帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』

ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY』
2000年3月11日公開
脚本 長谷川圭一
監督・特技監督 村石宏實

 

愛憎戦士カミーラ
身長 49m
体重 3万9千t
3000万年前にティガの恋人だった闇のウルトラマン。ボディカラーはイエロー。
ユザレによってルルイエに封印されていたがTPCのF計画によって蘇った。
ダイゴに夢幻を見せて自分の元に帰ってくるよう仕向けるが拒否されてしまい殺そうとする。
闇のスパークレンスで変身し、変身後は光の鞭であるカミーラウィップや光の剣であるアイゾードを使って戦う。
ダイゴとレナの愛を前にして憎しみを募らせると超古代都市の闇と同化してデモンゾーアに変身した。
最期に自分も光が欲しかったと呟いて力尽きる。
名前の由来は女性吸血鬼の「カーミラ」かな。

 

俊敏戦士ヒュドラ
身長 57m
体重 5万2千t
3000万年前にティガの仲間だった闇のウルトラマン。ボディカラーはパープル。
残忍な性格をしている。動きが俊敏。右手にドラフォークと言う刃物を秘めている。ヒューガストと言う技を撃つ。
ティガ・トルネードと戦うが闇の力を吸収され、最後はティガ・ブラストのランバルト光弾で粉砕された。
名前の由来はクトゥルー神話の「ヒュドラ」かな。

 

剛力戦士ダーラム
身長 62m
体重 6万8千t
3000万年前にティガの仲間だった闇のウルトラマン。ボディカラーはレッド。
寡黙な性格。圧倒的な力を持つ。ファイヤマグナムと言う技を撃つ。
ティガ・ダークと戦うが闇の力を吸収され、最後はティガ・トルネードのデラシウム光流で粉砕された。
ティガの事をやたらと「マイ・フレンド」と呼んでいたが……。

 

超古代怨霊翼獣シビトゾイガー
全長 222cm
体重 111kg
ルルイエの遺跡の穴から次々と現れた。
喰った人間を支配する事が出来る。
GUTSの活躍によって遺跡の奥深くに封印された。
名前の由来は「死人」かな。

 

闇黒魔超獣デモンゾーア
全長 888m~無限大
体重 88万t
カミーラが超古代都市の闇と同化した存在。
強大な闇の力を持つが超古代都市に眠っていた光を受けたグリッターティガに敗れる。
名前の由来は「デーモン」かな。

 

物語
グリッターティガがガタノゾーアを倒してから2年。結婚を間近に控えたダイゴとレナだったが、TPCが極秘裏に進めたF計画によって超古代都市ルルイエの封印が解け、3人の闇のウルトラマンが蘇ってしまった。
ダイゴ最後の戦いが今始まる……!

 

感想
TVの放送が終了してから2年半年後に新作の劇場版が公開されると言う当時のヒーロー作品ではかなり異例の展開。こういうところに『ティガ』の人気の高さを感じる。

 

暗黒の支配者」「輝けるものたちへ」でガタノゾーアが出現した超古代都市が完全に浮上する。その名はルルイエ。当然、クトゥルー神話が元ネタ。「近付くと目眩がする島」「家系の力で危機を感じ取る」「遺跡の地下に超古代都市が広がっている」と言った要素もクトゥルー作品的である。
ただ、個人的にはクトゥルー神話を元ネタにするのは良いが「ルルイエ」と言う名前をそのまま使うのは止めてほしかった。最初からクトゥルー神話として制作された作品なら名前が使われても気にならないが「ウルトラマン」と言う既に確立されているシリーズで他の作品の名前がそのまま使われると違和感を覚える。

 

ガタノゾーアが倒されるとしばらくは平和だったらしく、ダイゴとレナはキャンピングカーで世界を旅していた。
ダイゴとレナの描写がTVシリーズより踏み込まれたものになっている。同時期に展開されていた『平成セブン』もだったが、90年代後半からウルトラシリーズの対象年齢をより幅広いものにしようと言う試みがなされていた。

 

自分に近付く謎の女性の夢にうなされるダイゴだったが心配するレナに「いや……なんでもない」と言ってしまう。「もっと高く!」の時と全然変わっていない……。
因みに結婚式の夢の場面でダイゴの苗字がマドカ(円)である事が判明している。

 

