帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「地球に降りてきた男」

「地球に降りてきた男」
ウルトラマンティガ』第7話
1996年10月19日放送(第7話)
脚本 宮沢秀則
監督 岡田寧
特技監督 高野宏一

 

悪質宇宙人レギュラン星人
身長 240cm~60m
体重 180kg~5万2千t
宇宙ステーション・デルタのヴァルキリー砲で撃墜された宇宙船からスペース・バルケッタで地球に脱出した。宇宙船には妻と幼い娘がいたとして復讐の為にデルタのヤナセ技官とレナを捕らえる。
爆破された同胞の復讐を掲げていたが本当は宇宙船のイオン砲でデルタを攻撃するつもりだった上に宇宙船に故障が発生すると仲間や家族を裏切って自分一人だけ逃げ出していた。
手から炎や様々な光線や光弾を撃ち、ホログラムを使って相手を攻撃したり捕らえたりする。
地球人を殲滅して自分の汚名を隠して星に帰ろうとするが失敗し、巨大化してティガと空中戦を繰り広げる事になる。負けそうになると降参した振りをして不意打ちするが最後はティガ・スカイタイプのランバルト光弾で倒され、スペース・バルケッタヤナセ技官とレナによって爆破された。

 

物語
宇宙ステーション・デルタに接近する謎の宇宙船を爆破したTPC
しかし、妻と娘の復讐を掲げる宇宙人がデルタのヤナセ技官を狙う。
ヤナセ技官を救おうと13年前に別れた娘レナが出撃する。

 

感想
『ティガ』では初の明確な宇宙人であるレギュラン星人が登場。
展開は『セブン』の「ダーク・ゾーン」に似ているがレギュラン星人の悪役っぷりで雰囲気は全く異なっている。でも、追い詰められて巨大化したり降参した振りをして不意打ちしたりするのは『セブン』に登場した宇宙人が意外と多く使っていた展開だったりする。

 

宇宙船には妻と娘が乗っていたと言うレギュラン星人。
地球には侵略の為に来たようだが家族連れで侵略とは珍しい。アメリカの西部開拓みたいな感じで太陽系の侵略に来たのかな?

 

レギュラン星人のスペース・バルケッタは磔用の十字架に拷問装置等が付けられているが侵入者を探知する装置は無いと言う無駄なところに力が入れられた宇宙船であった。

 

宇宙ステーション・デルタに衝突する危険がある宇宙船を爆破するよう指示を出し、それに抗議したヤナセ技官の責任を追及するサワイ総監。冷酷なように見えるがデルタの287人の命を考えたら仕方が無いと思う。猶予も無かったわけだし。

 

若い時はよく縛り付けられるパートナーを助けていたヤナセ技官だが今回は自分が縛り付けられる事に。電気の拷問を受けるが、その電気を吸収して変……なんて事は無かった。当然、人質を取ったり女性を襲ったりする事を嫌う影を持つ将軍様が助け舟を出してくれる事も無かった。
そのヤナセ技官の同僚はあっという間に赤い炎に包まれて退場してしまった。よくよく運の無い男だ。

 

今回はレナの家庭の話。
今から13年前、レナが9歳の時に両親は離婚してレナは母親に引き取られた。そしてヤナセ技官は離婚した日、レナの9歳の誕生日に渡せなかった口紅をずっと持っていた。
レナとヤナセ技官の回想シーンが最初は白黒だったのが二人の関係が修復していくにつれて段々と色が付いていく(色が戻っていく)のが良かった。
最後に父と娘が協力してレギュラン星人のスペース・バルケッタを爆破したのはよくある展開だけれどやっぱり分かりやすくて良かった。
ところで両親が離婚したのでヤナセは旧姓になるらしいが、それならレナの現在の名字は何と言うのだろうか?

 

自分自身でも言っているが今回のレナは言動がかなり矛盾している。まぁ、それが人間と言うものかな。
最後の自分から離婚した理由を聞きながらすぐに「言い訳は言わないで」と遮るのが面白い。ヤナセ技官も娘が難しい年頃になったなぁと思っている事だろう。

 

イルマ隊長がレナの事を気遣っているが、自分の家族の状況と重ね合わせたのかもしれない。

 

レギュラン星人はヤナセ技官の記憶に「家族は足手まとい。また作ればいい」とインプットされていたと言っているが、これはレギュラン星人が吐いた嘘だったのかな?

 

ムナカタリーダーの指示でレナを探す事になったダイゴ。
今のレナは冷静さを欠いているので、シンジョウやホリイが行っても喧嘩になりそうだがダイゴなら上手くまとめられそう。
ダイゴは今までのウルトラシリーズの主人公に比べて前面に出ない分、一歩引いて皆の悩みを聞く役目が多い。

 

ティガとレギュラン星人の戦いは意外と真っ向勝負を仕掛けてきたレギュラン星人によって見応えのある戦いになっていた。ただ、空中戦でティガとレギュラン星人に動きが無かったのは残念。

 

「宇宙ステーション・デルタの研究により人類はまもなく宇宙開拓時代に入るでしょう。しかし、家族や仲間との絆を失った者による宇宙開拓はもはや開拓ではなく、ただの侵略になってしまう危険がある事を我々は忘れてはなりません。開拓者と侵略者の違いはそこから始まるのです」。
このエンディングナレーションは次作『ダイナ』のネオフロンティアに繋がっていく。

 

今回の話は岡田寧さんのウルトラシリーズ監督デビュー作となっている。