帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「滅びの微笑(後編)」

「滅びの微笑(後編) ーネオジオモス ジオモス登場ー
ウルトラマンダイナ』第36話
1998年5月16日放送(第36話)
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 村石宏實

 

宇宙合成獣ジオモス
身長 56m
体重 5万8千t
大阪で破壊の限りを尽くした後、地下で脱皮し抜け殻を利用してTPC総力を大阪ベイエリア南港に誘き寄せると、その間にネオジオモスとなって大阪城に現れた。

 

超宇宙合成獣ネオジオモス
身長 68m
体重 7万9千t
ジオモスが脱皮して前よりおぞましくなった姿。
TPC総力を大阪ベイエリア南港に誘き寄せた隙に大阪城に現れた。目的はPWI研究所を破壊してコスモネット計画を妨害する事であった。
ジオモスより強力な亜空間バリアーを展開する。頭部から電流を放射し、額から赤い光弾を発する。尻尾でダイナを締め付け電流を流して苦しめた。
GUTSとスーパーGUTSの反マキシマエネルギーで亜空間バリアーを破られ、最後はダイナ・ストロングタイプのガルネイトボンバー・シューティングバージョンとGUTSとスーパーGUTSの同時攻撃で倒された。
ボディは「怪獣ゲーム」のデマゴーグ、頭部は「禁断の地上絵」のデキサドルの着ぐるみを改造している。

 

迷子珍獣ハネジロー
身長 33cm
体重 5kg
アスカやヒビキ隊長の肩に止まっていた。
リョウのパンチが迫る事をいち早く察知して見事な素早さで危険を回避した。

 

物語
ジオモスはネオジオモスにパワーアップしてコスモネット計画破壊を目論む。
GUTSとスーパーGUTSとダイナによる決戦が今始まる!

 

感想
滅びの微笑(前編)」の続き。
劇場版を皮切りにTVシリーズでも「歌う探査ロボット」から『ティガ』要素の本格的導入が行われて今回はそのクライマックスとも言える旧GUTSとスーパーGUTSの共闘が実現した。
シイナ参謀の直属の部下になっているイルマ、西アジア支部からガッツウイングEX-Jで駆けつけるムナカタ、モンスターキャッチャーを使うホリイ、ガッツウイングに乗って出撃するシンジョウと『ティガ』を見て来た人間にはたまらない展開の連続であった。
特にシンジョウとアスカが握手をして、イルマの話を経て、ムナカタに出撃命令が下されるまでの間にかかる『ティガ』のBGMが最高!
ナハラも再登場した事で『ティガ』の主要メンバーでまだ『ダイナ』に登場していないのはダイゴとヤズミだけとなった。

 

『ティガ』ではムナカタ、ホリイ、シンジョウの下の名前は出なかったが『ダイナ』ではそれぞれムナカタ・セイイチ、ホリイ・マサミ、シンジョウ・テツオと設定されている。
因みにシンジョウ・テツオの名前は金城哲夫さんに因んでいるらしい。そう言えば、二人とも沖縄出身だった。

 

窮地にパニくるナカジマと頼りがいあるホリイ。
立場、性格、体型と似た要素が多い二人だが実際に並ぶと結構違う事が分かる。
なんとなくだが大阪の舞台芸人と東京のTV芸人みたいな感じがした。

 

落ち込むアスカに声をかけるシンジョウ。
シンジョウ「どうした坊や? 昨日までの勢いは」、
アスカ「その坊やっての止めてくんないスか」、
シンジョウ「俺もルーキーの頃、よく同じ事を言ったよ。がむしゃらな奴を見るとつい昔の自分を思い出してな。悪かった」、
アスカ「俺もよくリョウに叱られます。アンタはまるで周りが見えていないって」、
シンジョウ「自分一人で戦ってちゃ勝てない相手もいるしな。お互い少し肩の力を抜いてみるか」。
握手する二人。シンジョウも大人になったもんだと思う。
前の世代であるシンジョウに対抗しようと肩に力が入っていたアスカだが、シンジョウも後の世代であるアスカに対抗しようと肩に力が入っていたのかな。

 

『ダイナ』が『ティガ』の直接の続編であるからかGUTSとスーパーGUTSはキャラクターが重ならないようになっている。
ダイゴ(思慮深く落ち着いている)とアスカ(考えるよりまず行動)、
イルマ(人類全体について語る)とヒビキ(一人一人の人生について語る)、
ムナカタ(私情を挟まずに作戦を遂行)とコウダ(情に流される事が多い)、
ホリイ(頼りがいある。意外と柔軟な考え)とナカジマ(すぐパニくる。意外と頑固)、
シンジョウ(熱いようで意外と冷静にものを見る)とカリヤ(冷静なようで意外と熱い)
レナ(任務中も感情を表に出す事が多い)とリョウ(任務中は感情を出す事は少ない)、
ヤズミ(攻撃的な部分が見え隠れする)とマイ(攻撃的な部分は一切感じない)。

 

