「地上最大の怪獣 ーフォーガス登場ー」
『ウルトラマンダイナ』第6話
1997年10月11日放送(第6話)
脚本 武上純希
監督 原田昌樹
特技監督 北浦嗣巳
菌糸怪獣サタンフォーガス
身長 185cm~56m
体重 60kg~4万2千t
街の地下に本体を置いて四方10kmに菌糸を伸ばす。菌糸は人間の脳細胞に当たるので自らを「地上最大の知性」とした。菌糸を地球全体に伸ばして地球を一つの知性にまとめあげて自分の思いのままにしようとする。
アースネットからTPCのコンピューターに侵入してTPCヨーロッパ支部の防衛ミサイルでTPC本部を破壊し人類に宣戦布告しようとした。最初は人間形態で現れて進化の袋小路に入った人類ではなくさらに進化する自分に味方しろとダイナに呼びかけるが拒否され、リョウのガッツイーグルγ号で防衛ミサイルを撃ち落されると怪獣形態を見せた。
一体を破壊されても無数の怪獣形態が次々と現れるが、ダイナ・ミラクルタイプに本体を発見されてシャイニングジャッジで燃やされると宇宙に逃げようとしてダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線で倒されて完全消滅した。
人間形態は『ティガ』の「放たれた標的」のムザン星人の着ぐるみを改造している。
物語
突如として地下から巨大な植物が現れて街を覆ってしまう。
調査の結果、巨大植物の正体は巨大なキノコである事が判明するが、その時、コンピューターに謎の言葉が……。
「さよならさよならさよなら人類」。
感想
巨大な植物と言えば『Q』の「マンモスフラワー」を思い出すが冒頭のナレーションも『Q』っぽい感じになっていた。
「地球に根を張る怪獣」は『ザ☆ウル』の「地球最大の危機!!」に登場したギバルーガを思い出す。
フォーガスに襲われたガードマンが後に再登場するとは思わなかった。
フォーガスが地下から現れて巨大化していく場面はCGが使われていて時代が進んだ事で実現した映像と言う感じになっている。
ネオフロンティアの象徴として開発された移動ベース・クラーコフNF-3000が初登場。
因みにスーパーGUTSのメカはアルファベットがモデルになっているらしく、グランドームがQ、クラーコフNF-3000がX、ガッツイーグルがA、W、Yとの事。
今回はクラーコフNF-3000以外のメカ描写も充実していた。
しかし、フォーガスの進化を手助けしたのは人類が作ったアースネットで、さらに人類を破滅の危機に追いやったのも人類が作ったミサイルであった。メカはどう使われるかによって人類の最大の味方にも敵にもなってしまう。
TPCヨーロッパ支部から発射された防衛ミサイルをクラーコフNF-3000の迎撃ビーム砲で焦点を合わせてからリョウがマニュアルのガッツイーグルγ号で撃ち落すまでの流れがBGMの効果もあってかなり盛り上がった。
ヒビキ隊長に怒られて落ち込むアスカを慰めるリョウ。能力はあるが危なっかしいバカな弟と怒ると恐い優秀な姉と言った感じかな。
ここでアスカはリョウに父親の言葉を語る。
アスカが自分の父親の事を他人に話すのはかなり珍しく、「運命の光の中で」に登場した父親の知り合いを除けばリョウだけのはず。
「人間の心の中には宇宙よりも大きなものがあるんだって、誰にも無限の可能性があるんだって」と父親の言葉をリョウに語るアスカ。そこに現れたフォーガスは「進化の袋小路に入ってしまった人類の味方などやめて私に付け! 無限に菌糸を広げる私はまだまだ進化する! しかし、人間にはもう進化の余地は無いぞ!」と詰め寄る。
しかし、アスカは人間の心の中にある宇宙よりも大きなもの、つまり「光」を信じ、人類には無限の可能性がある事を信じ抜く。そしてアスカ・カズマの言葉通り、リョウは人間の心の中にある宇宙よりも大きなもので防衛ミサイルの撃墜に成功するのだった。
ところで話の最後でコウダもアスカ・カズマの言葉を語るが何故にコウダが知っている? どこかで聞いたのか? ただの偶然? これにはアスカとリョウもビックリ。
地球全体に菌糸を伸ばして地球を一つの知性にまとめようとするフォーガスの設定や人類の進化の行き先についてのアスカとフォーガスの対立は後のスフィアの話に繋がるところがある。フォーガスが地球レベルで展開した話を宇宙レベルで展開したのがスフィアと言った感じ。
スーパーGUTSの給料ではマツタケは食べられないらしい。命懸けで地球の平和を守っているのに意外と給料が高くない……。
ふと思ったのだが、TPC本部(グランドーム)ってキノコの形に見えません?