帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「地上壊滅の序曲」

「地上壊滅の序曲 ー機械獣サテライトバーサーク 機械獣スカウトバーサーク登場ー
ウルトラマンマックス』第38話
2006年3月18日放送(第38話)
脚本 小中千昭
監督・特技監督 八木毅

 

地底人類デロス人
身長 180cm
体重 50kg
地下8千mにある地殻とマントルの境目であるモホロビッチ不連続面に存在する文明。
人類の産業によってオゾン層が薄くなり、太陽からの有害放射線が地中にまで届くようになった事で滅びようとしていた為、バーサークシステムに保護を求める。

 

機械獣スカウトバーサーク
身長 56m
体重 6万3千t
バーサークシステムがマックスの能力を分析する為に送り込んだ。
両肩から発する光線で地上の街を破壊していく。
ギャラクシーカノンで倒されるが、マックスの能力分析は完了させた。

 

機械獣サテライトバーサーク
身長 230cm
体重 147kg
バーサークシステムが地底世界への侵入者を迎撃する為に設置した。
カイトとミズキ隊員を捕らえ、デロスの真意を伝える。

 

物語
地上各地に現れた機械人形オートマトンは地底人デロスの使者として、地上人が全ての経済活動を停止しないとバーサークシステムで攻撃を開始すると宣告する。
地上人と地底人の全面戦争が迫る中、カイトとミズキ隊員はデロスとの交渉に向かうが……。

 

感想
『マックス』ラストエピソードの前編。
バーサーク関連は他のウルトラシリーズには見られないデザインラインで実に良い感じ。特にスカウトバーサークはヤラレ役で終わらせるには惜しい良デザインであった。
スカウトバーサークが分析したデータは次回に登場するギガバーサークへと活かされる事となる。この流れは『パワード』の「パワード暗殺計画」を思い出す。

 

ウルトラシリーズの最終回は宇宙関係が相手になる事が多かったが今回は地底人が相手となっている。デロスは『セブン』のノンマルトを思い出す設定だが、地底から世界各地に攻撃を仕掛けると言う点ではゴース星人もモデルにしているように思える。

 

いきなりベース・タイタンを始めとする世界各地のDASH基地が破壊されると言う衝撃の出だし。その後に始まる回想シーンもスカウトバーサークの破壊シーンから始まるので冒頭からテンションが上がる。

 

カイトが変身しようとするとマックスがM78星雲に帰る時が近付いていると伝える。
勇気を胸に」辺りから近いうちにマックスが地球を去る事は匂わされていたが、具体的にどのような理由で帰還する事になったのかは語られていない。文明監視員としての決まりだろうか。

 

話を聞いたカイトはマックスがいなくなって自分達だけで地球を守り切れるのか不安になる。この不安は的中し、今回の話のラストシーンでカイトは最も大切な人であるミズキ隊員を守り切れなかった。

 

ミズキ隊員の質問に対してエリーは人類が50年後に平和に繁栄している可能性は62%だと答える。
カイトとミズキ隊員は数字の低さに衝撃を受けるが、ミズキ隊員が提示した「人類の平和」とは「怪獣とか侵略とか人間同士の戦争が無くなった状態」だったので、50年後に人間同士の戦争が62%の可能性で無くなると言うのは実は凄い事なのではと思える。

 

ミズキ隊員が1年以内に死亡する確率が48%と言うのはさすがに高い数字で驚いた。
でも、これまでも何度も撃墜されてはマックスに助けられていたので、もしマックスがいなかったら途中で死んでいてもおかしくはなかった。
もしウルトラマンがいなかったら主人公達は生き残れたか?と言う展開は「勇気を胸に」でも描かれている。

 

ダテ博士、四度目の登場。「甦れ青春」の時は一度きりの特別ゲストだと思っていたので、こんなに登場したのには驚いた。

 

ダッシュバード3号ドリルユニットが登場!
設定のみで終わると思っていたので、ちゃんと活躍できて嬉しかった。
ドリルメカの伝統として途中で事故ってしまうが……。

 

世界UDFの総意は「同じ地球に住む者同士なら戦わずに解決したいが、地上の経済活動を一斉に止めるのは不可能で、交渉が決裂した場合は防衛戦争をしなければならない」と言うものだった。
ウルトラシリーズでは怪獣にしろ宇宙人にしろ敵が単独で現れる事が多いので「戦争」と言う単語はあまり使われないが、今回は地上人と地底人の全面戦争の可能性が生じた。
やはり「戦争」と言う言葉の響きは重い……。

 

ダッシュバード3号の中でミズキ隊員は自分が星への憧れからパイロットになった事や人類もいつかマックスみたいに宇宙に旅立つのかを語る。
最終回を見据えてか後半の『マックス』では人類が宇宙に旅立つかどうかと言う話が何度か出ている。最終回の50年後の未来の場面でその答えが示されるわけだが、前回や今回のミズキ隊員の話を聞くと、カイトそっくりの孫だけでなくミズキ隊員そっくりの孫も宇宙に旅立たせても良かったかなと思う。

 

特別チームの基地が破壊されるのは『初代マン』から続くウルトラシリーズの伝統。
ただ、デロスがオートマトンを通じて警告を発し皆の避難が完了した後だったのでやや呆気無い基地破壊となった。まぁ、ここでデロスが警告無しで攻撃をして多数の犠牲者が出たら地上人と地底人の和解は完全に不可能になってしまうので仕方が無い。

 

地上を攻撃しようとするバーサークシステムを見てカイトはマックススパークを掲げるがマックスは変身を拒否する。
ウルトラマンは地球と言う同じ星の異なる文明同士の争いに加担する事は出来ない。これはもちろん『セブン』の「ノンマルトの使者」を下敷きにした考え。
「星の中の争いには関わらない」「その星の決定に口出し手出しはしない」とウルトラマンの基本は内政不干渉なのだが、ウルトラマンも人なので使命とはまた別の感情で色々と動いてしまう事になる。

 

バーサークシステムはアルファ粒子発生システムで地球の大気を太古の時代に戻そうとする。
『マックス』では人類の文明を破壊しようとした存在は多くいたが、人類の文明どころか地球そのものを変えてしまおうとした存在は『マックス』の中でも少ない。

 

ミズキ隊員は「そんなに人間に滅んでほしいのか」とバーサークシステムに訴えるが、その人間が無自覚にデロスと言う存在を滅ぼそうとしていた事実に衝撃を受け、遂に心が折れたミズキ隊員はカイトの腕の中で息絶えてしまう。
前作『ネクサス』の反動から王道路線で始まった『マックス』はラストエピソードで「話の後半でマックスに変身しないし戦わない」「ヒロインが息絶えてしまう」と衝撃の展開で最終回へと続いていった。
と言う事で次回「つかみとれ! 未来」に続きます。

 

 

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  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: DVD