帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「きみの決める未来」

「きみの決める未来」
ウルトラマンタイガ』第5話
2019年8月3日放送(第5話)
脚本 皐月彩
監督 田口清隆

 

ダマーラ星人
かつてセグメゲルに星を滅ぼされた。
地球にセグメゲルが出現したのを受けてE.G.I.S.に情報を提供しに来るが、そのままなし崩し的にE.G.I.S.と一緒にセゲル星人の召喚士を捜す事になった。

 

セゲル星人葵
セゲル星人の召喚士で水晶玉を使ってセグメゲルを召喚し自分達が生存できる星を蹂躙していた。
内心は召喚士としての生き方に嫌気が差していて、自分の体にあるセグメゲルの毒に対する抗体をタイタスに与えて消滅した。

 

毒炎怪獣セグメゲル
身長 57m
体重 4万5千t
体内に強力な毒を持つセゲル星人の怪獣。
最初の戦いではタイガのストリウムブラスターで倒されるが召喚士がいる限り何度でも現れる事が出来る。二度目の戦いではタイタスがエックスレットの力で発射したエレクロトバスターで倒され、召喚士の葵が消滅した事でセゲル星人の地球侵略は終わりを告げた。
倒されるとセグメゲルリングとなった。
名前の由来はエジプト神話の女神である「セクメト」と「メルセゲル」から。

 

物語
突如現れた怪獣セグメゲルを何とか倒したタイガ。
しかし、E.G.I.S.に現れたダマーラ星人はセゲル星人の地球侵略はまだ終わっていないと告げる。

 

感想
冒頭のセグメゲルによる街破壊シーンは人間と怪獣が同じ画面にいるので怪獣を近くに感じて怖さが出ていた。
今回の話はそれ以外にもロケ地にある観覧車をミニチュアでも用意したりタイタスとセグメゲルの戦いにピリカと葵が巻き込まれたりと本編と特撮がより近くなる工夫がされていた。

 

街で怪獣が暴れているのをTVで見たヒロユキが部屋を出た直後にTVにタイガが出てくるのはタイミングを考えたら少し早過ぎる気もするがヒロユキ=タイガと言うのが分かりやすくて面白かった。

 

E.G.I.S.にセグメゲルとセゲル星人の情報を提供しに来たダマーラ星人。
バディゴー!」の河津も宇宙人だったがこちらは正体を隠していたのに対しダマーラ星人は自分が宇宙人である事を隠さなかった。
E.G.I.S.は他のウルトラシリーズに登場する特別チームに比べて宇宙人を「特別な珍しい存在」としていないので、宇宙人のダマーラ星人がいきなり来てもすぐに受け入れて話を始めるので展開がサクサク進む。

 

コーヒーカップの縁に腰掛けてヒロユキをからかったらコーヒーの中に落ちてしまったタイガ。
ゼロ辺りからウルトラマンも日常シーンに絡むようになってきたが、『タイガ』では声だけでなくイメージ体があるのでこれまでより表現の幅が広がった。

 

『タイガ』は「仕事」や「経済」が出てくる作品だが今回はセゲル星人の侵略活動を「会社作りの下準備」「調査先に競合がいた」と会社活動に例えていた。
これまでのウルトラシリーズでは宇宙人の活動を国家的軍事的に描く事が多かったが今回はブラック企業的な描かれ方であった。

 

「仕事に人の未来を決める権利は無い」とピリカは言うが、これは仕事を選ぶ事が出来る地球人だから言える事で、セゲル星人のように星全体が侵略活動に従事している種族が聞いたら「こいつは何を言っているんだ?」になるんだろうなぁ。まぁ、地球にもそう言う国や地域や組織や一族はあるが。

 

今回の話は「E.G.I.S.と言う会社に勤める旭川ピリカの話」として完成しているが、最終回まで見ると「アンドロイド・ピリカ03の話」として色々な言動の意味が変わってくると言うかなり練られた話になっている。なので最終回まで見た後にもう一度見る事をお勧めする。

 

霧崎「友を許せば地球人類は滅ぶ。友を殺せば地球の安寧は守られる」。
霧崎のこの言葉で葵と地球人類のどちらが犠牲になるのかと言う展開になるが、冷静に考えたら葵も地球人類も助かる方法はあったと思う。
トレギアは「選択肢を二つ提示している」ように見えて実は「たくさんある選択肢を二つだけに絞っている」のだ。『セレクト! 絆のクリスタル』もだったが、トレギアはあえて選択を限定する事で物語を自分の思い通りに誘導している。

