帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』

ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』
1997年4月12日公開
脚本 斎藤和典
監督・特技監督 小中和哉

 

ウルトラマンゼアス
身長 60m
体重 5万4540t
レディベンゼン星人曰く「地球の希望」。
普段はのMydoの正隊員・朝日勝人として活動している。ピカリブラッシャー2でゼアスに変身する。
ベンゼン星人との戦いで潔癖症を克服したが、ウルトラマンシャドーに敗れて戦闘恐怖症になってしまう。正道会館の角田師範からかかとおとしを伝授され自分の力を信じられるようになるとウルトラマンシャドーとの再戦ではウルトラかかとおとしとクロス・スペシュッシュラ光線で勝利を収めた。

 

Zカプセル怪獣ラクロン
身長 ミクロ~58m
体重 0~7万t
ウルトラマンシャドーに敗れて戦意喪失した勝人にゼアスの父が与えたカプセル怪獣
身軽で学習能力が高く、ミラクロン・エレキネシスでダークラーをウルトラマンシャドーに投げつけてカプセル怪獣初勝利を挙げるが、ウルトラマンシャドーのシャドー・メリケンパンチで倒されてしまった。
名前の由来は「ミラクル」とカプセル怪獣の「ミクラス」かな。

 

宇宙カード珍獣デジタルカネゴン
身長 180cm
体重 150kg
Mydoで働いている怪獣。手でカードを読み取る事が出来る。
劇中では語られていないが、宇宙旅行をしていたカネガネー星の宇宙珍獣で、金星付近を漂流していたところをMydoに保護され、お金を貯める為にMydoで働いているらしい。

 

妖艶宇宙女王レディベンゼン星人
身長 180cm~59m
体重 90kg~4万9千t
ベンゼン星人のハニー。地球人を戦闘人間として奴隷にし、美しき地球の美しき支配者になろうとする。
普段は影美として影美道場を運営している。
マインドコントロールビームで地球人の心を奪うが、自信を失った人間にだけ効果があるので、地球の希望ゼアスを地球の絶望ウルトラマンシャドーで惨めに倒す事で地球人の自信を砕こうとした。
「何をしても勝てば良い」「力が全てを支配する」と語る。
ウルトラマンシャドーを倒したゼアスを認めるが、人間の心を奪いに再びやって来る事も告げ、光となって宇宙へ帰って行った。

 

宇宙戦闘ロボットウルトラマンシャドー
身長 62m
体重 6万5千t
レディベンゼン星人が作ったロボット。計算上はゼアスと互角の戦闘能力を秘めている「地球の絶望」。
普段はシャドーシティーの地下に収納されている。ダークラーと言うカプセル怪獣を持っている。
シャドー・メリケンパンチとシャドウリウム光線でゼアスを倒し、ミラクロンをシャドー・メリケンパンチで倒すと、マインドコントロールビームで人間の心を奪っていった。
スカイシャークのゼットン砲でカラータイマーを狙われるがシールドで保護していた。
ゼアスとの再戦ではウルトラかかとおとしで一度倒されるがリセットシステムにより復活。シャドリウム光線を全開にして撃つが、最後はクロス・スペシュッシュラ光線を受けて爆発四散した。
名前の由来は「シャドー(影)」かな。

 

Sカプセル怪獣ダークラー
身長 ミクロ~66m
体重 0~7万4千t
ウルトラマンシャドーが使うカプセル怪獣
頭部からのクラクラビームでミラクロンと戦うが敗れてしまった。
劇中では語られていないが、元は衛星グロゲに棲んでいた「クラオス」と言う宇宙モンスターで、レディベンゼン星人によって調教改造されたらしい。
名前の由来は「ダーク(闇)」かな。

 

慢性ガス過多症宇宙人ベンゼン星人
身長 2~63m
体重 123kg~7万6千t
にっくきゼアスの破壊を望むレディベンゼン星人のあなた。
モニターのみの登場でレディベンゼン星人に金エネルギーを与えた。

 

物語
ウルトラマンシャドーに敗れたゼアスは戦闘恐怖症になってしまう。
マインドコントロールビームで自信を失った地球人達の心を奪っていくレディベンゼン星人。
果たしてゼアスは自信を取り戻す事が出来るのか!?

 

感想
ゼアス』の続編。
今回も出光興産がスポンサーで、最高級のガソリンで地球に優しい「スーパーゼアス」が登場。お支払いは当然「出光カード」だ!

