帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「最終章Ⅰ 新たなる影」

最終章Ⅰ 新たなる影 ーゼルガノイド テラノイド ネオダランビアⅡ登場ー
ウルトラマンダイナ』第49話
1998年8月15日放送(第49話)
脚本 長谷川圭一
監督 小中和哉
特技監督 大岡新一

 

宇宙球体スフィア
全長 不明
体重 不明
「光、消エロ!」とダイナであるアスカを襲った。
オダランビアⅡを生み出すがダイナに敗れ、次に集団で火星秘密基地を襲撃してテラノイドに取り付いてゼルガノイドを生み出した。

 

合成獣オダランビアⅡ
身長 65m
体重 6万3千t
スフィアが生み出した合成獣
口から黄色い光線を吐き、亜空間バリアーを張るが、ダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線連発で倒された。
何故か前の個体より体重が軽くなっている。金属部分が無いからかな?
地面を這って進む攻撃方法が斬新だった。
新たなる光(前編)」「新たなる光(後編)」のネオダランビアの着ぐるみを改造している。

 

人造ウルトラマンテラノイド
身長 55m
体重 4万3千t
マサキ・ケイゴが解明したティガの地の巨人像の分析データを基にゴンドウ参謀が火星秘密基地で復元した石像にアスカの生体エネルギーを照射する事で完成した「人が制御できるウルトラマン」。
「人類最強の防衛兵器」と言う肩書き通り、ソルジェント光線やビームスライサーでスフィアを次々と倒していくが、エネルギー切れを起こすとスフィアに乗っ取られてゼルガノイドに変えられてしまった。

 

合成獣ゼルガノイド
身長 57m
体重 4万9千t
スフィアがテラノイドに取り付いて生み出した。
ソルジェント光線、ビームスライサー、フラッシュサイクラーでブラックバスター隊のガッツシャドーを次々と倒していく。
ゴンドウ参謀の光を得たダイナの反撃を受け、最後はダイナ・フラッシュタイプのソルジェント光線連発を受けて爆発した。

 

物語
ゴンドウ参謀率いるブラックバスター隊に捕らわれたアスカ。
ゴンドウ参謀はF計画によって人が制御できるウルトラマンを完成させようとしていた。

 

感想
『ダイナ』最初のエピソードである「新たなる光」を手掛けた脚本、監督、特技監督が再び集結した『ダイナ』最終章。
『ダイナ』のテーマに「宇宙」があるので、この最終章では意図的に地球の場面が外されていて、基地の場面を除くと、アスカとカズマの思い出の場所、グランスフィアの人類への宣告、最終決戦に向かうダイナを見送る人々以外に地球の場面が無い。

 

最終章は第1話から3年後と言う設定で火星の空は大気改造システムで青さを手に入れつつあった。
初めてダイナになった事を思い出すアスカはそこで再びスフィアと遭遇する。スフィアを撃ち落して「見たかぁー! 久々の超ファインプレー!」と喜ぶも直後にネオダランビアⅡに撃ち落されてしまうアスカ。成長していないなぁ。
スフィアがネオダランビアⅡになる場面のCGは第1話に比べて馴染んでいる。アスカと違ってスタッフはちゃんと成長していた。良かった。

 

カズマがゼロドライブ計画実験中に光の中に消えた日は一般にはカズマの「命日」とされているがアスカは父親が未知のそらへと旅立った「記念すべき日」とした。
カズマがいなくなったと言う事実は変わらないのだが、それをあえて前向きに捉えるのがアスカの『ダイナ』の強さと言える。

 

様子を見に来たリョウにアスカは父親の事を語る。
「親父は生きてる。時間とか空間とか超えたような場所で、今でも大好きなそらを飛び続けているんじゃないかって……。そしていつか、約束通り帰って来るんじゃないかって……」。
結局はカズマは帰って来なかったが逆にアスカがカズマに会いに行く事になる。ただ待っているのではなく自分から近付いていこうとするのがアスカの『ダイナ』の物語である。

 

