帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「夕映えの戦士」

「夕映えの戦士」
ウルトラマンタイガ』第10話
2019年9月7日放送(第10話)
脚本 柳井祥緒
監督 武居正能

 

暗殺宇宙人ナックル星人オデッサ
身長 43m
体重 2万t
「夕映えの戦士」と呼ばれ、ブラックキングと共に銀河にその名を馳せた最強の暗殺者。
あるウルトラマンに敗れた後は地球で隠遁生活を送っていたが闘争本能を完全に抑える事は出来ず、ブラックキングの覚醒で自分の本心に気付くとウルトラマンであるタイガに戦いを挑む。
最後はウルトラマンと地球の力が合わさったフォトンアースのオーラムストリウムで倒された。

 

用心棒怪獣ブラックキング
身長 65m
体重 6万t
オデッサが隠し持っていた卵の中で眠っていたが、オデッサの闘争本能を受けて目覚めるとウルトラマンと戦う。
口から溶岩熱線を吐く。
タイタスに力負けし、最後はエレクトロバスターで倒された。

 

物語
仕事で失敗して落ち込むヒロユキは絵描きの小田さんにアドバイスを受けて立ち直る。
しかし、小田さんの正体は「夕映えの戦士」と呼ばれたナックル星人オデッサであった。

 

感想
「なぁ、ヒロユキ君。この絵、中々完成しないんだよねぇ。絵って面白いもんでな、昨日は良いと思って塗った色が今日はまた違う色が良いんじゃないかって思えてな。それでまた塗り直して、それを何度も繰り返して、そして自分なりの答えを探していくんだ。言うなればヒロユキ君はこの描きかけの絵みたいなもんだ。失敗したって何度も何度もやり直せば良いんだ」。
仕事に失敗したヒロユキに小田さんが掛ける言葉だが、これが出来なかったのがトレギアなのだろう。彼は小田さんと違って永遠に変わらない色=答えを求めようとして最終的に闇と言う色=答えに辿り着いてしまった。

 

オデッサが戦ったウルトラマンはジャックと思われる。
『オーブ』の「地図にないカフェ」に登場したブラック店長もだったが、ニュージェネレーションシリーズでは「侵略や破壊活動を行った宇宙人でウルトラマンに倒されなかった者達はその後どういう道を歩むのか」と言う話がある。

 

小田さんと『帰マン』に登場したナックル星人は別人であるが、小田さんの趣味が『帰マン』に登場したナックル星人が殺害した坂田さんと同じ絵を描く事と言うのは何かの縁を感じる。

 

小田さんの絵は未完成のままだったが、「完成を求めて絵を描き続ける事に幸せを感じていた」のか「結局は完成しない絵では心を満たす事が出来なかった」のか、「未完成」と言う言葉をポジティブに考えるかネガティブに考えるかで小田さんの現状が180度変わる。

 

「小田さんが自分自身に長年吐いてきた嘘を暴き、隠していた本当の心を気付かせた」「今まで封印されていた相棒を復活させて、その願いを叶えた」と大まかにまとめると小田さんとブラックキングを救いに来たようにも見える言動をするところがトレギアの厄介なところ。

 

ウルトラマンは物語の最後に現れて、その物語の主役である怪獣に終わりをもたらすデウス・エクス・マキナのような存在」と言われる事があるが、今回の話におけるトレギアとタイガはまさにそれだった。二人のウルトラマンの登場によってナックル星人オデッサの終わりが確定されたのであった。

 

E.G.I.S.は民間の警備会社なのでヒロユキは厳密には「戦士」ではない。戦う事はあるがそれは依頼人を守る為のもので誰かを倒す為の戦いと言うのは本来は無い。そこがヒロユキと小田さんの決定的な違いで最後までヒロユキが小田さんの心を理解できなかった理由だと思われる。

 

ヒロユキとタイガは小田さんとの戦いでナイトファングリングを使う。ただの音波攻撃のようだが、ナイトファングはこの音波で人間に悪夢を見せていたので、ひょっとしたらオデッサもこの音波を受けてかつてウルトラマンに敗れた悪夢を再び目にしていたのかもしれない。

 

ウルトラマンと戦った事で本当の美しさを知り、その後は地球で楽しく過ごしていた小田さんが最後はウルトラマンと地球の力が合わさったフォトンアースに倒されると言うのは上手いなと思う。

 

ヒロユキ「タイガ……。どうするのが一番良かったんだ?」、
タイガ「俺だって分かんねぇよ。あの時はああするより無かったんだ」。
おそらくだけど、タロウだったら自分なりの答えを戦うまでに見付ける事が出来たような気がする。おそらくだけど。

 

小田さんを「戦いを捨てた良い人」と考えると彼の幸せな日々を壊したトレギアは「悪」になるが、小田さんを「被害者に対して罪を償わず、自分だけ幸せに生き延びている卑怯な人」と考えると逃げ回っていた小田さんを表に引きずり出して死を与えたトレギアはオデッサの犠牲になった人から見たら「ヒーロー」になるのかもしれない。(実は劇中で小田さんから被害者に対する謝罪等は一切無い)

 

今回の話は「夕焼け」と言うのが良かった。「昼」や「夜」や「夜明け」では今回の話は成り立たなかったと思う。

 

 

*さすがに考えすぎだと思うけれど、『帰マン』で郷秀樹がウルトラマンと出会うきっかけの一つが鳩だったりする。

 

 

 
【監督コメント付】『ウルトラマンタイガ』次回予告 第10話「夕映えの戦士」 "ULTRAMAN TAIGA" episode 10 Preview + Director interview !!

 

 

「負け犬の子 中編
『トライスクワッド ボイスドラマ』第10回
文芸 鶴田幸伸
演出 足木淳一郎

 

フーマの人格や戦い方の形成にゲルグと言う存在が大きく関わっていた事が明かされた回。
ゲルグは立派な言動をしているのだが、こう、上手く説明出来ないのだが、今回のゲルグの言葉を聞いていると「彼はウルトラマンにはなれないなぁ……」と言う印象をところどころで受けた。なんか根本的なところで違っていると言うか……。

 

半世紀以上の歴史があるM78星雲関係を今から悪く描く事は難しいので(まぁ、ベリアルやトレギアと言った例外が既に生まれているが)、ウルトラマンになる事や宇宙の平和を守る宇宙警備隊のような大きい組織の負の側面をO-50の戦士の頂や星間連盟を使って描いているところがある。

 

ウルトラマンも人間と一緒になると漫画とか読むようになるのね。 


【ウルトラマンタイガ】『トライスクワッド ボイスドラマ』第10回「負け犬の子 中編」-公式配信- "Tri-Squad Voice Drama" episode 10

 

 

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