 

前作で一人前になったと思われたゼアスだったがウルトラマンシャドーに倒されて戦意を喪失。せっかくMydoの正隊員になれたのに勝人は辞表を出してしまう。
実は前回も今回も勝人はMydo隊員として殆ど活動しておらず、特別チームに所属していながら戦闘機を操縦した事も銃を撃った事も無い珍しい主人公となった。

 

Mydoは大河内隊長と小中井副隊長が参謀と副参謀に昇格し、代わりに薩摩萬隊長と数学副隊長がやって来る。
過去に様々な戦いを経験してきた薩摩隊長を演じるのはモロボシ・ダン役の森次晃嗣さん。ミラクロンがカプセル怪獣だと知って「懐かしいなぁ」と呟いたり、大河内参謀と小中井副参謀が薩摩隊長に指示を出す時にアイスラッガーエメリウム光線のポーズを取っている。
薩摩隊長は勝人の正体を知っていそうな雰囲気で『レオ』のダン隊長を思い出すところがあるが今回は穏やかで優しかった。勝人が辞表を出したり特訓が上手くいかない場面もダン隊長だったら有無を言わさず殴っていそう。
実は薩摩隊長は作戦を立案する事も殆ど無くて、あまり役に立っていなかったりするのだが、それでも頼もしく見えるのは森次さんの存在感なのだろうな。

 

シリコンバレーから日本支部強化の為にやって来た数副隊長は常にパソコンを携帯していて「男とは全て計算で解答を出さなくては」と語るデジタルおやじ。
勝人が辞表を出しても我関せず、気合いの問題とはアナログ的だと一蹴し、作戦の成功率だけでなく不時着成功率まで表情を変えずに弾き出していた数副隊長が最後に勝人がMydoに帰って来る確率000%を気合いで100%にしたのが良かった。

 

スーパーコンピューター・ミドリはグラフィックが変更されている。
数副隊長がミドリに不正アクセスした時の二人の会話がメチャクチャアブナイw

 

レディベンゼン星人を演じるのは神田うのさんで「悪女」「女王様」と言った雰囲気が見事に出ていた。「ゼアスちゃん」と言う言い方が印象に残る。
ベンゼン星人の妻と言う設定だが、鹿賀丈史さんと神田うのさんとはなんとも濃い夫婦だなぁ……。

 

凄まじいインパクトを誇った黒いウルトラマンことウルトラマンシャドー。
『初代マン』の「遊星から来た兄弟」のにせウルトラマンや『セブン』の「ダン対セブンの決闘」のニセ・ウルトラセブンと言った偽者キャラと言うより『A』の「銀河に散った5つの星」のエースキラーのようなライバルキャラに近いかな。

 

本作はK-1正道会館の関係者が特別出演していて、K-1の映画『最強への道 WELCOME TO THE K ZONE』が同時上映されている。
K-1最高の戦士アンディ・フグ選手が見られて嬉しい。
角田信朗さんは自分の力を信じる事を勝人に悟らせる重要な役。勝人の正体に薄々気付いていそうだが……。

 

本作も過去のウルトラシリーズのレギュラー陣が友情出演している。
ハヤタ隊員役の黒部進さんが「悔しいなぁ。もっと若かったらあんな奴に負けないんだがな!」と言いながらカレーのスプーンを掲げる役、フジ隊員役の桜井浩子さんが前作と同じくMydoの出撃を目撃しながら証拠の写真を撮れない主婦役、アラシ隊員役の毒蝮三太夫さんが「アラシ」と言う名前のレポーター役、イデ隊員役の二瓶正也さんがラーメンをすするおじさん役として出演し、前年に亡くなられたムラマツキャップ役の小林昭二さんがラーメンをすするおじさんのおやじとして写真が登場している。
他にも『帰マン』の郷秀樹役の団時朗さんが「ウルトラマンが帰ってきました」と報告するキャスター役、『Q』の戸川一平役の西條康彦さんと『セブン』のアンヌ隊員役のひし美ゆり子さんがクライマックスでゼアスを応援する市民役で出演している。

 

内容について。
冒頭のCGを使ったゼアスとウルトラマンシャドーの戦いはコンピューターゲームのような演出になっていた。
ゼアスがロボットのウルトラマンシャドーと戦い、数副隊長がコンピューターを駆使し、レディベンゼン星人がコンピューターを使った侵略を進める等、今回はコンピューターが一つのテーマとなっている。

 

戦闘恐怖症になった勝人はMydoに辞表を提出する。
透ちゃんが「隊員である以上、いつも恐怖と戦っています。恐怖と戦うと言う事は自分と戦う事と同じです」と引き留めるが、勝人は「透ちゃんには自分の悩みは分からない」と拒絶してしまう。
正直言って、勝人がここまで思いつめるとは予想外だった。それでも透ちゃんはフルートで勝人を励ましていく。

