帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「アカシックレコード」

EPISODE:5 アカシックレコード
ウルトラセブン誕生35周年“EVOLUTION”5部作』第5話
2002年9月25日発売
脚本 武上純希
監督・特技監督 高野敏幸

 

メタル宇宙人ガルト星人
身長 2m~50m
体重 150kg~4万t
ミュー粒子を操る事が出来る為、4年前に地球のアカシックレコード接触する事に成功した。人類が滅んで植物生命体が地球の盟主になると発表し、その実現の為に裏で色々と暗躍し、アカシックレコードに関する情報を持つ者を次々と抹殺していった。
様々な光線や光弾を放つ。
ガイモスと共にセブンを追い詰めるが最後はワイドショットで倒された。
実は地球支配の為にアカシックレコードを書き換えたとされるが、戦いが終わった後、カザモリはガルト星人はアカシックレコードを書き換えてはいなかったのではないかと考えるようになる。果たして真実は……?

 

妖邪剛獣ガイモス
身長 60m
体重 5万9千t
ガルト星人が呼び出した怪獣。
口や両肩から光弾を放つ。
ガルト星人と共にセブンを追い詰めるが最後はアイスラッガーで倒された。

 

植物生命体ミツコ
身長 150cm
体重 40kg
カザモリがウルトラ警備隊から持ち去った植物生命体最後の種子が成長した姿。
水分の無い場所では疲労が激しい。カザモリが超能力で作り出した液体を指先から吸収する事で回復する。
イノセント」に登場したミツコと同じ姿だが、以前の個体が長髪でテレパシーを使っていたのに対し今回の個体は短髪で口を使って会話する。
アカシックレコードにネオニューロンと共生した人類と共に地球を継ぐものと記されていた。
浜辺で戯れる場面があるが植物が海水に浸かって大丈夫なのかとちょっと心配。

 

恒点観測員円盤竜
身長 不明
体重 不明
ミュー粒子を自在に操る事が出来る存在。
カザモリはサトミの祈りを聞き入れた円盤竜がアカシックレコードに記されていた人類の滅びを書き換えたと考える。果たして真実は……。

 

物語
植物生命体と逃避行を続けるカザモリ。それを追うウルトラ警備隊と助けるガルト星人。
アカシックレコードに記されている衝撃の真実が明かされた時、地球の未来は……。

 

感想
『平成セブン』完結。

 

それぞれの星にはその星の全ての歴史が刻まれたアカシックレコードが存在し、その記録は不変で決して書き換える事は出来ず、もし書き換えたら宇宙で最悪の罪とされるらしい。
アカシックレコードについては伏線は張られていたのだが「あの人」と人物扱いになっていたので分かり難いところがあった。ミスリードを狙ったのだと思うが。

 

何故かカザモリと植物生命体をウルトラ警備隊から逃がすガルト星人。
ガルト星人によると、かつてのペガッサ星人やゴドラ星人の地球侵略、超能力少年への協力、ネオパンドンを操った事等は全て植物生命体を地球の盟主にする為の行動だったらしい。
おそらく植物生命体に危害を加える恐れがある地球防衛軍の活動を停止させる事が目的だったと思われるが、アカシックレコードに記された事が絶対なら一人の宇宙人が暗躍しなくても植物生命体が地球の盟主になれるはずなので、ガルト星人のやっている事は余計なお世話とも言える。
もっとも、ガルト星人の言い分を信じるならではあるが……。

 

ガルト星人の声が格好良くてヒーロー側の声に聞こえるので、感覚的にガルト星人を悪役から正義役へと変えているのが上手い。さすがは関智一さん。

 

地球防衛軍本部を失ったウルトラ警備隊は警察署の部屋を借り受ける事になる。警察署の名前が佐古水(サコミズ)なのにちょっとニヤリ。
ところでウルトラ警備隊はウルトラホークを2機もどこに置いていたのだろうか? 野暮な疑問なのは分かるがやはり気になる。

 

