帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「バディ ステディ ゴー!!」

「バディ ステディ ゴー!!」
ウルトラマンタイガ』第25話
2019年12月21日放送(第25話)
脚本 林壮太郞
監督 市野龍一

 

サーベル暴君マグマ星人
身長 220cm
体重 75kg
地球を守る為にE.G.I.S.と共同戦線を張る事を決め、ウーラーを地上に誘き出す為に宇宙船からマグマウェーブを発射する。
事件解決後は地球人と宇宙人の共存のモデルケースになる為にE.G.I.S.に入社する事になる。

 

宇宙商人マーキンド星人
身長 180cm
体重 85kg
地球を守る為にE.G.I.S.と共同戦線を張る事を決め、ウーラーの体内にある疑似ブラックホールを中和させる為に疑似ホワイトホールを生み出すミサイル・ヴァイス・ストライクを用意する。
事件解決後は地球人と宇宙人の共存のモデルケースになる為にE.G.I.S.に入社する事になる。

 

ガルメス人
身長 200cm
体重 80kg
宇宙人排除を求める地球人に迫害されるが、トレギアがウーラーを蹴り飛ばした時に破壊された瓦礫から地球人達を守る。

 

変身怪人ピット星人
身長 155cm
体重 60kg
宇宙人排除を求める地球人に迫害されるが、トレギアがウーラーを蹴り飛ばした時に破壊された瓦礫から地球人達を守る。

 

宇宙爆蝕怪獣ウーラー
身長 68m
体重 50万t
悪意が無い存在だが、星々の文明を食べ続けた結果、怨みや憎悪も取り込んで禍々しい姿に変異してしまった。
E.G.I.S.とヴィラン・ギルドの残党による共同作戦で体内の疑似ブラックホールを中和された後、トレギアとタイガのエネルギーを吸収して満足した。

 

物語
ウーラーに敗れたタイガ。
ウーラーの中に入ったピリカはウーラーを救ってほしいと皆に訴える。
果たしてヒロユキ達はウーラーとピリカを救う事が出来るのか? そしてトレギアは……。

 

感想
『タイガ』最終回。

 

ウーラーは設定がちゃんとあって、見た目にインパクトがあって、グロテスクな姿なのに段々可愛く見えてくると言う面白い怪獣であった。

 

『タイガ』はホマレは自分から正体を明かして、ピリカは本人以外の人物が正体について語って、ヒロユキは本人は黙っているつもりだったけれど周りに小隊を指摘されてしまうと正体バレの展開が被らないようになっている。
ただ、既にホマレやピリカが自分の正体を明かしている中でヒロユキがそれでも自分とタイガ達との関係を隠し続けようとした理由が特に無かったのが残念。『タイガ』は地球人と宇宙人の共存がテーマだったので、それを既に成し遂げているヒロユキとタイガ達の関係はもっと色々と描いても良かったと思う。

 

ホマレとカナに自分とタイガ達の関係を指摘されたヒロユキはタイガ達のキーホルダーを咄嗟に隠してとぼけようとする。いや、今更隠そうとしても遅いでしょ……。
因みに次作『Z』の「戦士の心得」ではウルトラメダルを収納しているゼットホルダーは地球人には見えない物質で作られていると言うフォローが入れられている。

 

ホマレはフーマを、ピリカはタイタスを気に入っていたが、ホマレもフーマも荒んでいた時期があって、ピリカもタイタスも作られた(生まれた)直後に他の星に送られると言う共通点があった。

 

宇宙人を迫害していた地球人達がタイガを応援するのを見て「ウルトラマンも自分達が今まで迫害してきた宇宙人と同じなのに自分達を守ってくれるから特別扱いするのか」と語る霧崎。
霧崎はその状況を「混沌」と言っていたが、「自分達を守ってくれるものは応援して、自分達に害を及ぼすものは迫害する」と言うのは実に分かりやすい構図である。実際、『オーブ』の「ニセモノのブルース」ではウルトラマンでなくても自分達を守ってくれたババルウ星人を地球人達は応援した。それより「自分達を守ってくれるものでも宇宙人だったら迫害するのが自然なのではないのか」と言う霧崎の主張の方が捻くれて分かりにくい「混沌」としたものになってしまっている。
『R/B』に登場した愛染マコトは「好きな作品に対する愛が強すぎる為に排他的になった厄介なファン」と言う感じだったが、霧崎は「「故郷は地球」や「ノンマルトの使者」や「怪獣使いと少年」と言った話にのめり込みすぎて面倒臭い事になった厄介なファン」と言う感じになっている。

