「永遠の命 ーギジェラ登場ー」
『ウルトラマンティガ』第45話
1997年7月12日放送(第45話)
脚本 右田昌万
監督 松原信吾
特技監督 大岡新一
超古代植物ギジェラ
身長 53m
体重 4万2千t
地球の植物で人類に滅亡が近付くと必ず咲くと言われている。3000万年前の地球でも咲いていてウルトラマンが地球を離れるきっかけとなった。
植物なので日が沈むと活動が弱まる。花粉には人間を快楽の夢に導く働きがあり、エキスには人間の脳細胞を永久に保つ働きがある。
地下の遺跡から現れた巨大ギジェラの花が咲くと全ての人間がこの世を天国だと思うようになるので、ダイゴはギジェラを無くす事を決意し、ティガの行動を見た人々もギジェラを捨てる事を決意するようになる。
ティガ・マルチタイプのゼペリオン光線で巨大ギジェラは爆発し、残った根もウルトラヒートハッグで焼き尽くされた。
「行け! 怪獣探検隊」のリトマルスの着ぐるみを改造している。
物語
世界各地に咲く謎の花ギジェラ。
地球に帰って来た超古代人ヌークは超古代人滅亡の原因がギジェラだった事を語る。
ギジェラが出す花粉によって夢の世界に溺れる人々。果たしてダイゴは……。選択の時が来た。
感想
遂に明かされた超古代人滅亡の秘密。それは怪獣に襲われた等ではなく、ギジェラの花粉で夢の世界を経験した人々が苦しんで生きるより楽に死んだ方が良いと考えたから。死を選択した人類にウルトラマンは必要無く、古代のウルトラマンは星雲に帰っていった。人類が自ら滅びを選択したと言うのが衝撃。最後にウルトラマンが地球を離れるのは昭和のウルトラシリーズの最終回と同じであるが、離れる理由は真逆であった。
因みにヌークの話ではこの後に「最後に来るもの」「恐ろしい闇」「巨大な悪が全てを滅ぼした」と最終章に登場する邪神の存在が匂わされている。
ギジェラを見て太古の記憶が呼び覚まされたダイゴはここから滅びの夢に悩まされる事になる。
ところで古代のウルトラマンは本来の姿である光となって星雲に帰っていったとなっているが、ダイゴの祖先はどうなったのだろうか?
ティガが地球上では3分間しか活動できないので、古代のウルトラマンの活動時間も3分間が限度だったと考えられる。イーヴィルティガの事から個人差はあるかもしれないが、いくらなんでも24時間は無理だろう。それなら普段は人間の姿をしていた可能性があり、昭和のウルトラマンのように人間と一心同体になったり人間に変身したりしていたのかもしれない。もしも、この時に人間と恋に落ちて子供が出来たら、その子供はウルトラマンの力を秘めた人間となり、この子供がダイゴの祖先になったのかもしれない。
ギジェラの花粉で夢の世界に溺れたGUTSの面々。
ノンビリくつろぐサワイ、鳥になるイルマ、ボディービルダーになるムナカタとその手伝いをするヤズミ、花と話すレナ、研究に打ち込むホリイ、虫を捕まえようとするシンジョウ。う~ん、よう分からん。
「石の神話」でユザレが言っていた他の土地を探して地球を旅立った超古代人のヌークとテラが登場。
ギジェラエキスを体内に取り入れたサイボーグと言う設定にビックリ。
星々を転々としているそうだが3000万年かかってもまだ定住できていないのだろうか?
地球には再びギジェラが咲く雰囲気なので様子を見に来たと言う感じ。しかし、人類は3000万年前とまったく変わっていなかった……。
ギジェラの根は地下の人工物の中にあったが超古代遺跡の一つだろうか?
自分は今まで超古代怪獣をクトゥルー神話のような宇宙や別次元から来た存在だと思っていたが、どうやら地球が生み出したものだったようだ。
夜になったらギジェラの活動が弱まると知ったダイゴは夜のうちに世界中のギジェラを根絶やしにしようと言うが、ヌークは超古代にも同じ事をやろうとした哀れな奴がいたがギジェラの根より深い人間の欲望のせいで駄目だったと答える。
この「哀れな奴」が誰かは語られていないが話し振りからしてヌーク自身っぽい。
夜になってギジェラの作用が弱まった事で夢の世界から現実に引き戻された人々は苦しみからギジェラの花粉を求めて醜い争いを始める。
GUTSもギジェラを断ち切る事が出来ず、「ギジェラは地球が人類に贈ってくれたものではないか」「ギジェラを攻撃したらTPCは全人類を敵に回してしまう」とギジェラを根絶やしにする事に消極的。
ところでダイゴだけギジェラの影響を受けていない事をGUTSは不思議に思わなかったのだろうか? ダイゴは意思が強いなぁとしか思わなかったのだろうか。
ギジェラに溺れる人々を見たダイゴは「ダイゴ……。お前の正しいと思った事をやれ!」と意を決してティガに変身すると人々の訴えに背を向けてギジェラを無くそうとする。それを見たヌークは人類の選択にまで干渉した光の巨人は初めてだと驚く。
古代のウルトラマンは滅びを受け入れた人類の選択に干渉せず、そのまま星雲に帰っていった。(力が残された石像を残しているので人類に一縷の望みは託していたのかもしれないが)
そう言えば昭和のウルトラマン達も人類が誤った選択をしようとした時に人間の状態で警告や反対はしてもウルトラマンになってまで人類の選択に干渉する事はあまり無かった。
平成ウルトラシリーズはウルトラマンが人類の運命を背負う事が多いが、昭和ウルトラシリーズではウルトラマンではなく特別チームの隊長が人類の運命を背負わされる事が多いので、昭和ウルトラシリーズでギジェラのようなものが出た場合、人々が夢の世界に溺れても隊長がたった一人で戦い続け、ウルトラマンはその隊長を助けると言う展開になっていた感じがする。
苦しみながらもギジェラと戦うティガの姿を見た人々は自分達も苦しんで生きて次の時代に行く事を決意する。遂にティガは人類の選択を変えたのだった。
ティガはキリエル人やイルドやマサキのように人々に向けて喋らない。黙って行動し、人々はその姿から進むべき道を感じとっていく。これは一般人と話す事が少ないウルトラマンだからこそと言える。
巨大ギジェラを滅ぼした事で全てのギジェラが消滅してヌークとテラも死ぬ事に。しかし、ヌークは本当の命を知る事が出来たとダイゴに感謝を述べる。
短い生を精一杯生きて後の者がそれを受け継ぐ。それを繰り返していくのが人類。終わりある命だから人類は生きていると言える。ヌークには次の時代が見えていた事だろう。
今回の話は日没から夜を経ての日の出とドラマのテーマと時間経過が合致していた。