都内の公園でみすぼらしい姿に変わり果てたイナガキ参謀が発見される。
どうして人類を売ったのか?と言うユキ隊員の問い詰めにイナガキ参謀はそれしか方法が無かったと答えるとユキ隊員の失われた記憶について話を始めるがガルト星人に撃たれて口を封じられてしまう。
力無く公園を放浪している姿が印象的だった。好きなキャラクターだったが物語的にはやはりこの人物の最期はこういうものになるのだろうなぁ。

 

今から4年前、密かに地球に侵入していたガルト星人はこの星の未来を記した通称アカシックレコードと呼ばれる記録を手に入れたが、その内容は人類にとって到底認められるものではなかった。
そこでイナガキ参謀は特殊部隊にアカシックレコードの正確な記録を探らせるが、アカシックレコードそのものは違う次元に存在していて、そこに向かう為の古代のシステムはミュー粒子で作動する為、ミュー粒子を操れない人類である特殊部隊はわずか2名を除いて全滅してしまった。
その生き残りの1人がユキ隊員であった。ユキ隊員はアカシックレコードを感じ取り、自分の脳に共生している特殊な生命体を感じる。

 

サトミが遺した『はるかなはるかな星の物語』の原稿をミツコに読んで聞かせるカザモリ。
最後の原稿にある枯れ木の挿絵がアカシックレコードを連想させるが、これは単なる偶然なのか、それともサトミとアカシックレコードには何か関係があるのだろうか? 植物生命体の話で枯れ木の挿絵と言うのも色々と深読みが出来てしまう。

 

ウルトラ警備隊とサイジョウ参謀の部隊がカザモリと植物生命体を追うがシラガネ隊長は二人を逃がす。
「私も若い時には正義と真実を追究するのがこの仕事の使命だと思っていた。この星を守る為には先住民に武器を向けてもいいのかって上司に食って掛かった事もある。だが、この年になると考え方も変わる。でもお前は若い。正義と真実を貫けばいい」。
今まで色々な事があったシラガネ隊長だけに重みのある言葉。

 

サイジョウ参謀は重要人物でありそうだったが意外と物語に関わらなかった。
しかし、「ダーク・サイド」と「パーフェクト・ワールド」ではサイジョウ参謀の疑いが地球防衛軍壊滅に至り、「ネバーランド」では新人類がサイジョウ参謀の部隊を操ってウルトラ警備隊を倒そうとして最終的にサトミ隊員が命を落とす事になった。今回もサイジョウ参謀の部隊がカザモリと植物生命体を追い詰める事になる等、ガルト星人や謎の男にとってサイジョウ参謀は利用できる駒となっている。
こうして見るとサイジョウ参謀は宇宙人やアカシックレコードに関わった人物と言った事態を一段上から見る事が出来る人物達に振り回される「普通の人間」であった事が分かる。

 

ユキ隊員からアカシックレコードの事を知らされたウルトラ警備隊はオメガファイルから情報を引き出す。
アカシックレコードに描かれている生物の系統樹である進化樹の人類の幹が断ち切られて植物生命体の幹が伸びている事にウルトラ警備隊は衝撃を受ける。
この進化樹は地球の全ての生命の過去から未来への進化と繁栄が記録されているとの事。
気になるのはノンマルトに関する幹が見られない事。
アカシックレコードにノンマルトの幹が無くて人類の幹があると言う事は地球は人類のものだと認められた事になる。それなら「わたしは地球人」でのセブンの決断は間違っていなかった事になり、セブンが罰を受ける事も無かったと思うのだが……。
因みに「ネバーランド」に登場した新人類の幹も無いが、これはガルト星人が独自に進化させていたのが理由だと思われる。

 

アカシックレコードの話を聞いて衝撃を受けるウルトラ警備隊だったが、シラガネ隊長は植物生命体には地球を回復させられる可能性があるとして、人類はたとえ地球の盟主を追われてもどっか隅っこに置いてもらえればいいと語る。
旧支配者と新支配者の対立を描き続けた『平成セブン』でようやく共存の可能性が語られたのだが、この考えがシラガネ隊長個人から人類全体にまで広まるかどうかはまだ分からない。人類の中には地球の盟主を追われる事を認められない人もいるだろうし、植物生命体の方も人類を生き残らせる事を良しとしない人が出てくる可能性があるので、地球の支配をかけた人類と植物生命体の争いが起きる恐れはまだ十分にある。