 

宇宙人絡みの事件が続発して地球人の中に宇宙人に対する敵愾心が生まれるが「地球人と宇宙人が一体化したウルトラマンと言う存在」の活躍によって和解への道が開けると言うのはウルトラシリーズならではの決着で良かった。

 

『タイガ』の地球には外事X課のような組織はあるがウルトラ警備隊のような強大な軍事力を持つ組織はまだ存在していない。そこでヴィラン・ギルドだったマグマ星人達の技術を使ってウーラーへの作戦を展開するのは上手かった。
もし『タイガ』の地球でこの後に地球防衛軍のような組織が作られるのなら、宇宙人やその技術を取り込んだ組織になるのかな。

 

タイガ達とウーラーを見て「怪獣との絆とか言い出すんじゃないだろうなぁ?」と告げるトレギア。
ウーラーがタイガ達を助けようとしたのは彼らが自分を助けようとしている事を分かったから。相手の事を思って動けば相手もそれに応えてくれる。それをしなかったからトレギアの周りには何も無い。

 

ピリカとの話でウーラーは子供と言うか赤ん坊のイメージが出来たが、そう言えばヒロユキとタイガの話の始まりとなったチビスケやベビーザンドリアスも子供や赤ん坊の怪獣であった。
今までチビスケを始め多くの存在がトレギアが原因で命を落としてきたが、最後のウーラーはそのトレギアの力で救われたと言うのは上手かった。

 

ウーラーの光を見て「何だ? この忌々しい光は……!」とか言わずに「温かい……」と言っちゃった事で何だかんだ言ってトレギアの本質は光である事が分かる。
トレギアは仮面を付けてプロテクターでカラータイマーを隠してと自分がウルトラマンである事を否定しているのだが結局は自分の使っている力は光でそれが全てを救う事になると言うのは最高に皮肉が効いていると言うかトレギアにとって最も残酷な答えであった。

 

「どんなに否定しようと、お前はウルトラマン。光を守護する存在なんだ」。
タイガとヒロユキの素晴らしい台詞であるが、これはトレギアが今まで考えてやって来た事全てを「お前はウルトラマン」の一言で全否定してしまうとても残酷な台詞でもある。
『タイガ』では「生まれで人生は決まらない」と言う話をこれまで何度も繰り返し語ってきたが、トレギアだけは「ウルトラマンとして生まれた以上、闇堕ちしても本質が光である事からは逃れられない」とされた。彼は「ウルトラマン」と言う生まれから決して逃れる事が出来ないのだ。
一度背負ったら決して外す事が出来ない「ウルトラマン」と言う肩書きは果てしなく重い。

 

タイガとトレギアの最終決戦。
力強く「俺は光を信じる!」と叫ぶタイガに対し、トレギアは既に光は信じていないし、自分の中の闇すらウーラーの一件で信じられなくなっている。勝敗は既に決していた。

 

太陽を背にしたタイガの姿にタロウの面影を感じ取るトレギア。
かつてウルトラで太陽と言えばウルトラの母であったが、それが息子のタロウへと変わったのは時代の流れを感じる。
そしてトレギアは最初から最後までタイガではなくタロウを見ていた事になる……。

 

ベリアルは最初はケンと戦い、封印から解放された後はゼロと戦い続け、今はジードとの関係が深いと色々なウルトラマンと関わっていたが、トレギアは最初から最後までタロウの存在ばかりを追いかけていた。
因みに『ウルトラマンタイガ超全集』に収録されている「トレギア物語/青い影」によると『セレクト! 絆のクリスタル』でトレギアがカツミを狙った理由は「タロウのクリスタルを使っていたから」となっている。

 