アルファSで宇宙を飛ぶアスカにカズマの声が聞こえてくる。
「巨大な闇が迫っている……。その闇に光を照らせ。お前なら、出来るはずだ……」。
地球が闇に飲み込まれてしまうが、それらは全てアスカが見た夢であった。
アスカは「新たなる光(前編)」でも不思議な夢を見ていたが、やはりこれはウルトラマンの能力なのだろうか……?
小中監督によると『ダイナ』は『2001年宇宙の旅』のイメージがあるらしい。と言う事はカズマは最初のスター・チャイルドであるボーマン船長みたいな存在だろうか。『2001年宇宙の旅』はモノリスによって猿から人間を経てスター・チャイルドへと進化していく展開も『ダイナ』に通じるところがある。(『2001年宇宙の旅』は映画は見たが小説は読んでいないので小説ではどうなっているか分からないが)

 

8年前に永久凍結され、ヒビキ隊長ですら聞いた事も無い極秘のプロジェクトである「F計画」。それはマサキ・ケイゴが解明したティガの地の巨人像の分析データを基に石像を復元して人が制御できるウルトラマンを完成させると言うもの。
昭和のウルトラシリーズと違って『ティガ』ではウルトラマンの研究が色々と行われていたのでこういう計画が出てくるのは納得。
F計画の「F」は「FUTURE(未来)」が由来かな。
8年前にF計画が永久凍結される事になった経緯は『ティガ』の『THE FINAL ODYSSEY』で語られている。

 

警務局特殊部隊ブラックバスター隊が登場。ガッツシャドーがこんなにたくさん作られていたのには驚いた。
「最終章・完全版 ひかりへ…」ではゴンドウ参謀は危機管理に弱腰な態度しか見せない上層部を是正する為にクーデターを起こしたと語られている。孤立しているイメージがあるゴンドウ参謀だがF計画に関わっている人物は意外と多い。怪獣が出現し続けている世界なので、ゴンドウ参謀の考え方を支持する人も結構多いようだ。

 

カプセルにアスカを捕らえたゴンドウ参謀は復元したテラノイドの石像を見せて、今まで登場した怪獣や宇宙人の映像をバックに持論を展開する。
「見ろ! 人間の常識を超越したこの怪物どもを! こいつらに対しTPCの現状戦力は、無力だ……。ダイナ抜きではまともに戦う事すら出来ん! そんな軟弱な防衛力で地球を守りきれるか! 正体も分からぬ巨人に、人間の未来を任して良いのか! 断じてそんなはずは無い!!」。
ゴンドウ参謀の考えは過去のウルトラシリーズでも何度か語られている「人類はウルトラマンに助けられてばかりで良いのか?」と同じ。ウルトラマンに助けられないといけない程の無力さ。結果として、ウルトラマンは自分達を無条件で助けてくれるものだと言う盲目的な追従。そんな状態をいつまでも続けているようでは人類の未来は無かろう。だからこそ、ゴンドウ参謀は人類の未来の為にF計画を発動させた。

 

アスカがウルトラマンである事に疑問を抱くゴンドウ参謀。アスカと一緒にいた人達ならアスカの決して諦めない前向きな心に惹かれるのだろうが、アスカと一緒にいなかったゴンドウ参謀にとってアスカはいつもヘラヘラしていて命令を無視して無茶をしては毎回撃墜されている落ちこぼれのような存在だったのかもしれない。ゴンドウ参謀がアスカを捕らえてダイナではなくテラノイドを使おうとしたのは未熟で品位の欠片もない粗暴なアスカを信用できなかったのであろう。
もしダイナに変身する人物が『初代マン』のハヤタ隊員みたいな科特隊のサブリーダーも務められるほど優秀な人物だったらゴンドウ参謀の行動は変わっていた可能性がある。とりあえず問答無用で捕らえる事はしないで自分の考えを話して協力を申し出るくらいはしたと思われる。

 

