帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「あしなが隊長」

「あしなが隊長 ーゴルザⅡ登場ー
ウルトラマンダイナ』第43話
1998年7月4日放送(第43話)
脚本 右田昌万(原案 満留浩昌)
監督 村石宏實
特技監督 村石宏實・満留浩昌

 

超古代怪獣ゴルザⅡ
身長 62m
体重 7万t
霧門岳の地下でマグマを集めて噴火活動を引き起こした。
ネオドリルビームを受けて地上に現れると口から火炎を吐いてTPC地上部隊を壊滅させた。
ガッツディグのアトミックサンダーやダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線も通じない強敵だったが、怒りの気持ちをコントロールしたダイナのソルジェント光線を再び受けて倒された。
何者かがゴルザ細胞を蘇らせたらしく、スフィアの関連も疑われた。

 

物語
アスカに怒りの気持ちをコントロールする事を教えるヒビキ隊長。その時、霧門岳に再びゴルザが出現! ヒビキ隊長の苦い思い出が蘇る……。

 

感想
ヒビキ隊長の主役回で怪獣災害で親を亡くしたハルナや施設の子供達に色々な支援をしていた事が分かる。ウルトラシリーズでは怪獣災害を強調する事はあまり無いが今回のような話を見るとやはりいつもかなりの犠牲者が出ている事が分かる。
ウルトラシリーズの隊長は大きく分けて指揮官タイプと人生の師タイプの二つがあってヒビキ隊長は後者になる。後者のタイプは第2期ウルトラシリーズに多く見られた。

 

今回の話は剣道の場面等で妙に『帰マン』っぽいなぁと思っていたら帰ってきたウルトラマンスーツアクターだったきくち英一さんがムカイ整備班長役で出演していた。

 

今回の話は『ティガ』の「ゴルザの逆襲」の後日談でもあり、再び霧門岳に現れるゴルザ、噴火や避難の描写、ネオドリルビームやガッツディグの描写と意識された場面や展開がある。
ゴルザの逆襲」ではあえて人間ドラマが外されていたが今回はその裏にあったドラマを取り上げている。

 

12年前のヒビキ隊長はまだ警務局にいて、ティガやGUTSの不甲斐なさに怒りを覚えるとたった一人でゴルザに立ち向かうと言う無茶をしてしまう。
この時のヒビキ隊長の言動は今のアスカに似ているが、アスカと違って無茶の果てに仲間のワシヅを死なせてしまう。「新たなる光(後編)」でヒビキ隊長は無茶をしてコウダ副隊長を危うく死なせてしまうところだったアスカを厳しく叱ったが、それは若い頃の自分の失敗があったからであろう。

 

我が儘を言う子供達を説得するハルナを見てヒビキ隊長は「良いお母さんになれる」と褒めるがハルナは「自分はあしながおじさんになりたい」と答える。
ハルナの優しさが無償なのに対してヒビキ隊長のは贖罪が含まれているので、ハルナの「あしながおじさんになりたい」と言う言葉はヒビキ隊長にとっては複雑なものであった。

 

剣道で勝てないアスカは怒りを露わにするがヒビキ隊長に「怒りの下僕に成り下がったら人間の負けだ」と諭される。しかし、その後、ゴルザがムカイ班長を襲ったのを見たアスカはヒビキ隊長の忠告を無視して怒りのままダイナに変身してしまう。
怒りに支配されたダイナは苦戦を強いられるが、ヒビキ隊長の言葉を思い出して怒りの気持ちをコントロールすると更なる力を引き出してゴルザを倒す事に成功する。
アスカは『オーブ』の『オリジンサーガ』の「くるる ~眩る~」でジャグラーを厳しく注意するが、おそらくそれはミコットを殺されたジャグラーが「怒りの下僕に成り下がった」からだと思われる。

 

ダイナとゴルザの戦いはメンチを切ったりと擬人化されていたのが面白かった。
「なめるなぁ!」と言うダイナの表情が出ていてダイナ=アスカが表現されていた。

 

今回のゴルザは頭部がかなり小さくなっているが、これは満留監督がゴルザをゴジラ、次回登場のグライキスをガメラのイメージにしたから。新しいゴルザは格好良いが頭部が大きくないとあまりゴルザらしくないかな。

 

ゴルザが倒され、避難所に帰って来たヒビキ隊長達をハルナ達が待っていた。
「お帰りなさい。……私、あしながおじさんてどんな人かずっと想像しているんです。ハンサムでスタイルが良くて優しくて、それでいて勇気があって、笑顔の素敵なナイスミドルなんじゃないかって……。……ありがとう」。
過去の場面ではヒビキ隊長が自身の心を救ってくれたハルナに抱きつく構図だったが、今度はハルナがヒビキ隊長に抱きつく構図になっている。それはヒビキ隊長がハルナの心を救ってくれたから。カッコ良すぎるぜ。