 

カザモリとミツコ、ユキとガルト星人はアカシックレコードに向かう為の古代のシステムがある宇呂須神社へ集まる。宇呂須神社の名前の由来は「ウロボロス」からと思われる。
アカシックレコードに向かう場所がどこにでもある神社なのはちょっと拍子抜け。こんな大事な場所なのに今まで誰も何もしていなかったのは不自然。地球防衛軍の監視下にでもなっていそうなのだが……。
このシステムは古代文明人が異次元とこの世界を結ぶ為に作ったらしいが、どこの種族が作ったのだろうか? 「模造された男」でラハカムストーンを作ったとされる古代ムー人だろうか?

 

宇呂須神社に現れた謎の男の正体は特殊部隊の諏訪リーダーで、アカシックレコードから地球防衛軍の動きを止めて植物生命体を助けると言う使命を受けていたとの事。
アカシックレコードがわざわざ一人の人間を使って地球の歴史を動かすのは違和感がある。『週刊少年ジャンプ』に連載されていた『封神演義』に登場する歴史の道標・女禍みたいなものなのかもしれないが、そんな存在に宇宙の摂理やら真理やらが保障を与えるとは考えにくい。
謎の男はガルト星人はこのチャンスを利用して植物生命体を傀儡にして地球を支配しようとしているとして自分とガルト星人の考えは違うと告げる。謎の男とガルト星人が同じアカシックレコードに触れながら違う道を歩む事になったのが興味深い。二人の絡みは意外と少ないのだが、もし二人がガッツリとぶつかる事になったら、この時期のウルトラシリーズでは珍しい敵キャラ同士の戦いが見られたのかなと思う。

 

ガルト星人に撃たれた諏訪リーダーはユキ隊員の使命は植物生命体と人類と共に未来への希望となる事で、その為に新しい生命体となって蘇った事を告げる。
死んだ諏訪リーダーは緑の粒子となってユキ隊員に宿り、覚醒したユキ隊員の額に天眼が開くと、かつて頭脳に埋め込まれたネオニューロンが活動を開始し、アカシックレコードから与えられたミュー粒子を操る能力でカザモリをアカシックレコードの所に送るのであった。
人類でありながら宇宙人に育てられた事で人類と宇宙人の架け橋になれる可能性を持ち、さらに人類でありながらネオニューロンと共生した事で人類と植物生命体の架け橋にもなれる可能性を持つとユキ隊員に用意された設定が凄すぎる。ウルトラシリーズで一人の人間にここまで設定がてんこ盛りにされるのは主人公クラスを含めてもそうそう無いだろう。

 

ユキ隊員によってアカシックレコードの所に送られたカザモリ。
荒涼とした砂漠と異様な空が激しく流れる風景が異次元らしくて好き。ただ、アカシックレコードに描かれている進化樹のデザインはシンプルすぎてちょっと物足りなかった。
アカシックレコードに触れたカザモリはサトミの声を聞き、手には『はるかなはるかな星の物語』の原稿が……。
この星を継ぐものはネオニューロンと共生した人類と植物生命体の2種。進化の袋小路に入った人類は滅びる運命であったがネオニューロンと共生して進化する事で生き延びる可能性が生まれたのだった。
「人類にはまだ希望がある。そうなんだね、サトミ」。

 