ルルイエの遺跡に眠る石像に危機感を覚えたイルマ隊長はF計画に反対し、遂には爆弾で全てを爆破しようとする。
イルマ隊長は冷静に思慮深く動く人物だったのでルルイエでの過激な言動は違和感を覚えた。クトゥルー神話の登場人物っぽい言動なのでそちらに寄せたのかもしれない。

 

影を継ぐもの」や「輝けるものたちへ」で人類によるウルトラマンの復活が試みられたがイーヴィルティガに変身したマサキ・ケイゴは暴走してしまい、ティガ復活オペレーションはガタノゾーアに妨害されてしまった。
それでもウルトラマンの力を手に入れようとする人間は後を絶たず、今回の計画が失敗に終わった後も『ダイナ』の「新たなる影」で再びF計画が進められる事になる。
結果的に『ティガ』『ダイナ』で人間がウルトラマンの力を手に入れようとして何度も失敗した事からウルトラシリーズでは人間がウルトラマンの力を手に入れてコントロールしようとするとロクな事にならないと言うイメージが出来上がる事となった。

 

今回登場したTPC調査団のサエキ隊長は『ダイナ』の最終章に登場したサエキ・レイカの兄である。

 

3人の闇のウルトラマンが復活し、遺跡の穴から無数のシビトゾイガーが現れる。
その時、気絶したイルマ隊長の体からユザレの格好をしたイルマが現れてルルイエを結界で覆う。
光を継ぐもの」でティガの石像は光のピラミッドの中に収められていたが、ひょっとして光のピラミッドはユザレの能力だったのだろうか。

 

遺跡の地下に広がる滅びた都市には崩れた石像がいくつも転がっていた。
石像とは言えウルトラマンがこんなにたくさん登場するのは当時の映像作品では希である。
数が多いからか石像の中にはTVシリーズでは出来ないようなデザインもあって中々面白い。何となく70年代から80年代の漫画に登場するオリジナルのウルトラマンを思い出す者もあった。

 

『ティガ』はこれまでのヒーロー作品に登場する敵とは違った新しいものを生み出そうとしてキリエル人やガタノゾーアを作っていたので、今回の闇のウルトラマン達がステレオタイプの敵キャラになっていたのは残念だった。もう少し『ティガ』のTVシリーズに合わせた感じにしてほしかった。

 

レナは湾岸テーマパークで昔の恋人ミューと一緒に泳いでダイゴとの結婚を報告する。
ダイゴ「昔の恋人、僕達の事を許してくれたの?」、
レナ「さぁねぇ。直接聞いてみれば?」。
そこにダイゴ目掛けてミューからボールが送られる。どうやら許してくれたらしいがボールの勢いを見ると「レナを幸せにしなかったら許さんぞ」と言う警告も入っていそう。
イルカのミューがレナの恋人だったと言うマニアックなネタをちゃんと拾ってくれたのが良かった。
こうしてレナと昔の恋人の話は終わったが、ここからダイゴと昔の恋人の話が始まる事になる。

 

少女に赤い風船を渡しているのは着ぐるみのウルトラニャン。登場するとは思っていなかったのでかなり嬉しかった。

 

ダイゴの前に現れるカミーラ。
カミーラ「会いたかったわ。ずうっと……」、
ダイゴ「お前は?」、
カミーラ「私の事忘れたの? あの女と同じね。でも、すぐに思い出すわ。すぐにね」。
確かダイゴはかつてティガに変身していた人間の遺伝子を持つ子孫だったはずで「永遠の命」でもヌークはダイゴと超古代のティガを分けて扱っていた。
しかし、カミーラはダイゴをかつてティガに変身していた人間の子孫ではなく超古代のティガと同一の存在として扱っている。ひょっとしたら、ダイゴはただの子孫ではなく超古代のティガの生まれ変わりだったのかもしれない。

 

シビトゾイガーが街を襲撃するがガタノゾーアとの戦いでスパークレンスを失ったダイゴはティガに変身する事が出来ず無力感に苛まれる。そこに「力が欲しいのね。巨人の力が……」と言うカミーラの声と共に闇のスパークレンスが現れ、ダイゴは迷いながらもそれを手にとって変身する。しかし、現れたティガはすぐに光を失うと黒い闇の巨人になってしまった。驚くティガにカミーラは「何を驚いているの? それが本当のあなた……。3000万年前、私達と一緒に世界を滅ぼした。それがダイゴ、あなたの姿なのよ」と告げる。ここに闇の巨人ティガ・ダークが復活したのであった。
ウルトラマンは『初代マン』の頃から「光の国」と言った設定があったりと全体的に光のイメージがあったのでティガは元々は闇の巨人だったと言うのは衝撃の設定であった。この後も色々なウルトラマンが登場しているが闇が始まりだったウルトラマンはかなり少なくてジードくらいしか思い浮かばない。(ベリアルやトレギアと言った闇のウルトラマンも元々は光の巨人だったとなっている)

