帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウルトラの星」

「ウルトラの星 ーヤナカーギー チャリジャ登場ー
ウルトラマンティガ』第49話
1997年8月9日放送(第49話)
脚本 上原正三
監督 原田昌樹・満田かずほ
特技監督 北浦嗣巳・高野宏一

 

ウルトラマン
身長 40m
体重 3万5千t
ある夜、M78星雲からやって来て竜ヶ森湖に怪獣を封印した。
円谷英二監督の友達で友情の証に「ウルトラの星」と言う赤い石を渡す。
円谷英二監督の想いがオーラとなって出現すると、ヤナカーギーに苦戦するティガにエネルギーを与え、スペシウム光線でヤナカーギーを倒した。

 

宇宙魔人チャリジャ
身長 2m
体重 120kg
大人の姿で怪獣を探し求める謎の怪獣バイヤー。
子供から「怪獣の事なら円谷プロだ」と言われ、円谷プロから円谷英二監督の事を教えられると、まだ元気だった円谷英二監督に会う為に1965年にタイムスリップした。
こうもり傘に乗って手から光弾を発する。瞬間移動も出来る。
正体はヤナカーギーを操る宇宙人で、ヤナカーギーを倒されるとウルトラマンに再会を誓って姿を消した。
名前の由来は「チャーリー・チャップリン」から。

 

宇宙恐竜ヤナカーギー
身長 58m
体重 6万t
青い玉でウルトラマンに竜ヶ森湖に封印された宇宙一の暴れん坊。
迎えに来たチャリジャによって封印を解かれ、手当たり次第に破壊して大暴れする。
ティガからエネルギーを吸い取るが、赤い玉として現れたウルトラマンの攻撃を受け、最後はティガ・マルチタイプのゼペリオン光線とウルトラマンスペシウム光線で倒された。
名前の由来は沖縄の言葉で「ブス」から。(凄いな……)
時空をこえた微笑」のゴルドラスの着ぐるみを改造している。

 

物語
本物の怪獣を探し求めるチャリジャは円谷英二監督に会いに1965年の円谷プロに向かう。
円谷プロでは新しい怪獣作品の製作に情熱を燃やす人々がいた。

 

感想
『T』の「親星子星一番星」から24年目の復帰となった上原さんによる特別編。
『ティガ』の話として見るより「ウルトラマン生誕30周年記念作品」として『ウルトラマンをつくった男たち』や『私が愛したウルトラセブン』のようなフィクションを加えた当時の紹介ドラマとして見た方が良い。
今回の話は満田監督と2008年に亡くなられた高野監督のウルトラシリーズ監督最終作となった。当時の円谷プロを知る二人が登板する事が上原さんが今回の話を書く条件だったらしい。

 

2010年の円谷プロがかなり立派な建物で驚いた。今回の話を初めて見た時は現在の円谷プロはこうなっているのかと本気で思った。
因みに『ティガ』製作当時の円谷プロは1965年に登場した方である。
円谷プロの砧社屋は2008年に取り壊されたが近隣の祖師ヶ谷大蔵駅周辺の商店街が2005年に「ウルトラマン商店街」になり、2018年には「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に認定されている。

 

実は怪獣好きだったサワイ総監。円谷英二監督を知らないと言うヤズミに『ゴジラ』や『モスラ』の事を楽しそうに語る。昭和の頃と違って平成になると他の会社のキャラクターの名前を出す事が殆ど無くなったので、このやり取りは今見るとかなり驚かされる。

 

1965年の円谷プロの場面ではモノクロだったのが撮影のライトをきっかけに色が付けられる演出が面白かった。
円谷一監督を演じているのは円谷一監督の息子である円谷浩さん。
ダイゴそっくりの「長野」と言う人物がいたと言うお遊びが楽しい。
GUTSのユニフォームを見て今度の怪獣攻撃隊のユニフォームにピッタリだと言う満田助監督。GUTSの隊員服は科特隊をモデルにしているところがあるので、こちらも思わずニヤリとしてしまうやりとりだった。

 

ヤナカーギーはウルトラマン最初の相手であるベムラーをモデルに、ウルトラマン最後の相手であるゼットンの肩書きを持っている。

 

メビウス』以降と違ってこの頃のウルトラシリーズでは歴代ウルトラマンの再登場は行われていなかったので本当にウルトラマンが現れたのには驚いた。
円谷英二監督を挟んでのウルトラマンとティガの握手は長い歴史を誇るウルトラならではの名場面。
今回は特別編であるが、円谷英二監督の想いがオーラとなってウルトラマンを出現させる展開は『ティガ』最終回に通じるものがあった。

 

ウルトラマン円谷英二監督に渡した「ウルトラの星」。
あったかくて大きな力となるもので、金城さんはこのウルトラの星を手に『ウルトラマン』を書き上げる事になる。そして『ウルトラマン』はシリーズ化され、後に『ティガ』が作られる事となるのであった。
「ヒーローが必要なんだよ、金城君。ヒーローが……」。

 

今回のエンディングでは『初代マン』の映像が使われている。因みに満田監督と鈴木監督の担当回が選ばれている。

 

今回の話は『ティガ』の話でありながら実際の円谷プロの歴史を取り上げたり、途中まで怪獣は空想の産物だとして着ぐるみまで見せるが最後に実はウルトラマンも怪獣も実在していたと一度は否定したキャラクター達の存在を最後に肯定するところなど、どちらかと言うと後の仮面ライダーシリーズにあるメタ要素を交えた映画に近い内容であった。

 

今回の話に登場したチャリジャは後に小説『ティガ・ダイナ&ウルトラマンガイア 超時空のアドベンチャー』で再登場している。

 

「ウルトラの星は、皆に大きな勇気と力を与える為、いつも空の彼方で瞬いている」。