 

勝人がピカリの星を見上げると「心を鍛えよ」と言うウルトラサインが出て、ゼアスの父に体の傷を治してもらい、さらにミラクロンのカプセルを与えられる。この展開は『A』や『T』を思い出す。

 

「強くなりたかったら、まず自分を信じろ。心の力こそ強さの源だ」と「心力」について語る角田師範。
フグ師範代のかかとおとしを見た勝人はかかとおとしを教えてほしいと頼み込み、頼みを聞いた角田師範は木に吊るしたボールを蹴れと指示。高すぎて無理だと言う勝人に「成せば成る」と言い残す。
敗北した主人公が特訓で新しい技を完成させて再戦に挑むのはスポ根ブームの影響があった第2期ウルトラシリーズを思い出す。

 

影美道場での練習シーンは不気味で恐ろしかった。
薄暗い部屋でヘッドギアを付けた青白い顔の子供達が同じ動きを繰り返していく。
ゲームで倒されてもリセットシステムで何度でもやり直しが可能。
この時の子供達の動きがウルトラマンシャドー、つまりロボットと同じ動きなのがポイント。
因みに透ちゃんの弟である勇気をイジメていた三人組は影美道場に通っていて名前が一郎、二郎、三郎となっている。ひょっとして三つ子?

 

シャドーシティーから出撃するウルトラマンシャドーが魔人出撃!と言う感じで格好良かった。その後の太陽から降下する場面も良い。

 

Mydoは今回も看板から出撃するが、隊員はガソリンスタンドの制服から隊員服に自動に変化し、さらに戦闘機へ転送されるようになっている。もはや歴代特別チーム最高の技術力を持っていると言っても過言ではない。
そう言えばMydoは超宇宙防衛機構となっていて、劇中では語られていないが、月、木星土星天王星にも支部を持っているらしい。凄い。

 

カプセル怪獣のミラクロンは同じカプセル怪獣ミクラスを思い出すキャラクター。
レディベンゼンゼン星人はミラクロンを「へなちょこ怪獣」と侮るが意外な活躍に「ゼアスより頼もしい」と評価を改める。確かにダークラーに勝ってカプセル怪獣初勝利を挙げたのは歴史的快挙と言える。
ダークラーはウルトラマンシャドーが使うカプセル怪獣で、悪役のカプセル怪獣は後にも先にもダークラーのみとなっている。それにしてもウルトラマンシャドーが直接カプセル怪獣を使うのは驚いた。
勝人はウルトラマンシャドーに倒されたミラクロンをカプセルに戻すが、近くにいた勇気に正体はバレなかったのだろうか……。

 

マインドコントロールビームで人間の心を奪っていくウルトラマンシャドー。
青白い顔となった人々は影美道場のタワーに吸い込まれて空の彼方に消えていく。それは東京だけではなく、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ニューデリーと影美道場が進出していた世界の主要都市全てで起こっていた。
静かな破壊シーンが逆に印象に残った。
それにしても前年にオウム真理教事件があったと言うのに「マインドコントロールビーム」なんて凄い名前をよく付けられたなぁ。

 

「何故ゼアスは現れないの?」と尋ねる勇気に勝人は「恐いんだ……」と答える。その答えを聞いた勇気は「ゼアスは本当の駄目ヒーローだ!」と叫ぶと自分が強くなって戦おうと決意し、それを見て勝人も特訓を再開する事に。
勇気は正道会館に通っているが弱いからイジメられてばかりいた。その勇気が透ちゃんを救う為に強くなろうと努力する姿を見て、同じく弱いからバカにされているゼアスこと勝人も奮起する。他のカッコ良いウルトラマン達と違って情けないところが多いゼアスだからこそ勇気と勝人の姿が重なった。子供を使った展開が第2期ウルトラシリーズのようで懐かしい。

 

レディベンゼン星人はMydoにやって来て地球を明け渡すよう詰め寄る。
心を奪われた人間は自信を失った存在だったと語り、他の人間の心も砕くと挑発する。しかし、薩摩隊長は「人間の誇りをかけて断固戦う」と宣言するのだった。

 