 

闇のウルトラマンとして蘇った事に戸惑うティガ。その時、足下から少女の声が聞こえてくる。瓦礫の下敷きになって動かなくなった母親を呼ぶ少女を見たティガは優しく手を差し伸べようとするが突然耐えがたい衝動に襲われるとその拳をそのまま振り下ろしてしまう……!
ティガが光の巨人ではなかったと言う事を示す大事な場面ではあるのだが自分としてはこれはアウト。同じウルトラマンでもベリアルやトレギアのように最初から闇のウルトラマンの状態で登場したのならともかく、1年間にわたってTVで活躍した主人公ウルトラマンでは止めてほしかった。二次創作やウルトラマンをイメージした別作品でなら主人公ヒーローでこのような描写をしても構わないが本家ウルトラマンではやってほしくなかったなぁと言うのが正直な気持ち。

 

ティガが少女を殺してしまったのは全てダイゴが見た夢幻であった。
このように夢幻で精神を攻撃してくる敵は古くは『A』のヤプール、平成に入っても『ガイア』の波動生命体や『ネクサス』の溝呂木がいて、巨大な怪獣と戦う以上に主人公達を苦しめてくる。

 

ルルイエから一時撤退したGUTSは会議で状況を報告し、F計画がルルイエの石像の封印を解いたと追及されたナグモは強く反論する。
「ティガは消滅した。人類は未知なる力に対抗する力を失ったのだ。あなた方はその事を本当に理解されているのか? 光の巨人の謎を解明し絶対戦力として利用する事。それがTPC、いや人類にとって如何に急務である事か……。ティガ無き今、我々には新しい力、つまり防衛兵器としてのウルトラマンが必要なのだ。多少の犠牲を払っても我々は強くならなければならない」。
ナグモの言いたい事は分かるし間違ってはいないと思う。でも計画が失敗して多数の犠牲者が出た中でこれを言うのは単なる開き直りである。
ティガがいない状態なので多少の犠牲を払ってでも光の巨人の謎を解明しなければいけないと言っているが、ティガがいない状態でティガと同等の力を持つ敵を蘇らせてしまった事についてどう責任を取るつもりなのだろうか。今までは人間の犯した失敗をティガが尻拭いしてくれたが、ティガがいない状態では人間は自分達が犯した失敗を自分達で尻拭いしなければいけなくなった。しかし、今のナグモの発言からは失敗した場合の対処まで頭が回っていたようには思えなかった。ティガがいないと言う事を本当に理解していなかったのは他ならぬナグモ自身だったと言える。(『ダイナ』のゴンドウ参謀はまだ自分が犯した失敗の尻拭いは自分でしようとしていた。それが更なる事態の悪化を招いてしまうのだが)

 

ナグモは『ダイナ』のゴンドウ参謀に通じる位置であるがキャラクターとしてはやや弱かった。まぁ、一年かけて描写されたゴンドウ参謀と劇場版一作のみの登場であるナグモを比べるのは難しいところであるが。
ところで、ナグモの付けている奇妙な紋章の指輪が何度かアップで映されるのが妙に気になる。クトゥルー神話でこういう奇妙な紋章を身に付けている人物は実は旧支配者に関係しているので、ナグモは実は闇に関係している人物でF計画を進めて人類を自滅へと追い込もうとしていたのかもしれない。

 

カミーラがダイゴに夢幻を見せるのはダイゴをルルイエに向かわせて結界を解かせる為なのだが、かつてティガとカミーラが恋人同士だったので、男と今カノがデートしているところを元カノが嫌がらせをしているように見える。
まぁ、実際そういう意図もあるのだろう。レナの「カミーラって……、カミーラって何なの?」と言う発言は完全に彼の浮気を疑っている女性の台詞になっているし。
何となくのイメージであるが子供向けのヒーロー作品の対象年齢を上げた場合、大体が恋愛要素をメインに据えている。今回はダイゴとレナとカミーラの三角関係がそのまま光と闇の戦いに繋がっているのでヒーロー作品としてちゃんと成立したものになっているのだが、それでも「これって見ている子供達は大丈夫かな?」と不安になってしまうところはあった。