ダイナとネオダランビアⅡの戦いを撮っていたブラックバスター隊。
ダイナからアスカに戻る場面を見たリョウは驚きを隠せなかったが、実はこの時にリョウ以外にも初めてダイナとアスカの変身を見た人がいる。何を隠そうアスカ自身だ。
鏡の前でこっそり変身していた事があるのならともかく、自分がウルトラマンに変身したりウルトラマンから元に戻る場面を見る機会は意外と無い。初めて自分の姿が変わる場面を見たアスカの心境はいかなるものだったのだろうか。

 

ウルトラマンは地球防衛にとって大事な戦力」と言う考察が出る事は昔からあるが実際に劇中で地球防衛の戦力としてウルトラマンを造られるのは今回が初めて。
火星を襲撃するスフィアに対してゴンドウ参謀は「我らがウルトラマンの力を見せてやる!」とテラノイドを出撃させるがあっと言う間にエネルギーを減らしてしまうとスフィアに乗っ取られてゼルガノイドとして人類に牙を剥いてしまう。
この後もウルトラシリーズにはダークザギやウルトロイドゼロと言った人造ウルトラマンが登場しているが、結局は今回のテラノイドと似た道を辿る事になるなど今回の話はウルトラシリーズにとって一つの呪いを作りだしたところがある。

 

アスカがダイナだと知っている視聴者からしたら人類がダイナに助けられる事にさほど違和感は無いのだろうが、ダイナの正体を知らなかったゴンドウ参謀からしたら正体も目的も全然分からない謎の巨人に全てを任せる事は当然出来ない。今までのダイナの行動を見ていたら信じられる存在なのは分かるが、それでもTPCが総力を挙げても倒す事が困難な怪獣や宇宙人をほぼ独力で倒す事が出来るダイナの力が人類の敵に回った場合は想定しておかなければならず、そう考えるとゴンドウ参謀が自分の思い通りに動くウルトラマンを欲したのも理解はできる。だが、悲しい事に結果としてゴンドウ参謀はダイナの力を持った敵を誕生させると言う自身が最も怖れていた事態を招いてしまう事になる。

 

ゼルガノイドに次々と倒されていくブラックバスター隊を見てゴンドウ参謀は絶望に打ちひしぐ。
ゴンドウ「無駄だ! ウルトラマンの力でしか対抗できん! しかし、ダイナはもういない……。人類は何もかも失った!」、
リョウ「失ったのは参謀、あなたの人間としての誇りよ。私は最後まで諦めない。アスカに、そう教わったから……!」、
アスカ「俺もまだ、諦めちゃいないぜ……! あの化け物は……俺が倒す!」、
ゴンドウ「無理だ。お前にはもう、ダイナになる能力は……無い」、
アスカ「そんな事は、やってみなくちゃ分からねぇ!」。
そう言ってアスカはリーフラッシャーを掲げるがダイナにはなれなかった。
リョウはアスカに逃げるよう促すがアスカの目はまだ死んでいなかった。
アスカ「さっき、リョウが言ってたじゃないか……。俺はどんな時にだって諦めないし、絶対に逃げもしない!」。
そう言って駆け出すアスカ。それを見て叫ぶリョウ。
再びリーフラッシャーを掲げた時、光が溢れ、アスカはダイナになった。
ゴンドウ「絶対にありえん……。奴にはもうエネルギーは残っていなかったはず……」、
リョウ「関係無い。アスカには、そんな事関係無い」。
ゴンドウ参謀はウルトラマンの力を求めたが、そもそもウルトラマンは力ではなく、決して諦めない心である。だから、心を持たないテラノイドはあっと言う間にエネルギーを切らしてしまい、エネルギーが残っていない状態でありながらアスカはダイナに変身する事が出来たのだ。

 