数副隊長はミドリに不正アクセスして、ウルトラマンゼットンに倒されたのは弱点のカラータイマーを攻撃されたから、黒くてもウルトラマンなのでウルトラマンシャドーのカラータイマーにゼットンと同じ光線を当てれば勝てると分析する。
この作戦はウルトラマンシャドーのカラータイマーがシールドで保護されていた為に失敗に終わってしまうが、保護すると言う事はそこが弱点であると言う事なので狙いは悪くなかったと思う。
因みにゼットン光線は6000万アンペアの電流を凝縮して、そこに2500万ガウスの電磁を交錯させ、それを一気に炸裂する破壊光線らしい。ここまで分かっているとはやはりMydoは凄い。
ところで前作の感想で本作が実際にウルトラマンがいた世界なのか『ウルトラマン』と言う番組が作られている世界なのかよく分からないと書いたが、『初代マン』の「さらばウルトラマン」の設定が登場するので過去にウルトラマンが本当にいた世界と考えて良さそうだ。

 

基地がせり上がるスカイシャークの発進システム。もうガソリンスタンドがMydoの秘密基地だと言う事を知らない者はいないだろう。
夕日をバックにした『セブン』のウルトラホークみたいな発進シーンがカッコイイ。すぐウルトラマンシャドーに撃墜されてTACのように脱出してしまうが……。

 

前作でレポーターに「趣味が悪い」と酷評されたスカイフィッシュは赤と銀を基調とした『初代マン』のビートルみたいなデザインに変わっている。問題点をすぐ解決するとは、なかなか優秀で柔軟な組織だったりする。

 

Mydoが出撃してもデジタルカネゴンはお留守番。
デジタルカネゴン一人でガソリンスタンドはやっていけそうなので、Mydoの出撃中もガソリンスタンドが休みになる事は無くなったようだ。

 

夜中、道場で特訓を続ける勝人に透ちゃんの声が聞こえてくる。
「勝人さん、地球を守って……! あなたは……、あなたは……」。
それを聞いた勝人は叫ぶ。
「僕は……、僕は……、ウルトラマンゼアス!」。
遂に勝人はボールを蹴り特訓を完成させる!
最初に会った時は角田師範の拳に吹っ飛ばされた勝人だったが、もう一歩も動じない。勝人は自分の力を信じる「心力」を手に入れたのだった。

 

本作では新しい変身道具のピカリブラッシャー2でゼアスに変身する勝人。
もう潔癖症は克服されているからか歯磨きシーンは強調されていない。

 

勝人が変身してゼアスが光の中から登場して空を飛ぶところまでノーカットで繋げたのは初めて見た時かなり驚いた。
このように新しい時代と共に新しい映像を見せてくれるのが長期シリーズの楽しみの一つ。

 

ゼアスがシャドーシティーにやって来るとレディベンゼン星人は電波をジャックしてゼアスとウルトラマンシャドーの戦いを全国中継する。
TVを使って全国を戦いに巻き込むのは平成ウルトラシリーズでよく見られる展開。ゼアスシリーズは特訓やカプセル怪獣やウルトラサインと言った昭和ウルトラシリーズの要素を使いながらこれまで無かった新しい要素も色々取り入れていて同時期の『ティガ』と共に新しいウルトラマン像を作っていった。

 

ゼアスはウルトラかかとおとしで一度は勝利するがリセットシステムでウルトラマンシャドーが復活してスペシュッシュラ光線とシャドリウム光線の撃ち合いになる。
計算上は両者互角の威力だが前回は気合いが足りなくて敗れてしまったゼアス。しかし今度は自分の力を信じ、応援する皆の力を得て、最強技クロス・スペシュッシュラ光線を編み出して見事勝利を収めるのであった。

 

レディベンゼン星人はウルトラマンシャドーを倒したゼアスを認めるが、それでも人間の心を奪いに再びやって来ると言い残して宇宙へ帰って行く。ここは『初代マン』の「禁じられた言葉」のメフィラス星人を思い出す。
「人間が未来に絶望した時、地球は私のものになるわ」。

 

クロス・スペシュッシュラ光線を撃つ瞬間、ゼアスの口が開いたのに驚いた。
最初の戦いでウルトラマンシャドーのシャドー・メリケンパンチを受けた時にゼアスの黄色い目が片方だけ赤くなったのが流血しているみたいで痛々しかった。
マスクなので顔が変わらないウルトラマンに表情を付けようとするのは賛否両論あると思うが試みとしてはアリだと思う。

 

戦いが終わった後、空手に打ち込む勝人の姿にはかつての情けなさは微塵も無かった。

 

本作は斎藤さんのウルトラシリーズ脚本最終作と小中和哉さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。

 

『ウルトラニャン 星空から舞い降りたふしぎネコ』とK-1の『最強への道 WELCOME TO THE K ZONE』が同時上映された。

 

 

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