帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「怪獣戯曲」

「怪獣戯曲 ーブンダー登場ー
ウルトラマンダイナ』第38話
1998年5月30日放送(第38話)
脚本 村井さだゆき
監督 実相寺昭雄
特技監督 佐川和夫

 

バロック怪獣ブンダー
身長 65m
体重 5万6千t
劇作家の鳴海浩也が錬金術で生み出した怪獣。
城の状態で街に降り立ち、怪獣の姿に変形して街を破壊する。
鳴海の書いた脚本の通りに動く。
鳴海が封印していた結末がアナモルフォーシスによって暴かれた事でダイナが出現し、最後は捻れた世界の中で誤って自分の腕で自分の体を突き刺して爆発してしまった。

 

物語
謎の男が「怪獣ブンダーが来る!」と叫んで気を失い、直後に巨大な城が街に降り立った。
記憶を失っていた謎の男は一年前に行方不明になった劇作家・鳴海浩也の執事兼劇団の俳優であった。

 

感想
実相寺監督作品。
『ティガ』の「」では舞台を使った演出がされていたが今回は舞台そのものをテーマにしている。怪獣を扱った舞台なので今回は怪獣作品としてのウルトラシリーズを論じた話にもなっている。

 

錬金術を研究して生命創造の謎を解き怪獣を生み出した鳴海。
怪獣を生み出した人間は結構いるが、『初代マン』の「謎の恐竜基地」のように実在した恐竜を育てて怪獣にした話もあれば『ティガ』の「」のように人間の夢から怪獣が誕生したり今回のように錬金術と言ったオカルトを駆使して怪獣を生み出した話もある。これらはそのまま「怪獣」と言う存在の何でもありさの証明でもある。

 

アスカとカリヤが鳴海の家に調査に向かう場面が漫画になっている。
鳴海役の清水紘治さんは『A』の「3億年超獣出現!」で怪奇漫画家の久里虫太郎を演じているが、そのオマージュであろうか?

 

鳴海の娘とは人形のフランシーヌであった。
人形を人間と同じように扱う話として『Qdf』の「ヒトガタ」がある。こちらも実相寺監督作品で今回の話で記憶喪失の男を演じている堀内正美さんが人形の女性に心惹かれる男性を演じている。

 

フランシーヌと一緒にちな坊もいたが、ひょっとして彼は鳴海の息子だったのかな。

 

ウルトラマンによって怪獣が倒されてしまうと言う大団円を否定する鳴海だったがその結末を完全に捨て去る事が出来ず結局はアナモルフォーシス(隠し絵)にその結末を残す事になる。
これはウルトラシリーズの話作りの難しさで、どんなに怪獣に感情移入して肩入れしても最後は究極のデウス・エクス・マキナであるウルトラマンを登場させて怪獣を倒さないと物語を終わらせる事が出来ない。裏を返せば、ウルトラマンが登場しない限りは怪獣は倒されず物語も終わらないとも言える。

 

登場したダイナが着地した瞬間に土砂が舞い上がっている。
ウルトラマンの重量がよく分かる演出で本作以降ウルトラシリーズの定番となった。