「月からの逃亡者 ーメンジェラ登場ー」
『ウルトラマンティガ』第48話
1997年8月2日放送(第48話)
脚本 右田昌万
監督 石井てるよし
特技監督 佐川和夫
エイリアンメンジェラ
身長 62m
体重 10万t
2ヶ月程前に月のコペルニクスクレーター付近で発見された二つ頭のエイリアン。
口から吐く繭で人間を捕らえて変身する事が出来る。月面基地ガロアのキシナガ副隊長とすり替わってガロアを壊滅させ、次にTPC首脳部とすり替わってGUTSを掌握しようとした。
ガロアのハヤテ隊長に正体を暴かれるとガッツウイングEX-Jで逃亡を図るがティガ・マルチタイプのハンドスラッシュで撃墜される。巨大化して戦うが最後はティガ・マルチタイプのゼペリオン光線とハヤテが操縦するガッツウイング2号のデキサスビームの同時攻撃を受けて倒された。
怪獣デザインコンテストで優秀賞を獲得した「リーブラ」がモデルになっている。
「エイリアン」と言うストレートな肩書きはウルトラシリーズでは珍しい。
物語
月面基地ガロアが壊滅した。
唯一の生き残りであるキシナガ副隊長は犯人はハヤテ隊長だと語るが、それを信じられないイルマ隊長は独自に調査を始める。
感想
ウルトラマンのファンとして有名な京本政樹さんが特別友情出演した回。
「ハヤテ・シン」と言う名前は『初代マン』のハヤタ隊員から付けられている。
キャラの立ち位置としては『セブン』のクラタ隊長に近く、話の内容も「V3から来た男」と「月世界の戦慄」を合わせた感じになっている。
冒頭の宇宙空間でのドッグファイトでCGならではの無茶苦茶な動きを見せてくれる。
メンジェラは人間に変身して組織を内部から崩壊させていくのだが、最初の銃撃戦でメンジェラが人間に変身しているのをあっさりバラしたのは残念だった。最初はこの事実を伏せて、どうしてガロアの隊員同士が銃撃戦を繰り広げたのか謎を残してほしかった。
その他にもキシナガ副隊長が複数いる事を使ったアリバイ工作でも、その前にキシナガ副隊長が二人いる場面を既に視聴者に見せてしまっている。このように今回は最初にタネを明かしてから謎かけをやっているところがいくつかあった。メンジェラが人間に変身していると言うタネを最後まで隠していれば、TPC首脳部やイルマ隊長の心変わり、イルマ隊長に銃を向けるハヤテ隊長と言った場面をもっと上手く使えたと思う。
今回はムナカタリーダーのイルマ隊長への想いが結構強く出ている。
出来れば同じ副隊長としてキシナガ副隊長とのドラマも見せてほしかったところ。
キシナガ副隊長をGUTSの隊長にするのはさすがに不自然すぎる。
人間を捕らえて変身できるのなら無理に揉め事を起こすより機会を伺ってGUTSとすり替わった方が安全で確実だったはず。
ハヤテ隊長の無実を信じるイルマ隊長はキシナガ副隊長の部屋を一人で調べる事に。「悪魔の預言」や「蜃気楼の怪獣」もだったが、自分に関係する問題が起きると周りが見えなくなるのか意外と単独行動を取りがちである。
サワイ総監、ヨシオカ長官、ナハラ参謀の3人が揃うのはさり気に珍しい。
ハヤテ隊長の人物評が見事に三者三様なのが面白い。
今回はキシナガ副隊長を殴るサワイ総監や戦闘機に乗る3人と言った他の話では見られない場面がある。
メンジェラの繭を自分からこじ開けるハヤテ隊長。
もう少ししてたら自力で地球に来れた気がする。
最後にハヤテ隊長はGUTSを見て隊員同士の強い絆こそ最強の砦だと気付いたと語るが、そのGUTSもガロアと同じくメンジェラに侵入されてしまったのだが……。
人一倍照れ屋で面と向かっては口数少なくカッコつけてしまうハヤテ隊長。
こういう可愛いところがイルマ隊長に気に入られたところかな?
ムナカタリーダーとは違うタイプではあるが、からかいがいありそう。