 

自分の所にやって来たダイゴにもうイルマ隊長やF計画の事を隠し通せないと覚悟したムナカタリーダーは真実を語る。
「ダイゴ、お前はもう十分に戦った……。自分を犠牲にし、いつも俺達を助けてくれた。だが、お前はもうティガではない。……人間なんだ。普通の人間として幸せを掴め……」。
そう言えばTVシリーズではティガがダイゴだと知った後のGUTSとダイゴの話は殆ど無かった。ヒーロー作品はクライマックスに戦いを設定しなければいけないので、どうしても戦いが終わった後に時間を割けないところがある。今回の映画のようなTVシリーズの後日談はそのような「戦いを終えたヒーローと周りの人々」を描く事が出来る。(さすがに戦い無しでヒーロー映画を作れないので結局は再び戦う事になるのだが)

 

ムナカタリーダーに「お前はもう普通の人間なんだ」と言われたダイゴだったがティガ・ダークの姿を思い出して悩むとユザレの映像が収められているホログラム装置に手を出す。
「ユザレ、教えてくれ。僕は見た、黒い3人の巨人を! そして僕を……!」。
装置から映し出されたのは3人の闇のウルトラマンと一緒に超古代都市を破壊するティガの姿であった。
そしてダイゴの前に3人の闇のウルトラマンが現れ、カミーラが真実を語る。
「暗い遺跡の中であなたの事だけを考えていたわ。最強の戦士でありながら私達を裏切った、あなたの事を……。3000万年前、共に強大な力を手にした仲間をあなたは閉じ込めた。あの女の口車に乗せられて……」。
ここでイルマ隊長がユザレの遺伝子を受け継いでいた事が明かされる。
TVシリーズでもユザレとイルマ隊長の両方を高樹澪さんが演じる可能性があったらしい。だが、実際にそれをしていたら第1話の時点で視聴者の関心がウルトラマンや怪獣よりイルマ隊長に向かってしまっただろうからTVシリーズのユザレは長内美耶子さんで良かったと思う。(出来れば今回の劇場版にも長内さんのユザレを出してほしかったなぁ)
因みに『ティガ』を踏襲した『トリガー』ではヒロインのユナとユザレの両方を豊田ルナさんが演じていて、ユナとユザレの秘密が一つのメインストーリーになっている。

 

「人間は愚かだが自分達の元に戻るのならダイゴだけは許してあげる」と告げるカミーラ。
ダイゴ「ふざけるな! どうしてお前達なんかと……!」、
カミーラ「愛していたから……。あなたの事、ずっと愛していたから……。そしてあなたも私を愛してくれた」。
そしてカミーラはダイゴに闇のスパークレンスを差し出す。
カミーラ「どうしたの? 早く受け取りなさい。そしてもう一度、闇の力を!」、
ダイゴ「僕は……お前達とは違う!」。
カミーラやティガ・ダークの夢幻を見せられた時は真実が一体何なのか悩んだが、真実を知った今、ダイゴは自分は闇ではないと力強く宣言する。この決断は今までの戦いがあったからこそ出来たものであろう。
ティガの恋人だったカミーラ。愛し合っていたのに他の女の口車に乗せられて自分達を封印したあげく、ようやく蘇ったら自分の事はすっかり忘れていて他の女と幸せに結婚すると言うのなら怒るのも分かる気がする。それでも「帰って来て」と言ってしまうところに惚れた弱みを感じる。
カミーラはかつて自分達を封印したユザレ=イルマ隊長には執拗な嫌がらせをしたがダイゴの今の恋人であるレナには全く手を出さなかった。眼中に無いと言う事なのかな。レナとカミーラの会話があっても面白かったかもと思うが。
このダイゴとレナとカミーラの話は漫画『デビルマン』を思い出す。闇のウルトラマンだったティガが人類の為にかつての仲間達と戦うと言う図式も似ていると言えば似ている。
TVシリーズでも恋愛話があったが、あくまで脇の話であった。しかし今回は恋愛話がメインとなり、さらにその恋愛の行方がそのまま世界の運命までも左右してしまう事となった。

 