会議でゴンドウ参謀は光の巨人についてもっと多くを知るべきだと訴えるがフカミ総監に今はその議論をしている場合じゃないと一蹴されてしまう。でも、こういう切迫した状況でなければウルトラマンについての議論なんてそうそう出来ない感じがする。
気のせいかゴンドウ参謀ってTPC内で孤立していないかな。
ゴンドウ参謀はウルトラマンの未知なる力を手に入れればTPCの防衛力は磐石になると語るが、イルマに人間自身が立ち向かわなければいけない、人が人である誇りを失えば光は二度と人類を照らさなくなり人類は超古代文明のようにまた闇の力に滅ぼされるだろうと言われる。
ウルトラシリーズではウルトラマンの力を人間が使おうとしたら手痛い事になるのだが、ウルトラマンが宇宙人とか人間以外の存在ならともかく『ティガ』と『ダイナ』では人間が本来持っている光となっているのだから、ウルトラマンの力を研究する事が人が人である誇りを失う事になるとは自分は思えないのだが……。

 

現在のイルマはシイナ参謀直属の部下として情報局の参謀になってウルトラマンに関する情報を隠蔽しているらしい。『ティガ』の「蜃気楼の怪獣」に登場したタツムラ参謀はミリタリズムに走る為に情報操作をしていたが、イルマはミリタリズムに走らない為に情報操作をしている。
イルマが掴んでいると言われているダイナについての核心的な何かは正体がアスカであると言う事だろうか。現時点ではゴンドウ参謀はダイナについて殆ど知らないようだがフカミ総監やミヤタ参謀はどこまで知っているのかな
どちらにせよ、今回の話が最終章のF計画に繋がっていく事になる。

 

シンジョウに思い出の品として万全の整備をしていたガッツウイングを見せるホリイ。
二度と着ないと思っていた隊服に袖を通してGUTSの凸凹コンビであるホリイとシンジョウがニュージーランド沖以来となる出撃をする。
ホリイはいつも仕事場に家族の写真を持っていくマイホームパパさんだった。

 

アスカが川に落としたリーフラッシャーを見付けたツグムとミライはダイナにとって凄く大切なものかもしれないとしてTV局のヘリコプターに乗せてもらって大阪へ行きアスカに渡す。この流れは『初代マン』の「怪獣殿下 前篇」「怪獣殿下 後篇」と同じ。
リーフラッシャーは光ったり暖かくなったりしてツグムとミライに色々知らせていたがリーフラッシャー自体に何らかの意思があるのだろうか?

 

ツグムとミライの言葉を信じてヘリに乗せたTV局の人。
「子供の直感は大人には分からない真実を見つめている場合もあるもんだ」は格好良い言葉だが、怪獣が暴れている場所に子供を連れて行ったあげく逃げられて、それをそのまま放っておいて怪獣を映すのはちょっと問題。もしツグムとミライに何かあったらどうするつもりだったのだろうか?

 

ツグムとミライをコスモネットで探してほしいと言うミチルの願いを「皆さんの役に立ってこそのコスモネットですから」と快諾するヒノダ。あまりにもイイ人すぎるので実は何か裏があるのかと思ったが本当のイイ人であった。
今回の話はスフィアの悪意に対して人間の登場人物は全て善人となっている。(ゴンドウ参謀はちょっと微妙だが悪人ではないだろう)

 

ジオモスに敗北してリーフラッシャーも失ってしまったアスカ。
知らぬ間に当てにするようになっていたウルトラマンの力を否定され失った事で自信を無くすがTPC総力による決戦で自分は一人で戦っているわけではない事を再確認する。

 

クラーコフから得たネオマキシマで亜空間バリアーを構成するジオモス。それなら全く同じ量の反エネルギーをぶつけたら破れるとしてホリイとシンジョウのガッツウイングとスーパーGUTSのガッツイーグルによる反マキシマエネルギーでジオモスの亜空間バリアーを破る。
しかし、ジオモスはネオジオモスにパワーアップしてより強力な亜空間バリアーを展開。そこにムナカタのガッツウイングEX-Jが駆け付け、皆の反マキシマエネルギーでネオジオモスの亜空間バリアーも破る。
前回の対ジオモス戦では亜空間バリアーを前に敗北したダイナだったが今回はGUTSとスーパーGUTSによって亜空間バリアーが破られ、最後はダイナの合図でダイナ、GUTS、スーパーGUTSによる同時攻撃でネオジオモスを倒し、皆で「ラジャー!」を交わした。

 

ダイナがストロングタイプにタイプチェンジしてネオジオモスの尻尾をちぎってからの『ULTRA HIGH』をバックにした大逆転劇が盛り上がる盛り上がる!!

 

戦いが終わった後のGUTSとスーパーGUTSが並んで帰還する場面は『ティガ』と『ダイナ』を見続けた人間には鳥肌モノ。
その後、スーパーGUTSはアスカのからかいにリョウが怒ったりといつもの光景が繰り広げられ、旧GUTSもそれぞれの場所に帰っていった。
「同じGUTSでも色々あるって事か。……だが、同じ微笑なら、滅亡より希望に限る」。

 

「神戸は大震災から立ち直った不屈の街や。怪獣ぐらいにビクともせん!」。
今回は大阪・神戸ロケと言う事で1995年に発生した阪神・淡路大震災を意識した台詞がある。

 

今回のエンディング曲は懐かしの『Brave Love,TIGA』。
前回のエンディング曲が『君だけを守りたい』で、今回の劇中で『ULTRA HIGH』が流れた事で、今回の前後編で『ティガ』と『ダイナ』のエンディング曲が全て流れた事になる。