過去のウルトラシリーズではウルトラマン本人に人格があるので、誤って死なせてしまった償いとか勇敢だったところをたまたま見ていたとか、ウルトラマンがその人間を選んだ理由が本人によって説明されている。『ティガ』ではウルトラマンは力だけが残っていて人格は残っていなかったが、ウルトラマンに代わってユザレがダイゴが古代英雄戦士の末裔だと言う理由を説明している。しかし、『ダイナ』ではウルトラマンの人格は無く、理由を知っていそうなカズマも哲学的な問いかけをするだけで明確な理由を話さなかった。
「最終章・完全版 ひかりへ…」ではアスカは人並外れた光を持っているが、それは他の人間も持っているもので、特にアスカの生体エネルギーが特別なものと言うわけではないと説明されている。おそらくアスカは古代英雄戦士の末裔とかではなく普通の人間だったのだろう。しかし、決して諦めない逃げない前向きな心を持っていて、それがウルトラマンの力を掴み取ったのだと思われる。選ばれたのではなく自分から前に進む為に光を掴み取ったのがアスカだったのだ。(因みに本作のメインライターである長谷川さんが執筆した『ウルトラマンダイナ 未来へのゼロドライブ』ではダイナの光の正体について一つの答えがハッキリと語られている)

 

エネルギーが少なくて苦戦するダイナを見たリョウは自分の生体エネルギーをダイナに照射する事を思いつく。ゴンドウ参謀は普通の人間には耐えられないと反対するがリョウの意思は固かった。
ゴンドウ「こんな作戦が成功するはずがない。それでもお前は」、
リョウ「私には、アスカのような特別な力は無い。でも人間の未来を想う気持ちは……負けてないつもりよ」、
ゴンドウ「それが……光か」。
その時、火星秘密基地に大きな爆発が起き、その隙を突いてゴンドウ参謀はリョウから銃を奪う。
ゴンドウ「私もTPC参謀ゴンドウだ。地球を脅かす敵を、許すわけにはいかん!」。
ゴンドウ参謀はカプセルの中に自ら入り、駆け寄るリョウに装置の出力レベルを最大にセットしたから近付くなと叫ぶ。
ゴンドウ「……心配するな。想いの強さなら、私も負けはせん……」。
苦痛に歪みながらもリョウに向けてラジャーをするゴンドウ参謀。そして、
ゴンドウ「人間に、未来、あれっ!!」。
今まで心を犠牲にして力を追い求めたゴンドウ参謀だったが心や想いの強さを知り、そんなゴンドウ参謀の心や想いが光となってダイナに照射される。彼もまたダイナやスーパーGUTSと同じ人類の未来を想う一人の人間だったのだ。

 

ゴンドウ参謀の光を得たダイナは形勢逆転する。
ゼルガノイドはアスカのウルトラマンの力とゴンドウ参謀の野心が合わさって誕生した存在で、それをウルトラマンになったアスカの力と光になったゴンドウ参謀の心が打ち倒すと言う展開になった。
ゼルガノイドが今回のみの登場で後の話に出ない事を残念がる意見があり、自分もそう思っていた時もあったが、こう考えると、ゴンドウ参謀が登場しなくなった話にゼルガノイドを出す理由は無かったのかもしれない。(それにゼルガノイドの代わりにゴンドウ参謀の遺産の一つであるネオマキシマ砲が登場しているし)

 

ゼルガノイドと一緒に消えたアスカ。落ちていたリーフラッシャーを手に周りを見回すリョウ。
「どこ? どこにいるの? アスカァー!!」。
火星の空に響くリョウの叫び。
しかし、更なる巨大な闇が迫っていた。そして、それに対する光がまだ求められていた。
と言う事で次回「太陽系消滅」に続きます。

 

今回のエンディングはダイナと怪獣達との戦いがまるで走馬灯のように流されている。

 

『ダイナ』最終章は後に未公開シーンを付け加えた「最終章・完全版 ひかりへ…」が発売されている。
「最終章・完全版 ひかりへ…」では今回の話が2020年7月7日で「さらばハネジロー」から二週間後の話である事、アスカの火星での任務が第二期大気改造システム始動式出席の為に二度目の火星来訪をしたサワイTPC前総監の護衛であった事が語られている。又、ジャズバーでヒビキ隊長とイルマが目に見えない絆について語っている場面がある。