夢でルルイエにやって来たダイゴはイルマユザレから超古代文明の真実を聞く。
進撃するゴルザ軍団(胸が赤い強化タイプ。超古代でもマグマを吸収した?)。そのゴルザ軍団と戦うウルトラマン達。そしてウルトラマン同士の戦い。
ダイゴ「最後は巨人同士が争って全てを滅ぼしたと言うのか!?」。
TVシリーズでも「光を継ぐもの」や「地の鮫」「影を継ぐもの」で巨人が複数いた事は示されていたが、まさか巨人同士が戦い争っていたとは驚いた。
超古代に何があったのかは断片的にしか語られていないが色々な情報を纏めて考察してみると、超古代に闇に襲われた人類を救う為に遥か彼方の星雲からウルトラマンと石像が地球にやって来た。しかし、ギジェラと共に生きると言う人類の選択にまで干渉しないとしてウルトラマン達は石像を残して星雲に帰ってしまった。
人類はギジェラによる滅亡を受け入れた者や地球から旅立った者もいたが闇と戦い続けようとする者もいた。そして今までの戦いからウルトラマンの秘密が解明され、人間が光になって石像と一体化した人間ウルトラマンが誕生した。
一方で闇の脅威も増してゴルザ軍団やガタノゾーアが現れ、人間ウルトラマンの中にも闇と共振した者、闇に取り込まれた者、闇を自分の支配下に置いた者と言った闇のウルトラマンが誕生していった。それがティガダークやカミーラ達で、ティガはユザレの説得を受けて再び光を取り戻すと他の闇のウルトラマン達を封印していった。そしてガタノゾーアを初めとする闇との決戦に挑むが敗れてしまい人類も一度滅んでしまった。
劇中で明かされた情報を矛盾無く繋げるとしたらこんなところだろうか。

 

イルマユザレは3人の闇のウルトラマンが蘇った時に結界でルルイエを百年封印したが、ダイゴが再び闇の力を手にした時に結界は解かれると説明し、自分はどうすれば良いのかと尋ねるダイゴに「ダイゴ、あなたは……光であり人である……。答えは自分自身で出さなくてはならない」と告げる。
ここでのイルマユザレの答えは『ダイナ』の「太陽系消滅」でダイゴがアスカに語った内容とほぼ同じ。あの時のダイゴはこのような経験を踏まえてあの答えに至っていたのかと思うと感慨深いものがある。
ところでユザレが3000万年間封印していたのに対してイルマユザレの封印が百年しか続かないのは世代を経るごとに能力が弱まっていっていると言う事なのだろうか。

 

目を覚ましたダイゴの隣にはレナがいた。
ダイゴ「ごめん、レナ……。心配かけて……」、
レナ「行くんだね? また一人きりで……」、
ダイゴ「イルマ隊長は生きている。だから僕は迎えに行って来る」、
レナ「どうして……? どうしてダイゴだけが苦しまなくちゃいけないの? やっと……、やっと普通の人間に戻れたのに……」、
ダイゴ「僕は人間だから、逃げるわけにはいかないんだ」、
レナ「待って。……帰って来るよね? ダイゴ、私達結婚するんだよね?」、
ダイゴ「当たり前だろ? レナは待っててくれ」。
レナは闇のスパークレンスを渡し、ダイゴはそれを受け取るのだった。
この場面、ちょっとと言うか、かなり違和感がある。
自分はレナは待つのではなく一緒に行くキャラクターだと思っていた。
あと、どうして皆で行こうと言う発想が無くてダイゴ一人で行くと言う発想になるのだろうか。「輝けるものたちへ」でダイゴは自分一人で戦うのではなく皆と一緒に戦う事を知ったと思うのだが……。(脚本家で考えると今回のダイゴとレナの物語は「拝啓ウルトラマン様」に近く、最終回を経た後で見ると違和感を覚えるところがある)

 

GUTSの隊服に着替え、闇のスパークレンスを胸にガッツウイングに向かうダイゴ。
そう言えばダイゴはエースパイロットではないのでTVシリーズでダイゴの格好良い出撃場面はあまり無かった気がする。

 

部屋でダイゴが選んだウェディングドレスを見つめるレナ。しかし、レナが選んだのはダイゴと同じGUTSの隊服だった。そして、いよいよ出撃するGUTSの前にレナがやって来る。
レナ「私……もう二度と戦うつもりは無かった……。でも、今行かないと絶対に後悔する。そんなの嫌だから」。
服の選択でその人物が戦う決断を下した事を描けるのは特別チームがあるウルトラシリーズならではであった。

