帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「死闘! ダイナVSダイナ」

「死闘! ダイナVSダイナ ーニセウルトラマンダイナ モンスアーガーⅡ グレゴール人登場ー
ウルトラマンダイナ』第31話
1998年4月11日放送(第31話)
脚本 増田貴彦
監督・特技監督 原田昌樹

 

宇宙格闘士グレゴール人
身長 55m
体重 4万7千t
ヘラクレス座M16惑星出身。
強い戦士との戦いを求めて星々を流離う宇宙の格闘者で最強の戦士と言われるダイナに挑戦する為に地球にやって来た。
関係の無い地球人との争いを避け、ダイナとの一対一の勝負を望んでニセダイナに変身するなど正々堂々としているが、一方で挑戦を断ったら新たな宇宙怪獣を呼んで挑発を続けるとして半ば強制的にアスカに挑戦を受けさせたり、なかなか倒れないダイナとそれを応援する人々に苛立ちをぶつけるなど強引で短気な一面がある。
中継カメラの役割を果たすUFOで全ての映像回線をジャックし、自分の戦いを人々に見せつける。
最後はダイナの強さの秘密が良い仲間達の存在である事に気付き、素直に負けを認めて去っていった。

 

ニセウルトラマンダイナ
身長 55m
体重 4万7千t
グレゴール人が侵略宇宙人と間違えられて地球人の攻撃を受けない為に変身した姿。
最初のモンスアーガーⅡとの戦いではフラッシュタイプに、続くダイナとの戦いではミラクルタイプに変身した。
目の周りにクマがあって爪先は尖っている。さらにミラクルタイプには黒いラインが入っているが誰も気付かない。
ソルジェント光線、ビームスライサー、バリアー等が使える。
格闘を得意としていて、ダイナ相手に余裕を見せた戦いを展開するが、人々の応援を受けて立ち上がったダイナ・ストロングタイプのクロスカウンターで仮面を破壊される。

 

破壊獣モンスアーガーⅡ
身長 67m
体重 7万3千t
グレゴール人が第4メラニー遊星で捕獲し、弱点である頭部の皿を強化改造した。
アスカに対する挑戦状と言う意味で地球に送り込まれ、ニセダイナの首折りで倒される。

 

迷子珍獣ハネジロー
身長 33cm
体重 5kg
司令室でエサを食べたり、首を傾げたり、マイと一緒にダイナを応援したりしている。
モンスアーガーを見て「あーがー」と喋る。どうやら言葉を覚え始めたようだ。

 

物語
突如現れたモンスアーガーに対してダイナに変身しようとするアスカだったが、目の前に現れた謎の男がダイナに変身して圧倒的な強さでモンスアーガーを倒してしまった。
謎の男グレゴール人の目的はダイナとの勝負だった!

 

感想
幼稚園児に話しかけ、美味そうにパンを食べ、眠くなったから昼寝をするアスカ。見事に緊張感が無い。その光景を写真に収めたカメラ少女のナツミは写真を週刊誌に送られたくなければTPCの基地を撮影させてほしいと脅してくる。
封鎖地区に進入しようとするナツミをアスカが止めようとした時、「キャー!! H!! 変態!! 痴漢!! ロリコン!!」とナツミが叫んで、それを聞いた警務局員と野次馬が皆黙ってアスカの方を見るのが笑える。
その後、アスカはナツミを建物に入れてダイナに変身しようとするが、ナツミがこっそり外に出て危うく変身を見られそうになる。
アスカはウルトラシリーズの主人公の中でもこういう生意気な子供との絡みが面白くなるキャラクターである。

 

グレゴール人の中継UFOが映像回線をジャックした時、あるアパートでゲームをしているのは北浦監督。因みにしているゲームは『ティガ』の「少女が消えた街」に登場したもの。
壁には「合成は私の命です」と言う張り紙が張られ、モズイが取り憑いている等、色々な遊びが入っている。
因みにジャックされた映像の一つは次回の「歌う探査ロボット」に登場するラブモスの情報を伝えるものであった。