 

今回の話で霧崎が飲んでいるのはこの頃ブームだったタピオカ。あれを一気に吸い込めるのって凄い。僕には無理。

 

今回のセゲル星人の侵略活動に霧崎は関わっていないようだが、セグメゲルが怪獣リングになったと言う事は実はどこかで関わっていたと言う事なのかな。(そう考えるとピリカもヒロユキやホマレと同じくトレギアによって大切な人を奪われた形になる)

 

「自分の未来は自分で決めて良い!……だよね。これは私が決めた未来!」。
ピリカが言ったのは「生きる未来」なのだが、それを「死ぬ未来」と言う結末にするのが『タイガ』らしいなぁと思う。

 

タイタスは普段の言動を見るとちゃんと賢者をしているんだけれど、その一方で賢者の拳で強敵トレギア相手に正面から殴りかかったり、毒を持っている怪獣の尻尾を千切って毒液を直接浴びたりと戦闘では賢者らしいところがあまり見られない。脳筋……。

 

事件解決後、葵との写真を見るピリカ。
タイタスとセグメゲルとの戦いで観覧車とその周りの建物も壊れてしまったので、この写真に写っているもので今も残っているのはピリカだけだったりする。

 

ピリカと葵はどちらも「この服が好き!」と飛びつくような心の持ち主だったのに、一方は仕事を自由に選ぶ事が出来て、もう一方は生まれながらにして破壊と殺戮に従事しなければいけないと言うのが残酷。
『タイガ』は他にも「トレギア」でどちらも12年前にレキューム人に関わったがヒロユキは助かったのに対してチビスケは改造されてしまったり、「群狼の挽歌」で同じ街に住む宇宙人でありながらホマレはE.G.I.S.に所属したのに対してヴォルクはヴィラン・ギルドに所属して犯罪に手を染めると各話のゲストが「主人公達のネガ」となっている。

 

セゲル星人は水晶玉を使ってセグメゲルを何体も召喚する一方で葵が「我々はセグメゲル様に選ばれし高潔な人類だ」と発言したりと、どのような関係なのか気になる存在であった。

 

 

 

 


【監督コメント付】『ウルトラマンタイガ』次回予告 第5話「きみの決める未来」 "ULTRAMAN TAIGA" episode 5 Preview + Director interview !!

 

 

「ザ★ウルトラマンタイタス」前編
『トライスクワッド ボイスドラマ』第5回
文芸・演出 足木淳一郎

 

タイタスの過去編。
昔に比べて今はウルトラマンに使える色が増えてきているが、結果として、同じU40のウルトラマンなのに1979年に登場したジョーニアス達と2019年に登場したタイタスとでは体色が違うと言う問題が起きた。今回はその問題を解消する為に作られた話となっている。

 

今回のタイトルは「ザ★ウルトラマンタイタス」となっている。
『ザ☆ウルトラマン』に関係する話なのに「☆」が「★」になっているのはタイタスが反逆者の血を引いているからだと思われる。
ウルトラマンの反逆者と言えば『ザ☆ウル』のヘラー軍団の他にベリアルがいる。タイタスがジードからブレスレットを託されたのには同じ「反逆者の子供」と言う運命的な繋がりを感じる。
因みにタイタスはエックスからもブレスレットを託されているが、『ザ☆ウル』の「激突!! ウルトラマン対ウルトラマン」に登場したにせウルトラマンジョーニアスの肩書きは「ウルトラマンX」だったりする。

 

マティアの父親でタイタスの育ての親であるザミアスは『ザ☆ウル』の「これがウルトラの星だ!! 第3部」に登場したU40の艦隊の司令官。あまりにマニアックなキャラクターの再登場に驚く。
ウルトラシリーズは『メビウス』の頃から過去作品のマニアックなネタを仕込む事があったが今回のボイスドラマからそのマニアックさが更に加速したところがある。

 

タイガはちょっと気になったとしてタイタス本人に体の色の事を尋ねる。でも、フーマが言っていたようにこう言う話題は物凄くデリケートな問題を孕んでいる事がある。実際、トレギアの問題にはブルー族と言う体の色が根っこにあった。

 

さすがは「賢者」と言うかタイタスの語りによる今回の話は他の回に比べて文学的な感じになっていた。 


【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第5回「ザ★ウルトラマンタイタス(前編)」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode5

 

 

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