カザモリは未来を変えようとしたのは人類ではなくてガルト星人である事を知り、カザモリがアカシックレコードに辿り着いた事を知ったガルト星人はガイモスを呼び出す。
天から黄色い光が地上に降り、姿を現すガイモス。
ガイモスのデザインがかなりカッコイイ。全身を蛇が貫いているのはウロボロスの蛇を連想させるし、蛇ではなく竜と考えると円盤竜との繋がりも考える事が出来る秀逸なデザインであった。
ウルトラ警備隊の危機にカザモリはセブンに変身する。
セブン「ガルト星人。君は知っていたはずだ。人類の本当の未来を!」、
ガルト「何ぃ? 人類に未来など無い!」、
セブン「君はアカシックレコードの書き換えと言う最大の罪を犯してしまったんだ!」、
ガルト「何を言い出すんだウルトラセブン。お前が何を言っているのか意味不明だ!」。
両者が喋りながら戦うのは『メビウス』以前のウルトラシリーズでは珍しいが、戦う者同士が感情をぶつけ合うとやはりテンションが上がって盛り上がる。
今回の戦いは『平成セブン』では珍しく戦う事に対する疑問も迷いも無い、正しい人物が悪い奴を倒すと言う展開で爽快感があった。
プロレス技を使った部分はさすがに浮いていたところはあったがドロップキックやブレーンバスターまでされるとさすがに笑って許せる。今まで素直に燃える戦いがなかなか出来なかった『平成セブン』が最後に吹っ切れた感じがする戦いだった。
ガルト星人とガイモスの同時攻撃に倒れるセブンだったがサトミの声を聞いて立ち上がると見事逆転勝利を収めるのだった!

 

戦い終わって、ミツコはカザモリから渡されたアカシックレコードのコピーをユキ隊員に渡す。そこにはネオニューロンと共生した人類と植物生命体の未来が記されていた。
人類が滅びない事を知ってウルトラ警備隊は喜び、ルミ隊員は神様が人類を見放すわけないと言う。
ここで気になるのは、もし神様が人類を見放していたら、アカシックレコードに人類の未来が無かったら、人類はこれからどうしていたのかである。
ネバーランド」や「イノセント」での流れを考えるとやはり人類と植物生命体の争いが起きたと考えられる。又、ネオニューロンと共生した人類が生き残ると言う事はネオニューロンと共生していない人類は滅びると言う事でもある。それなら「地球より永遠に」のようにネオニューロンと共生した新人類と共生しなかった旧人類の争いが起きる可能性も十分に考えられる。
結局、いくらアカシックレコードに記されようと人類自身の意識が変わらなければこういう争いは無くならない。人類の意識は変わったのか、それともこれから変わるのか、『平成セブン』のこれまでの話を見ているとあまり明るい未来は想像できないのだが……。

 

カザモリは皆の前から姿を消すが、ミツコはこの星に何かある時はきっと帰って来てくれると語る。
今まで内に篭っていたミツコが自分の考えを口に出して他人に伝えられるようになったのは植物生命体の今後に関わってくると思われる。

 

海岸を一人寂しく歩いていたカザモリはふと考える。
「しかし、こうも考えられないだろうか……。ガルト星人が記録した滅ぶべき人類の未来こそ真実だった……。だが、何者がその進化樹の未来を少しだけ書き換えた……。でもそれが出来るのはミュー粒子を自在に操る事が出来る存在……。人々は本能的にその存在の姿を知り、神と等しく崇めてきたのでは……。星の命運を変えてしまう事。それは……確かに罪かもしれない……。でも、この星で一生懸命生きようとしている小さなか弱い生命体の事が好きになり、その祈りを何者かが聞き届けたのだとしても、私は責める事が出来ない……。もし三度同じ事が起きれば、私もまた人類の為に罪を犯してしまうだろう……」。
そしてカザモリの前に現れたアカシックレコードは円盤竜へと変わり、サトミの姿が映し出されるのだった。
ここでカザモリの一人称がいつもの「俺」から「私」に変わっている。「ネバーランド」でカザモリとセブンが融合した後、今まではカザモリの意思が前面に出ていたが、ここに来てセブン(=ダン)の意思が前面に出てきている。無力感に打ちひしがれてセブンになる事を望んだカザモリ。その意思はどこへ行ってしまったのか。それはセブンにしか分からない……。
自分の力だけでは事態を解決できず最後はセブンと共に生きる事を選択したカザモリの姿は単独の種では滅びるとして他の種と共存して生き延びる事になった人類と重なるところがあるが、そう考えると、セブン(=ダン)に意識を乗っ取られ始めているカザモリの姿には一抹の不安を覚える。

