帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「ぼくたちの地球が見たい」

「ぼくたちの地球が見たい ーダイオリウス登場ー
ウルトラマンダイナ』第41話
1998年6月20日放送(第41話)
脚本 太田愛
監督・特技監督 川崎郷太

 

宇宙昆虫ダイオリウス
全長 115m
体重 6万5千t
3年前に建設中のステーションを全滅させた昆虫型怪獣。
凶暴な上に頭が良く、生き物なら何でも餌にしてしまう。
幼虫は成虫への変態時に地球の気圧の下では数秒で気化する猛毒の体液を分泌する。
触角で電波や光や音と言ったあらゆる信号に反応して、ガゼル号のSOS信号に喰い付いた。成虫は大気圏突破が出来ないのでガゼル号に3体の幼虫を植えつけて地球に送り込もうとした。全ての幼虫がカリヤ達によって倒されると用無しとなったガゼル号を破壊しようとした。光弾や電流を発してダイナと戦うが最後はダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線で倒された。

 

物語
木星衛星軌道上のステーションで生まれた第一世代の子供6人を乗せた輸送客船ガゼル号が地球へ向かっていたが、ダイオリウスが襲撃して船内に幼虫を植えつけてしまう。
地球の気圧では数秒で気化する猛毒を持つ幼虫の為、ガゼル号は地球に降りられなくなってしまう。

 

感想
遂に宇宙ステーションで生まれ育ったので地球には一度も行った事が無い子供達が登場するようになった。
ダイオリウスに襲われても意外と落ち着いていたが、騒いだところで事態の打開にはならない事を知っているのだろう。このぐらいの危機はある意味想定内と言うのもネオフロンティア時代らしいと言える。

 

漢気溢れるガゼル号の船長。多くの危険が潜んでいる宇宙を切り抜けるにはやはりこういう人でなければ!
旧式の銃が科特隊のスーパーガンと言う小ネタが嬉しかった。

 

ガゼル号の乗客と地球の人々の事を考えて決断を下していくフカミ総監。
防御衛星ユニコーンの防御ラインを突破したらガゼル号を爆破すると決定し、それを自らガゼル号に伝えるのだが、残念ながら伝える場面はカットされた。又、ガゼル号の乗客が無事に地球に降り立った時のフカミ総監が描かれなかったのも残念。
フカミ総監の心情を描いたのはこの話ぐらいだったので、その辺りも描いてほしかった。

 

ガゼル号にダイオリウスの幼虫が植えつけられた事を知ったゴンドウ参謀はユニコーンでの撃墜を提案し、「ガゼル号の乗客を見殺しには出来ない」と言うミヤタ参謀の反論にも「なら数百万単位の地球の人々を見殺しに出来るのか?」と返す。
ここはゴンドウ参謀の言い分も正しい。悪役・憎まれ役に分類されるゴンドウ参謀だが、この人は私利私欲ではなくあくまで地球防衛を考えて行動している。(ゴンドウ参謀がフォローのしようがないほど憎まれ役だったのは「チュラサの涙」くらいかな)
ミヤタ参謀の言い分は人間としては分かるところがある。このミヤタ参謀のキャラクターがゴンドウ参謀のキャラクターも引き出す形になっている。

 

アスカのような熱い想いを秘めていながら努めて冷静に指示を送るヒビキ隊長。
それが今回の話で唯一感情を出した場面をより効果的にした。
「やってみなけりゃ分からん!! ……と、思いますが」。

 

今回はアスカ達がガゼル号の子供達を助けようとする一方でダイオリウスも自分の子供である幼虫を生きたまま地球に送ろうと奮闘する話でもあった。
怪獣と言う存在は悪ではないがネオフロンティア時代で人間が宇宙に進出した結果、人間と怪獣が衝突する事になったと言う展開は「決戦! 地中都市」から何度か見られたもの。

 

「ようこそ地球」。
死闘の末、遂に地球に辿り着いたアカネ達をスーパーGUTSが出迎える。
エンディングはその後を描いているが、子供達が地球に辿り着いたと実感できる場面が無かったのは残念。今回の話は地球を知らない子供達をなんとしてでも地球に降ろさせる事だったので、大地に花の種を蒔くとかしなくても、冒頭でフカミ総監が「ガゼル号の子供達は窓から入ってくる風を感じる事も初めてだ」と語ったように窓から入る風を感じるとか、とにかく何か地球を感じる場面を入れてほしかった。

 

ネオフロンティア時代になってようやく登場したクリムゾンドラゴン。
クリムゾンドラゴンとブルートルネードは格好良いののだが登場が少なすぎる。