 

GUTSの作戦変更を許可するサワイ総監とそれを知って喜ぶナハラ参謀。そこにヨシオカ長官が勝てるかどうか尋ねてくる。
ヨシオカ長官の問いに「勝つさ。私はいつだってそう信じてきた」と答えるサワイ総監。『ダイナ』の「明日へ…」で部下を信じるのが総監の役目だとフカミ総監に語ったのはこれを踏まえての事だったのかな。

 

アートデッセイ号の発信シーンは何度見ても盛り上がる。
「開発中の宇宙型新造艦に比べれば見劣りはするがまだ十分に戦えるはずだ。改良も加えたしね」と言うヤオ博士と「我々には最高の船です」と返すムナカタリーダーが良い。因みにここで語られる宇宙型新造艦とは『ダイナ』のクラーコフの事らしい。
レナに「結婚式を楽しみに待っている」と告げるヤオ博士。スノーホワイト絡みでレナの事を可愛い娘みたいに思っていた節がある。初登場時の嫌な感じがなんとも懐かしい。

 

ルルイエにやって来たダイゴをカミーラ達が出迎えるがダイゴの気持ちは既に固まっていた。「たとえ人の心から闇が消える事が無くても僕は信じる……! 人間は……自分自身で光になれるんだ!!」。
闇のスパークレンスを掲げてティガ・ダークに変身するダイゴ。この時のダイゴの変身ポーズが色気があって滅茶苦茶良い。

 

ダイゴの頬をさすって語りかけてくるカミーラは『ガイア』の「悪夢の第四楽章」での稲森博士を思い出す。今回の話はダイゴを藤宮、レナを玲子、カミーラを稲森博士にすると殆ど同じ構図になる。他にも「精神を攻める」「異世界で戦う」「ウルトラマン同士の戦い」があると共通点が多く、『ティガ』の続編と言うより「悪夢の第四楽章」の『ティガ』版と言った方が理解しやすいのかもしれない。

 

ティガ・ダークの出現によってイルマユザレの張った結界が解け、ルルイエの闇が全世界を覆っていく。
広がる闇を見て驚く研究室チーフ時代のナカジマと女子中学生(!)時代のマイ。
ダーラムとヒュドラは変身し、カミーラは「ダイゴ、あなたのおかげで結界は消滅した。さぁ、私達と共にこの地球に恐怖と絶望を!」と呼びかけるがダイゴは力強く答える。「言ったはずだ! 僕はお前達とは違う! 僕はお前達を……倒す!」。
こうしてダイゴのウルトラマンとしての最後の戦いが始まるのであった。

 

ルルイエに到着したアートデッセイ号に向けてシビトゾイガーを差し向けるカミーラ。シビトゾイガーもゾイガーより『ガイア』に登場したドビシに近い感じだったかな。
GUTSの危機に援護に現れた謎の練習機。それは養成機関の教官だったヒビキであった。
「ヨシオカ長官の命令で出撃しました。まだ訓練中の若人達ですがここは任せてください!」。
そう言えばヒビキはヨシオカ長官派だった。
「サポート……感謝します!」と答えるムナカタリーダー。実は『ダイナ』の「滅亡の微笑(後編)」では援護に現れたムナカタリーダーにヒビキ隊長が同じ事を言っている。
「GUTS隊の前だ! みっともない戦いはするな!」と熱いコウダ。
「リョウ、しくじるなよ」と今日も一言多いカリヤ。
「それはこっちの言うセリフよ」と勝気なリョウ。
「各機、弾と根性が続く限り撃ちまくれぇ!!」とのヒビキの命令に「ラジャー!」と答えるコウダ達。スーパーGUTSは昔から熱かった! この後のGUTSの敬礼に「ラジャー!」で返すのも嬉しかった。

 

