「闇へのレクイエム ーエボリュウ登場ー」
『ウルトラマンティガ』第11話
1996年11月16日放送(第11話)
脚本 武上純希
監督・特技監督 神澤信一
異形進化怪獣エボリュウ
身長 53m
体重 5万3千t
ホリイの大学時代からの親友サナダ・リョウスケが勤めていた宇宙開発センターに保管されていた宇宙細胞エボリュウを自分に移植した姿。
能力が飛躍的に向上したが大量の電気エネルギーを得続けないと発作に苦しむ事になり、やがて体の制御が出来なくなって巨大化すると、苦しみながらネオリゾートの施設を破壊していった。
大学時代にGUTSの入隊でホリイに負け、サヤカに振られた事をコンプレックスに思っていた。
触手や発する電気でティガを苦しめる。ティガがエボリュウの電気を全て受け止めるとリョウスケの姿に戻ったがそのまま息絶えてしまった。
名前の由来は「エボリューション(進化)」かな。
物語
怪獣が現れてGUTSが出動するが怪獣は突然姿を消してしまった。
ホリイは開発したモンスターキャッチャーで怪獣の行方を追うが、その反応が出ていたのはホリイの大学時代からの親友サナダ・リョウスケだった。
感想
今回からタイトル画面に「○○怪獣登場」と登場怪獣の名前が紹介されるようになる。
やはりこれがあるとウルトラシリーズと言う感じがする。
今回のゲストであるリョウスケはGUTS入隊でホリイに負けた過去を持っていた。
学者肌なリョウスケが現場で働く事を望んでいたとは意外。
再会したホリイとリョウスケがテーブルで語り合う場面でホリイに光が当てられてリョウスケに影が当てられているのが二人の運命を表していて上手かった。
かつて水の中で長く息を止められた方がサヤカの恋人になる権利を得られると言う勝負をしていたホリイとリョウスケ。どちらを恋人にするか決める権利はサヤカには無いのか? まぁ、サヤカは勝ったホリイと恋人になっていないので男二人だけが勝手に盛り上がっていたのだろう。
ところで二人のマドンナであるサヤカだが無自覚で口が悪い。「ホリイ君は足も短いし、太ってるし、つまんないギャグ言うし、欠点だらけの人間よ。でも、欠点だらけでも皆から愛されてる」と平然と言っている。隣でビックラこいているホリイが実に笑える。おそらくだけどサヤカは知らず知らずのうちにリョウスケのプライドを酷く傷付ける事を言っていたのだろうなぁ。
隕石の中に含まれていて、それを移植された生物の能力は飛躍的に向上するが、大量の電気エネルギーを与えないと生き続けられないと言う宇宙細胞エボリュウ。その紹介場面で実験に使用された猿の写真があり、これが「闇にさようなら」に繋がる事になる。
墜落コンビ二度目の墜落。
今回はCGのガッツウイングがかなり多く登場しているが違和感はあまり無い。
今回は人間が相手と言う事でティガも思い切り戦えずに苦戦を強いられ、遂にゼペリオン光線を撃とうとするがその力も残されていなかった。結果的に人間を殺さなくて済んだのだが……。
息絶えたリョウスケへのホリイの言葉。
「誰にでも……心の闇はあるわな……。お前はその心の闇を開いてしまっただけの人間や……。ゆっくり眠れよ……。もう、誰とも競争せんでええんやど……!」。
この言葉が「人の心には光と闇がある」と言う平成ウルトラシリーズのテーマの一つへと発展していくのであった。
今回の話は武上純希さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。
この時期の武上さんはスーパー戦隊シリーズの脚本も多く手掛けていた。
今回と次回は神澤監督が本編と特撮の両方を担当していて、以降のウルトラシリーズは本編と特撮を一人の監督が担当する事が多くなっていく。