「ンダモシテX ーモゲドン チャダビン星人登場ー」
『ウルトラマンダイナ』第48話
1998年8月8日放送(第48話)
脚本 右田昌万・武上純希(原案 京本政樹)
監督・特技監督 北浦嗣巳
変心宇宙人チャダビン星人
身長 180cm
体重 100kg
銀河系でも3本の指に入る凶悪宇宙人で強力な兵器を製造しては惑星や衛星を実験台に破壊を繰り返してきた。しかし、それを知るのは一部の上の人間だけで現場の人間は命のいない星で純粋に科学的実験を行っていたと思っていた。
太陽系に潜入した3人のチャダビン星人のうち2人はハヤテ隊長に始末されたが残る1人は地球でンダモシテXを設置中に地球人のムサシ・ホウサクと遭遇し、ムサシが宇宙船に触れてしまった事で機密保持機能で宇宙船が自爆してムサシを死なせてしまった。
大切な命を奪ってしまった事にショックを受けたチャダビン星人は自分の過ちを償う為にチャダビン星人の姿を捨ててムサシとして生きる事を決意する。やがて地球人の事が本当に好きになっていき、モゲドンの体内にンダモシテXがある事を知ると地球人を守る為に決死の解除作業を行った。
地底怪獣モゲドン
身長 55m
体重 5万t
地底から現れた「モグラ叩きみたいなヤツ」。
ガッツイーグルのフォーメーション・キャットトリックやダイナの猫だましに驚く。
暴れるが実はンダモシテXが喉に刺さって興奮していただけだった。
ムサシとハヤテ隊長にンダモシテXを取り除かれるとダイナによって宇宙に運ばれた。
劇中では語られていないが、いくら掘っても良い星に連れて行ってもらえたらしい。
目玉みたいな模様が印象的。
物語
丸七花火のちょっとドジだが憎めないムサシ・ホウサク。彼の正体は凶悪宇宙人チャダビン星人だった。
ハヤテ隊長はムサシを始末しようとするが……。
感想
京本政樹さんがハヤテ隊長役で再登場。さらに赤井英和さんがゲスト出演となっている。キザでカッコつけで怪しさ大爆発な京本さんとドジだが憎めないどこにでもいそうな父親の赤井さんがピッタリはまっていた。
『ダイナ』ではコスモアドベンチャー部隊と言う組織に所属しているハヤテ隊長。
あの格好でオモチャ屋にいたら通報されそう……。
ムサシの話を聞いて思うところがありながらも素直になれないのはやはり人一倍照れ屋だからか。
地球人のハヤテ隊長より宇宙人のチャダビン星人の方が普通の人間っぽいのが面白い。
チャダビン星人は表情が無いのに表情を感じられる存在だった。
ムサシとして生きる事になったチャダビン星人は今まで上の命令に何の疑問も抱いてこなかった。確かに彼自身に罪の意識は無かったかもしれないが、彼の行動で多くの命が失われたのは事実である。たとえ事実を知らなくても、いや、事実を知ろうとしなかった事も罪の一つと言える。
丸七花火は面白い人ばかりで皆キャラが立っていた。
特にムサシに惚れてるらしいOLが印象に残った。皆が日の丸のハチマキをしている中、一人だけハートマークだったのが細かい。
フォーメーション・キャットトリックでモゲドンを眠らせる時、煙の中から現れて「グンナイ♪」と麻酔弾を撃つリョウが格好良い。
麻酔弾を撃たれたモゲドンだが予想より早く目覚める。ウルトラシリーズで麻酔弾が計算通りに効く事は無いのだろうか……。
『ダイナ』の世界では怪獣事件をTVで生中継しているらしい。今回はモゲドンの体内に入るムサシとハヤテ隊長への取材も行われていたが機密保持とか無いのかな?
ムサシがモゲドンの体内に入る事を知った妻のヒサコは「何かの間違いじゃないですか? あの人は普通の人なんです」と訴えるが、それに対してコウダ副隊長は「奥さん。普通の人なんてこの世にはいません。御主人には御主人にしか出来ない特別な仕事があるんです」と答える。
ヒサコとコウダ副隊長が話をしている間、ジャンケンをしているアスカとムサシの娘ナミが微笑ましい。
ナミに「必ずパパは守ってみせるからな、ナミちゃん!」と力強く語りかけるアスカ。カズマの事を考えるとアスカのこの言葉には重いものを感じる。
ンダモシテXを無事解除し、クシャミでモゲドンから脱出できたムサシとハヤテ隊長。モゲドンも救われてメデタシメデタシとなり、妻と娘の所にムサシが帰って来る。
ナミ「早く帰ろ」、
ムサシ「すまんな。パパこれから行かないかん所があるから」、
ナミ「パパどこに行くの? いつ帰って来るの?」、
ムサシ「……」。
そこにハヤテ隊長がやって来る。
ヒサコ「パパは、子煩悩なだけが取り得の普通の人です。……」、
ハヤテ「……。一般の方を危険な目に遭わせて本当に申し訳ありませんでした」。
そう言って背を向けるハヤテ隊長をムサシが慌てて呼び止める。
ムサシ「しかしお前……」。
ムサシが喋ろうとするのをハヤテ隊長が遮る。
ハヤテ「参ったよ! またチャダビン星人逃がしちゃった……。今度は冥王星にでも行ってみるか……。ジャ!」。
そう言って去っていくハヤテ隊長をムサシ達は頭を下げて見送った。
実はチャダビン星人の設定は歴代ウルトラマンに通じるものがある。
ヒーローとして人々の賞賛を受けてきたウルトラマン達とは違った物語として今回の話は非常に興味深い。
銀河系でも3本の指に入ると言われている凶悪宇宙人のチャダビン星人だが地球にやって来たチャダビン星人は我々地球人と同じ一人の人間であった。
ウルトラシリーズでは様々な宇宙人が地球にやって来ているが、そう言った地球の敵であった宇宙人達にもこういう一人の人間としてのドラマがあったのかなと考えさせられる話であった。
オモチャ屋には円谷関係のグッズが並んでいて、前回の「さらばハネジロー」で宇宙に旅立ったハネジローのグッズも置いてあった。
最後を花火で締めるのがまさにハッピーエンドな感じでとても良かった。
今回の話でムサシ・ホウサクを演じた赤井さんは『コスモス』では春野ムサシの父親役を演じている。さすがに偶然だと思うが「ムサシ」と言う名前にちょっとビックリする。