戦う決意を見せたティガ・ダークに対してカミーラは「たった一人きりで何が出来ると言うの」と語り、ヒュドラは倒そうと動くが、普段は寡黙なダーラムが珍しく自分から出てくる。
ダーラムはヒュドラを制するとティガ・ダークを捕らえて異世界海底遺跡へ。ティガ・ダークは素早さで撹乱しようとするが圧倒的な力を持つダーラムに苦戦を強いられる。
ダーラム「闇の力を半端にしか使えぬ哀れな奴……。お前は……俺の手で葬ってやる……。グッバイ……、ディア・マイ・フレンド……!」。
海底に埋まったティガに向けてダーラムはファイヤマグナムを発するがダーラムの技を受けたティガ・ダークはダーラムの闇を光に変えて力の戦士ティガ・トルネードへ変身し、デラシウム光流でダーラムを粉砕するのだった。
3000万年前と同じ展開になった事に驚くカミーラ。て、3000万年前に同じ展開があったのなら何か対策を考えれば良いのに……。ところでティガがタイプチェンジ出来るのはやはり「光を継ぐもの」で破壊された2体の石像の力を吸収したからなのかな。
ダーラムはティガを「マイ・フレンド」と呼んでいて超古代のティガとは仲が良かった雰囲気があったので和解無く倒されてしまったのはちょっと可哀相だった。

 

海底遺跡から脱出したティガ・トルネードを今度はヒュドラ異世界の宇宙空間へと引きずり込む。戦いの舞台が異世界なのは後の『ネクサス』のメタ・フィールドを思い出す。
ヒュドラはドラフォークを駆使して素早い攻撃でティガ・トルネードを追い詰めるが、ヒュドラのヒューガストを受けたティガ・トルネードは力と素早さを兼ね備えたティガ・ブラストに変身してランバルト光弾でヒュドラを粉砕する。
おいおい、ほんの数分前にダーラムが犯した過ちをなぜ繰り返す? 素直にドラフォークで斬りつければ良かったのに……。
ところでダーラムもヒュドラも普通の怪獣と同じように光線を受けて爆発してしまった。闇とは言え一応はウルトラマンなのに哀れな最期だ……。

 

地下の超古代都市にやって来たティガ・ブラストをカミーラが迎える。
カミーラ「遂に来てくれたのね。私達が愛し合ったこの場所へ。残念だわ。今は殺し合うしかない!」。
そう言って自分用の闇のスパークレンスで変身するとカミーラはカミーラウィップと言う光の鞭でティガ・ブラストを攻撃する。鞭が似合いすぎる!
カミーラ「3000万年前もそうだった。ユザレの口車に乗り、私達を裏切り、あなたはそうやって光の力を手に入れた! ダーラムのパワー! ヒュドラの俊敏さ! そして、私の闇を奪い取って!」。
光の鞭を光の剣アイゾードへと変えるカミーラ。
カミーラ「なぜ闇の力を否定する? それが人間の本質だと言うのに!」。
ティガ・ブラストに止めを刺そうとするカミーラだったが、そこにダイゴの危機を感じたレナが現れてティガ・ブラストを助ける。
レナ「ダイゴを……死なせない!」。
ティガ・ブラストが怒りのカミーラからをレナを守った時、光の戦士ウルトラマンティガが復活する。
カミーラ「そんな女の為に! 3000万年前はユザレ! そして今は……!? ……でも、これで何もかもが吹っ切れたわ。思う存分……お前を……殺せる……!」。
本作のテーマは「光と闇」「希望と絶望」「愛と憎しみ」。
「愛と憎しみ」は人間が持つ感情で表裏一体となっているもの。それをレナとカミーラで表しているのであろう。カミーラの憎しみで生まれた闇のウルトラマンがレナの愛で光のウルトラマンとして蘇ると言う構図はなるほどであるが、ウルトラシリーズは主人公の恋愛が世界の命運を左右する事があまり無いので、ティガを巡る恋愛のもつれで世界の命運が左右されているのはウルトラシリーズっぽくないなぁと感じるところもある。

 

今回登場した3人の闇のウルトラマンはかなり人間的であった。
元々『ティガ』は人間が光を得てウルトラマンになると言う設定なのでウルトラマンとは言え中身は人間である。だから、ウルトラマンが人間と同じ感情で行動する事は当然で今回の3人の闇のウルトラマンはその証明と言える。
人間が光を得てウルトラマンになれても人間自身の意識や考え方が変わらなければウルトラマンの光も銃や爆弾と言った強力な兵器と同じになってしまう。実際、ウルトラマン同士が争った超古代の世界は銃や爆弾で人間同士が争う今の世界と何ら変わっていなかった。

 