今までタイガは「タロウの息子」と言う呼ばれ方に反発していたが、ここに来てトレギアがタイガの姿に「タロウ……」と声を掛けてしまい、タイガは「そうだ。俺はタロウの息子・ウルトラマンタイガだ!」と返す。
今までトレギアがタイガに向かって言っていた「タロウの息子」と言う言葉はタイガは未熟者で親の影に隠れていると言う煽り言葉であったのだが、今回のトレギアがタイガに向かって言った「タロウ……」と言う言葉はタイガが父タロウと等しい存在になったと言う最高の褒め言葉になってしまった。

 

地球で暮らしていく中で地球人への不満を抱くようになった宇宙人がたくさんいたが、それは地球人が宇宙人の存在を知らなかった事が原因である事が多かった。
そして政府が宇宙人の存在を公にしていない状態で宇宙人と思われる事件が報道されるようになった為、E.G.I.S.と違って情報を殆ど持っていない地球人の宇宙人への印象は最悪なものとなってしまった。
なので、その解決方法として、E.G.I.S.を地球人と宇宙人が共に働く職場として政府公認のモデルケースにして宇宙人と言う存在を地球人に知らせていくと言う決着はなるほどである。
これでE.G.I.S.は地球人、宇宙人、アンドロイド、ウルトラマンが所属し、更に姿形も地球人とは違うマグマ星人とマーキンド星人も加わってバラエティ溢れるチームになった。外国と違って日本のドラマには様々な人種が出る事は少ないが、ウルトラシリーズは「宇宙人」と言う設定を使ってそれをする事が出来た。

 

マグマ星人とマーキンド星人がE.G.I.S.に入隊するが正直言って自分はそれは違うと思う。彼らが自分達も活動している地球を救う為に一時的にE.G.I.S.に協力するのは分かるのだが、その後にE.G.I.S.に入社して地球人と宇宙人の共存のモデルケースになるには彼らは罪を犯しすぎている。
二人はヴィラン・ギルドの構成員として今まで怪獣が街を破壊する計画に関わっていた。チビスケを改造されてオークションに掛けられたヒロユキはよく受け入れるなと思う。二人の入社が地球人への贖罪ならまだ分かるのだがそう言う態度には見えなかったし。
この世界には善も悪もあって、同じバット星人やゴース星人でも良い人もいれば悪い人もいると言うのは分かるのだが、「破壊活動をして実際に被害者が出ているのに特に罰を受けずにその後を暮らせている」と言うのは納得できない。

 

『タイガ』は地球人と宇宙人の共存をテーマにしているが、「宇宙人が怪獣を使って街を破壊する加害者で、それによって犠牲になった地球人がいる」と言う部分をスルーしているところが気になる。
例えば今回の話でも宇宙人排除を求める地球人達は宇宙人が起こした事件の被害者だったかもしれないが劇中ではそう言う説明は殆ど無くて排他的で暴力的な存在として描かれていて、逆に宇宙人達はそんな地球人でも守る心優しき存在として描かれていた。
地球の友人」では宇宙人が起こした事件の被害者である田崎修が出ているが、田崎を加害者である小森とは会わせず他の宇宙人に八つ当たりさせる事で地球人の田崎は排他的で暴力的な存在とし、逆に宇宙人のゴース星人は田崎に理不尽な目に遭わされても暴力を行使しなかった素晴らしい人物として描かれていた。
『タイガ』は「宇宙人=悪、地球人=善」と言う構図を崩そうとしたのだが、一方で「怪獣を使って街を破壊する加害者」と「その怪獣の犠牲となった被害者」と言う構図を残していた為、結果として「加害者である宇宙人を良いように描き、被害者である地球人を悪いように描く」と言う形になってしまったところがある。問題提起が良かっただけに残念だった。

 

最後にピリカがE.G.I.S.に帰ってきたのは良いが、どうして無事に帰って来れたのか説明が無いのはモヤッとする。一応、『ウルトラマンタイガ超全集』に説明はあるが出来れば劇中で説明してほしかった。

 

 

 

 


【監督コメント付】『ウルトラマンタイガ』次回予告 第25話「バディ ステディ ゴー!」"ULTRAMAN TAIGA" ep25 Preview+Director interview !!

 

 

 

 

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