 

こういう進化やら運命やらを扱った作品で取り上げられる事が多いアカシックレコード。設定は好きなのだが自分はイマイチ乗り切れないところがある。
ベタな意見だが、運命は予め決められたものではなくて自分自身で決めていくものだと思う。アカシックレコードに記されているから滅びる滅びないと言うのなら人類の頑張りに関係無く人類の運命は決まってしまう事になる。
人類の行動によってアカシックレコードの内容が変わっていくのならともかく『平成セブン』ではミュー粒子を操れる存在にのみ書き換えが可能となっているので、そのごく一部の存在の気持ちによって星の運命が決まってしまう事になる。(実際、円盤竜はサトミに心を動かされてアカシックレコードを書き換えたとされている)
又、ノンマルトを侵略した(と思われる)人類がアカシックレコードに地球の盟主として記されていたが、これでは侵略者でもアカシックレコードに記されていたら星の支配者としての正当性を担保される事になって腑に落ちない部分が出てくる。極端な話、もしガルト星人が新たな地球の支配者としてアカシックレコードに記されていた場合、ガルト星人が今の人類を皆殺しにしてしまってもアカシックレコードの保障によってその行為が正しいとされる恐れがあるのだ。

 

自分は前にもサトミが死ぬ展開への疑問を書いたが、今回のサトミの祈りを聞き入れて円盤竜がアカシックレコードを書き換えた展開にも疑問を抱いている。
『最終章6部作』でフルハシが命を落とした時はセブンは宇宙から太陽系に向かっていたので間に合わなかったのは分かるし、後にフルハシが人類とノンマルトの争いの目撃者に選ばれた時もセブンに信頼されている人物だからと言う理由に納得できたのだが、『EVOLUTION5部作』でサトミが命を落とした時はカザモリが間に合わなかったのは流れとして不自然だったし、かなり多くの地球人が犠牲になっているのに円盤竜がサトミの死にだけ反応して罪を犯す決心をしたのも違和感があった。
今回の話に限らず『平成セブン』はTV作品では出来ないようなシリアスでハードで複雑な展開をあえてするところがあるのだが、サトミの死に関してはちょっと強引過ぎた印象がある。

 

『平成セブン』後期のメインライターである武上さんはノベライズも担当していて、『最終章6部作』を取り上げた『ウルトラセブン EPISODE:0』を2002年5月に、『EVOLUTION5部作』を取り上げた『ウルトラセブン EVOLUTION』を2002年11月に発表している。
作者の考えが強く出ているので読む人によって好き嫌いが分かれるところはあるが、映像作品では説明不足だったり矛盾を起こしていた部分にフォローが入った事で物語の軸が明確になって理解しやすくなっている。

 

『平成セブン』は『セブン』の続編と言う形を取っているが、シリーズが続くに従って独自の設定が増えてきて、最終的には『セブン』とはかなり異なる作風になっていった。
『平成セブン』に限らず過去の作品の続編でありながら過去の作品とは異なる展開を見せる作品はあって、違う事をするのなら過去の作品の名前を使わず新しい作品として発表すればいいのにと言う意見が出る事がある。
どちらかと言うと自分もそうなのだが、一方で『EVOLUTION5部作』のようなかなり尖った設定を持つ作品を発表するのは色々とハードルが高そうなので、そういう時は「ウルトラセブン」と言う過去の名作の名前が企画を通すのに大きな力になるのだろうと考える事もある。
ヒーロー作品の製作も商売なので赤字にするわけにはいかない。そうなると確実に売上を得る為に知名度や人気のある作品やキャラクターを使う事になる。その一方で今までに無い新しい展開や映像も作っていきたい。『平成セブン』はこのせめぎ合いの歴史でもあったのかなと思う。
発表された当時は平成ウルトラシリーズとは違っている部分が多くて異色作に近いところがあった『平成セブン』であるが、「過去の作品のキャラクターや設定を引き継いで、そこに新しい解釈を加える」と言う『平成セブン』の作りは『メビウス』以降のウルトラシリーズのスタンダードになっていった。