 

グレゴール人は右手を掲げてニセダイナに変身する。これがウルトラシリーズ初のニセウルトラマンの変身ポーズとなる。

 

モンスアーガーを圧倒して高らかに勝利のポーズを取るニセダイナ。
ナツミによると本物のダイナはあんな強さを自慢するような戦い方はしないとの事。ファンの目は鋭い。
因みにリョウもニセダイナの違和感に気付いている感じであった。

 

グレゴール人がアスカに挑戦してくる場面はBGMの効果もあって盛り上がる。
決闘の時間が柱に太陽がかかる時と言うのが格好良い。
先に剣を落下させて立ち入り禁止区域を作らせる事で自分とダイナの戦いで死傷者が出ないようにする等、あくまで強者(ダイナ)との勝負に拘っているところが良い。その割にはキレてダイナを応援していた人々を攻撃するなど意外と短気であったが……。

 

ダイナに変身して圧倒的な強さでモンスアーガーを倒したグレゴール人に対し、アスカは自分は勝てるのだろうかと悩む。
しかし、ナツミの本物のダイナはいつも必死で一生懸命で何度倒されても諦めずに立ち向かっていくと言う話を聞いて、アスカは自分の戦い方をするしかない、当たって砕けろと迷いを振り切る。
自信過剰なイメージがあるアスカであるが、今回の話や『光の星の戦士たち』を見ると実は絶対に勝てると言う自信は持っていない事が分かる。

 

剣にかかった夕日を背に同時変身するダイナとニセダイナが格好良い。

 

ニセダイナがミラクルタイプに変身したのは対戦ゲームの2Pキャラみたいなものだろうか。
あえて両手を使わずに戦ったりとニセダイナ戦は普通の怪獣や宇宙人では見られない内容になっている。
ニセダイナ戦は柱で作られたプロレスのリングやクロスカウンターと言う懐かしの決着等、スポ魂好きにはたまらない展開になっている。

 

ニセダイナに苦戦するダイナを見て人々は呆れて野次を飛ばすが、ナツミの訴えと何度攻撃を受けても立ち上がるダイナの姿を見て次第に応援するようになっていく。
ナツミの言葉、人々とスーパーGUTSの応援、それらを受けて再び立ち上がるダイナ。
ストロングタイプにタイプチェンジして主題歌が流れる演出はベタだが最高!
こういう精神論での逆転劇は安易かもしれないが、見ている方としてはやっぱり盛り上がる。これが出来るのが『ダイナ』の良さなのかな。
今回の話は展開が『ティガ』の「悪魔の審判」に似ているので見比べると『ティガ』と『ダイナ』の違いが見えてくる。

 

素顔を見せ、敗北を認めたグレゴール人はダイナに「殺せ……」と言うが、ダイナはそれを拒む。
ダイナを応援した人々やスーパーGUTSを見たグレゴール人は良い仲間を持った事がダイナの強さの秘密である事に気付く。
グレゴール人がマントで周りの剣を消していく場面が格好良い。
今回はバトル物の王道になっているので、自分にはかなりお気に入りの話である。

 

勝利を収めたダイナは応援してくれたナツミに向かって勝利のVサイン。それを写真に収めたナツミは「カッコイイ」と呟く。
その後、アスカはリョウに怒られ、殴られ、泣きついたりとかなりカッコ悪い。
リョウが来る前のアスカとナツミは何の話をしていたのかちょっと気になる。
ナツミって、ひょっとしてダイナがアスカって気付いたのかな?

 

ニセダイナであるグレゴール人を演じたのは宮坂ひろしさん。
宮坂さんは後に『ナイス』で主人公の夢星銀河を担当し、ウルトラシリーズで唯一、「偽者のウルトラマンを演じた後、本物のウルトラマンを演じた人物」となっている。

 

今回の話は東映メタルヒーローシリーズや東宝の『ゴジラアイランド』で脚本を書いている増田貴彦さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。