帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「セカンド・コンタクト」

「セカンド・コンタクト」
ウルトラマンティガ』第6話
1996年10月12日放送(第6話)
脚本 小中千昭
監督 川崎郷太
特技監督 北浦嗣巳

 

変形怪獣ガゾート
身長 59m
体重 5万t
神出鬼没な奇妙な雲はミズノ博士の仮説によると地上に降りてこないで空だけに棲んでいると言われている生物クリッターの巣との事。今までは地球の電離層にあったが高度を下げて日本に現れ、雲が固まると電波を吸収して周囲に強烈な磁界を発する生きている繭となり、ニュータウンに落下した繭の中からガゾートが出現した。
ホリイによると人間の文明が進化して大量の電波を電離層に流すようになった事がクリッターの棲む所を奪って姿を変えさせてしまったとの事。
サウンドトランスレーターによる対話が試みられたが電離層の中で仲間を喰い合って生きてきたクリッターと人間とでは根本的なロジックが異なっていた。
口から光弾を放つ。ムシャムシャと人間を喰う。ティガも喰おうとするが、ティガ・スカイタイプとの空中戦に敗れて最後はランバルト光弾で爆発した。その後、大量のクリッターが空に帰って行った。
名前の由来は錬金術用語の「アゾート」から。

 

物語
ホリイの恩師であるミズノ博士がクリッターの巣と思われる雲の中で消息を絶った。
そして人間の出した電波でクリッターが変形した怪獣ガゾートが街に現れる。
ミズノ博士の死と言う不幸なファースト・コンタクトを乗り越えて、ホリイはガゾートとのセカンド・コンタクトを試みるが……。

 

感想
ホリイは恩師であるミズノ博士を失うも「空想する事は素敵な事」と言う恩師の言葉を継いでガゾートとの対話と共存を試みるがロジックが異なる人間とガゾートとでは対話も共存も不可能だった。
この件はホリイにとってかなりショックだったらしく、後の「うたかたの…」ではクリッターに関する問題は一切考える事を止めたと語っている。
感情論で人間と怪獣の共存を考えるレナに対して、ロジックで人間と怪獣の共存を考えるのがホリイらしい。

 

「たとえどこだろうと、この地球に人間が知らない生物がいたなんて、俺は嫌だなぁ」と語るシンジョウ。「怪獣」とは人間が知らなかった生物の事なので、シンジョウはこの先も多くの「人間が知らなかった生物」の存在を知る事になる。

 

ガゾートが人間を襲うと知ったシンジョウは敵意を露わにし、ロジックで行動するホリイと感情で行動するシンジョウが対立する事になる。
これが「うたかたの…」になるとロジックのホリイも感情のシンジョウも「怪獣は倒さなければならない」と考えるようになっていて、人間と怪獣の共存を考えるレナと対立する事になる。

 

衛星を介した通信装置ゴッドアイズ登場。なんとガゾートの繭の中でも無事だった。

 

今回のダイゴはいきなりガゾートの繭に捕らわれるとその後は殆ど出番が無くてラストシーンにも登場しない。これはダイゴ役の長野博さんのスケジュールの問題らしい。

 

ガゾートの繭の中で「ダイゴ、生きてて……!」と言うレナの声を聞くダイゴ。
これがダイゴとレナが特別な関係である事を示す最初の場面となった。
対話が出来ながら心は通じ合わなかったホリイとガゾートの関係と対話が出来ない状態でありながら心が通じ合っていたダイゴとレナの関係が対になっていた。

 

光を継ぐもの」に登場したサウンドトランスレーターが再登場。何でも訳せる優れもの。
サウンドトランスレーターで変換されたガゾートの声は無邪気で純真無垢な子供の声になっていた。そんな声で人間を見て「オイシソウ!」と嬉しそうにはしゃぐのがかなり恐い。
それにしてもユザレの時はちゃんと女性の声に変換されていて良かった。もしユザレが今回のガゾートと同じ声で喋っていたらギャグになるところだった。
そう言えば、サウンドトランスレーターは何を基準に翻訳後の声を選んでいるんだろう?

 

ところで「ガゾート」って自分から名乗ったのか。自分から名乗る怪獣は珍しい

 

死んだふりと言う懐かしい方法でティガを追い詰めるガゾート。
ガゾートはティガを喰おうと噛み付き、ティガは血のように光を流す。もし『T』なら「ゾフィが死んだ! タロウも死んだ!」のバードン戦のように大流血になっていそう。

 

ティガとガゾートの空中戦はハッキリ言うとおかしな映像が多かったのだが合成技術の発展を考えるとやった事が大事と言える。壊れた街の上での追撃戦は今までのウルトラシリーズには無かった新しい映像であった。

 

空に帰っていくクリッターを見て「天使……みたい」と不快そうに呟くレナと「見かけはな……」と続けるホリイ。
この時のレナの声がちょっと恐い。こんな天使みたいなクリッターを悪魔のようなガゾートに変えた人間への不快感かな。

 

今回の話はクリッターやガゾートの存在を「同じ地球に棲んでいながら人間とはロジックが全く異なる未知の生物=怪獣」として見る事も「無害だった生物を科学が人間にとって有害な存在=怪獣に変えてしまった」として見る事も出来る。