帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ジャギラの樹」

「ジャギラの樹 ーゴッドジャギラ登場ー
ウルトラマンダイナ』第40話
1998年6月13日放送(第40話)
脚本 六本木学
監督 児玉高志
特技監督 佐川和夫

 

魔樹宇宙人ジャギラ星人
身長 178cm
体重 68kg
植物学研究者の青木として過ごしていたが眼鏡を外すと本性を現す。
地球を故郷のジャギラ星と同じ植物の星にしようと街の人を遺伝子操作して200年かけて準備を整えていた。
自分の超能力と紀子の生命力があれば完全なる神ゴッドジャギラになれるとして紀子と共にジャギラの樹と同化する。
200年前に現れた旅の僧もジャギラ星人の変身した姿だったと思われる。

 

宇宙魔樹ゴッドジャギラ
身長 59m
体重 4万8千t
森野町に落下した隕石の跡から不思議な植物ジャギラが花を咲かせ、花粉を浴びた村人は魂を抜かれたような状態になる。旅の僧はそれを洗礼と語り、200年後にまたジャギラの花が咲いて、この地は楽園になると予言する。そして200年経った現在、再び花が咲いたジャギラの樹に街の人達は吸い寄せられ生命力を吸われていった。
ジャギラの樹は紀子とジャギラ星人であった青木を取り込む事で完全なる神ゴッドジャギラになるが、ナカジマの地球人探知機で紀子を救出され、最後はダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線を受けて炎上し、ジャギラ星人ごと燃え尽きた。

 

物語
大学時代の恋人だった紀子から宇宙人が集会を開いているとの通報を受けてナカジマは調査に向かう。
宇宙人探知機オマエダーで宇宙人を探そうとするが、その反応は紀子から出ていた。

 

感想
ナカジマ主役回。
太った開発担当隊員の恋が実ると言う展開が『ティガ』のホリイと重なるが、『ティガ』の「闇にさようなら」がミチル視点のドラマだったのに対して今回はナカジマ視点のドラマになっている。そう言えば「村人が操られて襲い掛かる」と言うシチュエーションもホリイとミチルの出会いとなった『ティガ』の「霧が来る」に似ている。

 

紀子とのやりとりがメチャクチャ笑える今日のナカジマ。
紀子に「ナカジマさん」と言われて「なんでそんなによそよそしいの?」と尋ね、「今でもお前の事が……」と言いかけるも大学時代にデートをすっぽかした話をされて言葉に詰まり、青木に紀子を連れて行かれると気になって神主の話が耳に入らない。
個人的に今回の話で一番笑えた場面は、
ナカジマ「あのー、さっきの植物学者。青木さん? そそそう、その人ってひょっとして、紀子のかかかか彼?」、
紀子「さぁ、どうかしらねー?」、
ナカジマ「ねぇー。なぜ否定しない!!」、
です。

 

地球外生命体いわゆる宇宙人に反応する超小型宇宙人探知機「オマエダー」。
遥かなるバオーン」に登場した「声変わり」と同じくあまりにもそのまんまなネーミング。
オマエダーはシステムを逆にすれば地球人探知機になると言うアイデアが見事であった。ダイナにも地球人反応が出たと聞いて慌てるアスカが怪しすぎ。

 

格好良いホリイと違ってナカジマはズッコケる役が多かったが自分の中に得体の知れない何かがあると不安に陥る紀子を叱咤激励する場面は名場面だった。
「よせよ……。よせぇー!! ……。例えそれが何であろうが、紀子は紀子だろう? それでいいじゃないか」。

 

人間には無いチベリリンに似た成分が検出された森野町の人々。
200年も前から街の人間を遺伝子操作していたと言う展開はウルトラシリーズではあまり無い。と言うより、ある特定の街の人間全てが事件に関わっていると言う話自体が少ない。

 

一人の女性を巡って地球人の男性と宇宙人の男性が争うと言う展開もウルトラシリーズではあまり無い。そもそも子供向け作品だからか、ウルトラシリーズではあまり三角関係を取り上げないイメージがある。(と思ったが『ティガ』の「闇へのレクイエム」がサヤカを巡るホリイとリョウスケの争いの話であった)

 

名前が似ていれば植物と言う設定も似ているジャギラと『ティガ』の「永遠の命」に登場したギジェラ。昔は名前をよく間違えたなぁ。

 

今回の話は神社を突き破って出現するジャギラ、ジャギラの攻撃を受けて田んぼに墜落するアルファS等、地方都市を舞台にした感じがよく出ていた。

 

マユミの登場はこの話が最後。
シンジョウや他の旧GUTS隊員との対面が無かったのが残念。

 

コウダ副隊長が劇中で初めて明確に「副隊長」と呼ばれている。「決断の時」から6話も経っているのだが……。

 

ゴッドジャギラが倒された事で森野町の人々にあった宇宙人反応も消滅した。それを「人間の持つ生命力が怪獣を倒したんだ」と語るヒビキ隊長。コウダ副隊長なら「ナカジマの愛が彼女を元に戻したんだ!」と真顔で言っていそうだ。
そのナカジマは紀子にプロポーズ。紀子も受け入れ、抱き合う二人。めでたしめでたし。と思いきやナカジマの一張羅が破けてしまう。それでこそナカジマだ。

 

六本木学さんは円谷プロファンクラブの会員でシリーズ構成の江藤直行さんの推薦で今回の脚本を担当する事になったらしい。