑むが今度は「燃え尽き症候群」に陥って活動不能になってしまう。
マックスすら戦えなくなった今、モエタランガに立ち向かえるのは誰だ!?
感想
「もしも皆が熱血になったら?」と言うテーマ一本でグイグイ押して行った話。
最初はギャグで後半はややホラーになりながらも最後は気合いで押し込む辺りは「わたしはだあれ?」の構図に近い。(エリー一人だけ冷静なのも同じ)
このパターンの元祖は『帰マン』の「地球頂きます!」で、今回の話の初期案ではササヒラーが登場する予定だったらしい。
今回の見所の一つは前半のハイテンションな人達。街の人達が立ち上がってモエタランガに挑む場面は『T』の時代を思わせる。
ヒジカタ隊長の「ファイトー!!」は思わずこちらが「イッパーツ!!」と続けたくなる。
いつもだったら死んでしまう高さから落ちても平気だったりとギャグ漫画を思わせる演出もあった。
マックスとモエタランガの戦いの時の「どうしたマックス!? 気が早すぎるぞ!」は歴代ウルトラシリーズでも特に笑えるナレーション。
燃えつきたカイトと人間大のモエタランガが公園を歩き回る場面はシュールで印象に残る。
二人の会話の内容は「ウルトラマンは地球で活動する為に地球人と一体化したが、その地球人が活動不能になった事でウルトラマン自身も手も足も出なくなってしまう」と言うもの。地球人の肉体を「ウルトラマンにとって牢獄」と表現したのが面白い。
モエタランガは表向きはカイトと話をしているが実際はカイトの中にいるマックスに話をしていて、カイトの事は脆弱な地球人と侮っていた。しかし、最後はその地球人の頑張りによって負けてしまうのは皮肉ではある。
モエタランガが人間の体内時計を10倍に速めるが、ヨシナガ教授がそれなら普段の10倍の速度で仕事が出来ると返したのが上手い。
年寄りは新陳代謝が遅いので逆にモエタランガに気合いを入れてもらったようなものだとしたのは歴代ウルトラシリーズでも年長者が活躍する『マックス』ならではと言える。
ただ、トミオカ長官、ヨシナガ教授、ダテ博士の年長者トリオがカッコ良かった半面、現役の特別チームであるDASHにも頑張ってほしいと思う。かつての英雄達の頑張りも良いが、現在の地球を守っているのはDASHなので。
モエタランガが滅茶苦茶イイ声をしていて、デザインや話の展開とのギャップがあって面白かった。
後に『仮面ライダーフォーゼ』のメインライターを務める中島かずきさんはウルトラシリーズは今回のみの登板となっている。