憎しみに身を任せたカミーラは超古代都市に眠る闇と同化してデモンゾーアへと変身する。これはカミーラの憎しみと闇が共振した結果か、憎しみに駆られたカミーラが闇に取り込まれたか、闇すらも従えるカミーラの恐ろしさか……。
デモンゾーアは常に変化し続けているのが闇っぽくて良い。こういうのはCGならではと感じる。

 

デモンゾーアの攻撃を受けて倒れるウルトラマンティガ
シンジョウ「立てぇー!! ダイゴォー!!」、
イルマ「立つのよ、ダイゴ。立って!」、
レナ「ダイゴ、約束したよね。だから私達の未来の為に立ち上がって……。ダイゴ、お願い!」。
その声を聞いてウルトラマンティガは再び立ち上がる。
ダイゴ「僕には守るものがある。そして、何より大切な人が!」。
ダイゴのその言葉にデモンゾーアからカミーラが姿を現して「勝手な事を……!」と呟く。
ウルトラマンティガはゼペリオン光線を撃つがデモンゾーアの闇には効かず吹き飛ばされてしまう。カラータイマーが消えるウルトラマンティガ。その時、超古代都市に眠る石像から光が溢れる。人間の心には闇もあるが光もある。当然、ここに眠っていたのも闇だけではなく光もあった。超古代都市の光を受けてウルトラマンティガはグリッターティガに変身する。
今回のダイゴは「人間は自分自身の力で光になれる」の言葉の通り、かつては闇のウルトラマンだったとしても光になれる事を信じて戦い、そして本当に光になった。

 

今回は人間の心の中の光と闇の化身としてグリッターティガとデモンゾーアが対になっている。闇のウルトラマンが登場したが最終的に「光=ウルトラマン 闇=怪獣」の構図に戻った。
グリッターティガとデモンゾーアの最終決戦。デモンゾーアの闇の力もグリッターティガには通じず、触手でグリッターティガを取り込もうとするが光は闇を吹き飛ばすのであった。
デモンゾーアは光を飲み込みたかったのか得たかったのか……。それはカミーラにしか分からない。崩れ落ちる超古代都市の中、ダイゴに手を握られてカミーラは最後に呟く。
「ひか……り……。私も……欲しかった……」。

 

最後に光を発した石像達。これはかつてティガと共に戦った光の巨人か、それともカミーラと共に戦った闇の巨人が3000万年の間に考えを改めて闇から光になったか。その真実は明かされる事無く、謎を残したままルルイエは沈み姿を消した。

 

デモンゾーアが倒され、崩れるルルイエ。
レナは結婚式を挙げる予定の教会でダイゴが帰って来るのを待つ。
そこに森の光の中から教会に向かってダイゴが駆けてくる。
ダイゴ「ただいま……」、
レナ「お帰り……」。
そして二人はキスを交わすのであった。
今回の映画は大人も視野に入れた恋愛映画と銘打たれていて、子供向けとは思えない濃厚なキスシーン等にそれが表れている。恋愛要素をメインにするのは一つの方向性としてアリだと思うが、それなら劇中で皆があれほど楽しみにしていたダイゴとレナの結婚式を描かないのは理解に苦しむ。今回の映画のゴール地点はそこだと思うのだが……。

 

1年後、火星移住計画チーム出発の日。GUTSの皆に見送られて火星に旅立つダイゴとレナ。火星に植物をと言うのが今の二人の夢らしい。う~ん。なんか唐突に出てきた夢だなぁ。冒頭でダイゴとレナが世界中を旅している時に植物についての話を振っていても良かったと思う。

 

通路を歩くダイゴ。一人の作業員の姿が眼に止まる。
ダイゴに気が付いた作業員は帽子を取って会釈する。
ダイゴはすれ違い様に作業員に「頑張れよ、後輩」と声をかける。
そう、彼こそアスカ・シン。新たなる光を得る者であった。

 

今回の劇場版は『ティガ』の続編なのだが、その雰囲気はTVシリーズの頃とは大きく違っていて、どちらかと言うと脚本の長谷川さんが『ガイア』で手掛けたアグル編に近い。『ティガ』の後に『ダイナ』と『ガイア』を経た以上、もうあの頃の『ティガ』を作る事は不可能なのだろう。どんなに頑張ってあの頃の『ティガ』を作ろうとしても『ダイナ』と『ガイア』を経た上での『ティガ』が出来上がる。ウルトラシリーズは常に変化しているのだ。