帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「霧が来る」

「霧が来る ーマグニア登場ー
ウルトラマンティガ』第22話
1997年2月1日放送(第22話)
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 北浦嗣巳

 

寄生怪獣マグニア
身長 66m
体重 5万8千t
ある山に落下した隕石は宇宙生命体を運んできていた。
光る隕石から放たれた小型のマグニアは人間の首に取り付いて操ると光る隕石に人間の生体エネルギーを送る。
小型マグニアは謎の霧と共に山全体に広がっていくが水をかけられると溶けてしまう。
霧が実体化した巨大なマグニアは口から霧と共に光線を発する。
巨大マグニアは光る隕石から無限の生体エネルギーを送られていてティガ・パワータイプの攻撃にもビクともしなかったが、ガッツウイングのミサイル攻撃で光る隕石を破壊されるとデラシウム光流で倒された。
巨大マグニアが倒された後、小型マグニアに操られていた人々も元に戻った。

 

物語
連絡が途絶えた宇宙観測センターに向かったダイゴとホリイだが強力な磁場に捕らえられて孤立してしまう。
無人の村に辿り着いた二人は謎の女性を保護する。そこに村人が帰って来るが……。

 

感想
山での孤立、迫り来る霧、無人の村、操られて襲いかかる村人とホラーな話。
今回の話はホラー小説家スティーブン・キングの小説『霧』がモデルになっているらしい。(因みにこの『霧』を映画化したものが2007年に公開された『ミスト』である)

 

今回登場した江崎ミチルは「サ・ヨ・ナ・ラ地球」に登場した江崎博士の娘なのだが劇中の描写では説明不足であった。江崎博士は記憶に残りやすい人物ではなかったので、言葉だけでなく映像での説明もあった方が良かったと思う。

 

ミチルは江崎博士の事を「多分死んだ」と言っているが、ひょっとして、リガトロン事件の事は知らされていないのだろうか? ジュピター3号の乗組員は家族のもとに現れていたが江崎博士は娘のもとに現れなかったのだろうか?
因みに今回の話と「サ・ヨ・ナ・ラ地球」は「謎の生命体に乗っ取られそうになる」と言う共通点がある。江崎博士がリガトロンと戦った場面を回想シーンで入れてくれれば、あてつけで父が働いていた場所で死のうと思っていたミチルが父への誤解を解く場面がもっと感動的になったかもしれない。

 

そもそも、ミチルはなぜ死のうと思っていたのだろうか?
脚本を書いた長谷川圭一さんによると「男にフラれたから」らしいが、それであそこまで悲観的にならなくても……。
今回のゲストであるミチルだが彼女がどうしてこのようになったのかと言う説明が弱いので、研究ばかりで家族を顧みなかった父への複雑な思いが伝わらず、よく分からないが悲観的でヒステリックで感情的なちょっとイラッとする人物になってしまっていた。

 

今回はピーパーやスタッグが再登場している。
地底戦車が再登場するのは『ザ☆ウル』以来。
せっかくの設定は使ってほしいので装備が一度きりの使い捨てではなくて何度も使われるのは嬉しい。

 

小型マグニアに襲われて川に落ちるダイゴ。
撮影時期を考えたら今回の川落ちは冷たかっただろうなぁ。

 

小型マグニアは水をかけられると溶けてしまう。もし途中で雨が降っていたらティガの登場は無かったかも。

 

ティガが巨大マグニアに苦戦しているところにシンジョウのガッツウイングが援護に現れる。
前半で行方不明になったシンジョウだが今までどこで何をしていた?

 

冒頭でホリイが女性にフラれた事をシンジョウにからかわれる場面があるが、これは最後にミチルがホリイに惚れる展開への前振りとなっている。ホリイがミチルにキスをされるところを見てショックを受けるシンジョウとそれを慰めるレナが可愛かった。
ミチルが男性にフラれて死のうとしていたと言う設定は劇中では語られていないが、この結末なら語っていた方がミチルの物語が分かりやすくなっていただろうし、恋に破れた者同士が事件を通して恋に落ちると言うアメリカのホラー作品らしい展開になっていたと思う。

 

今回の話は当時装飾のチーフだった長谷川さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。