帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ウイニングショット」

「ウインニングショット ーシルドロン登場ー
ウルトラマンダイナ』第5話
1997年10月4日放送(第5話)
脚本 古怒田健志
監督 原田昌樹
特技監督 北浦嗣巳

 

変異昆虫シルドロン
身長 63m
体重 4万6千t
高純度エネルギーを狙って現れた怪獣。組織が昆虫の細胞に似ているので昆虫の変異体と思われる。
額にある緑の結晶体で相手の攻撃を予測する。
両腕に付いている甲冑のような部分は特に硬い組織で出来ていて、あらゆる攻撃を弾き返す。
ダイナの攻撃をことごとく弾き返すが、ダイナ・フラッシュタイプのウルトラフォークの変化には対応できず倒された。

 

物語
メジャーリーグのニューヨークナイツで活躍するヒムロだったがシーズン途中で日本に帰国してしまう。
ハイスクール時代の同期生であるアスカはヒムロに会うが……。

 

感想
「ネオフロンティア」としてこれまで宇宙開拓と地下開拓が取り上げられたが今回の話では「スポーツで未知なる世界へ挑戦する」を取り上げている。「ネオフロンティア」を実際の開拓に留めず「未知なる世界へ挑戦する心」と広げた事で後の話の幅が広がった。

 

今回の題材は野球。ウルトラシリーズは怪獣や宇宙人が登場する作品なのでSFや民話を題材にする事が多くてスポーツが題材になる事は少なかったので今回の話は新鮮であった。放送された時期を考えると、ヒムロのモデルは1995年にメジャー挑戦した野茂英雄投手かな。
この後も『ダイナ』ではウルトラシリーズではあまり取り上げられなかった題材をウルトラ風に仕上げた話が作られていく。こう言った新しいタイプの話を作っていくスタッフもまた挑戦者であったと言える。

 

ハイスクール時代の自分はエースだったと自慢していたアスカが本当は控えだった事が明らかになる。
ハイスクール時代は球は速かったが変化球を使わなかった為に打たれていたとの事。変化球は卑怯だと思っていたのかな。「新たなる光(前編)」でのフドウとの喧嘩やリョウとの実戦シミュレーションでは勝ち方より勝つ事を優先しているので、試合で負けた後にヒムロから変化球を教えてもらったのかもしれない。
ヒムロに「お前の敵は相手チームじゃない。自分自身だ!」と指摘されていたようにアスカは強敵と戦って負けると相手がどうこうより自分がどうすれば良いのかを考え、自分の中にある弱点を克服して成長していった。

 

「無茶かもしれないが、無理じゃない!」。
アスカらしい言葉だなと思っていたら実はヒムロからの受け売りであった。
ハイスクール時代のヒムロはアスカにとって良きライバルであり親友であったのだろう。ハイスクール時代はヒムロに道を示してもらったアスカが今度は自分がヒムロに道を示していく。アスカは様々な人と出会っているが、それらを全て自分の成長に活かしているのが凄い。
因みにエンディングでアスカとヒムロのハイスクール時代が少しだけだが見られる。

 

シルドロンに対し地上から接近戦を行って見事命中させたアスカ。「俺の超ファインプレー!」と自画自賛するが、その後、お約束通りシルドロンに踏み潰されてしまう。
ダイナに変身!かと思いきや地面からボロボロになって出てきた。すげータフだ。

 

ストレートには滅法強いシルドロンを倒す為にヒムロはダイナにフォークボールを指示する。
わざわざ地面をならし、最初に見せ球を投げ、遂にウルトラフォークを投げるダイナ。
なんと足を高く掲げ、バックには炎まで! まさしく『巨人の星』! ここまで徹底されると見事! どうせ野球の話をやるならここまでやらねば!!
ところで、ヒムロはやっぱりダイナがアスカだと気付いたのかな?

 

戦いが終わった後にアスカと復活したヒムロの対決を皆で手伝ってくれるのがスーパーGUTSらしいなぁ。
冒頭でヒムロのファンだと言うマイにアスカが知り合いである事を教え、アスカのシフトを交代してくれたコウダは良き兄貴分。なんかバイトの感覚だけれど……。
ヒムロへのプレゼントを次々と出すマイ。一体どこに隠し持っていたんだ?

 

シルドロンはパイプから高純度エネルギーを飲む時の仕草が可愛かった。

 

今回の話は特撮雑誌『宇宙船』のライターであった古怒田健志さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。