帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

『ウルトラマンティガ外伝 古代に蘇る巨人』

ウルトラマンティガ外伝 古代に蘇る巨人』
2001年1月25日発売
脚本 山本優(原案 村石宏實)
監督・特技監督 村石宏實

 

遮光器土偶魔神ドグーフ
身長 54m
体重 8万t
ドグラマグラが呼び寄せた闇の魔神でドグラマグラの呪術で操られる。
眼から強力な光を発する。世界を闇に覆う。
ツバサが変身したティガを倒すが、アムイが変身した光の巨人のデラシウム光流で倒された。
以前にも光の巨人と戦った事があったらしい。
名前の由来は「土偶」かな。

 

時空飛来怪獣ジョーモノイド
身長 30m
体重 3万2千t
2038年に起きた時空軸の混乱と共に出現し、そのままツバサと一緒に縄文時代に飛ばされた。ドグラマグラが未来から呼び寄せた闇の怪獣らしく、ドグラマグラやダイダラの呪術で操られる。
ダイダラの呪術で炎を吐く。
ツバサが変身したティガを相手に一時退却するが再び現れた時は光のピラミッドを破壊した。最後はツバサが変身したティガ・マルチタイプのゼペリオン光線で倒された。
名前の由来は「縄文」かな。

 

古代怪竜クラヤミノオロチ
全長 18m
体重 1万5千t
光の巨人が眠る山よりずっとにある遺跡に棲む怪獣。
遺跡の神器である伝説のヤミナギノツルギを体内に飲み込んでいた。
マホロバによって倒された。
名前の由来は「ヤマタノオロチ」かな。
『ガイア』のミズノエノリュウの着ぐるみを改造している。

 

物語
ネオスーパーGUTSの訓練生マドカ・ツバサは謎の怪獣と一緒に時空の穴に飲み込まれて縄文時代に飛ばされてしまう。
そこには光の巨人の伝説と闇の魔神復活を企む一派が存在していた。

 

感想
平成三部作のオリジナルビデオシリーズ第1弾。
発売された三作のコンセプトはそれぞれ違っていて、放送時代から見て『ティガ』は過去、『ダイナ』は現在、『ガイア』は未来の話を取り扱っている。

 

今回の舞台は現在から5000年程昔の闇の魔神を倒した光の巨人が消えた山の麓にある村。
雰囲気は縄文時代だが、空を飛んだり念弾を発する人間がいたり『水戸黄門』のかげろうお銀みたいな格好をした人間がいたりする。村石監督によると綿密な時代考証はあえてしないで何でもありな世界観にしたとの事。漫画等である「もしも『ティガ』『ダイナ』の設定とキャラで縄文時代のお話をしたら?」と言った感じ。

 

今回の見所の一つに『ティガ』『ダイナ』の役者が演じた縄文時代の人々がある。
オサがサワイ総監、イザレの巫女がイルマ隊長、オロロンがムナカタリーダー、ナニワがホリイ、トウヤがマユミ、ツバクロがコウダ副隊長、トビタカがカリヤ、カザハヤがナカジマで、他にもモリヒトとデクが『ガイア』の志摩と大河原を演じた役者さんとなっている。
又、ダイダラがマサキ・ケイゴでオロッチがイーヴィルティガを演じた中村浩二さんとイーヴィルティガの変身前と変身後がコンビを組んでいたり、エジリ博士がドグラマグラで「友金敏雄さん、一体何があったの?」と言いたくなるほどの怪演を見せている。

 

地上が闇の魔神達の暴れるままになっていた頃、いずこからか光の巨人が現れて闇の魔神と激しい戦いを繰り広げた。そして闇の魔神を倒して地上に光を取り戻した光の巨人は使命を果たして山々の奥に消えたと言う光の巨人の伝説。
超古代から現代まで3000万年もの年月が流れているのだから、その間に何度か光の巨人が現れていても不思議は無い。
今回は『ティガ』と言うより『日本昔話』に近い雰囲気になっている。特に山々に消えていく光の巨人の姿は『日本昔話』で語られる神や鬼を思わせるものがあった。

 

光の巨人が眠る山よりずっと北にある遺跡で女剣士マホロバはクラヤミノオロチと言う怪獣を倒すとクラヤミノオロチの体内から遺跡の神器である伝説のヤミナギノツルギを手に入れ、さらにヤミナギノツルギが発する光に導かれて青銅のスパークレンスを見付ける。
この展開はヒーロー作品と言うよりゲームのRPGに近くて今までのウルトラシリーズに無い雰囲気で新鮮だった。

 

今回のもう一つの舞台が新たなる組織ネオスーパーGUTSが活躍している2038年。
『ティガ』の舞台であった2007年から30年以上の時間が経過していて、今回は登場していないがイルマ隊長は67歳と定年を過ぎている。

 

ネオスーパーGUTSの訓練生であるマドカ・ツバサはダイゴの息子。ウルトラシリーズでかつての主人公の子供が登場するのは珍しく、その主人公の子供が変身するのはツバサしかいない。これは『ダイナ』も含めて30年もの歴史を設定出来た『ティガ』だから出来た事で、ウルトラシリーズに限らず特撮作品全般を見渡してもあまり例が無い。因みに「マドカ・ツバサ」と言う名前はダイゴ役の長野さんが命名したとの事。
ツバサは17歳と言う史上最年少でウルトラマンに変身する(南夕子以来(!)の10代での変身)が、その記録は数分後にあっさりとアムイに塗り替えられてしまう。

 

ツバサはアルファS5号での卒業訓練飛行中にジョーモノイドと遭遇して縄文時代に飛ばされてしまう。
ツバサは自分が飲み込まれた時空の穴はワームホールだと考える。ワームホールは別の宇宙に繋がっている可能性があるので、ツバサが飛ばされた縄文時代は『ティガ』『ダイナ』とは別の宇宙だった可能性もある。(そう考えるとトンデモ縄文時代になっているのも説明が付く)

 

ダイダラはドグラマグラと似た仮面を付けると呪術で空中浮遊を披露する。ひょっとしたら、ドグラマグラ、ダイダラ、オロッチの3人は普通の人間が仮面を付ける事で闇の力を得た存在なのかもしれない。もしそうなら、人間の能力を超えた人間が敵として登場するのはウルトラシリーズでは珍しい。

 

ダイダラに操られて村に向かうジョーモノイド。縄文時代らしく、防人達は砦を作り、落とし穴や投石や弓矢や槍で立ち向かう。今までの対怪獣戦とは違った戦いになっていて面白い。
ジョーモノイドやクラヤミノオロチは人間との戦いを想定して他の怪獣より小さめの設定になっているが、ビルのような大きさが分かる建物が今回無いのでその小ささがイマイチ分かり難かったのが惜しかった。

 

防人達が戦っている間に村人達は山に避難するがアムイは自分も戦おうとする。
トウヤ「あなたはまだ子供よ!」、
アムイ「今日から大人になるんだ!」。
そう言ってアムイがツバサと一緒に戦いに行くのは少年が主人公の冒険作品の王道展開で、このままジョーモノイドを倒した後、アムイがツバサと一緒に旅に出て行く先々で様々な出会いや戦いを経てクライマックスで生き別れの父親と再会してもおかしくはない。

 

オロッチは見た目通りの怪力系でちょっとマヌケ。
オロッチが倒されたダイダラは「よくも可愛いオロッチを……!」と怒りを露わにする。バカなオロッチを見下しているのかと思いきや熱い友情があった。

 

村にやって来たマホロバはヤミナギノツルギを使って生身でジョーモノイドと戦う。
その戦いの中、ツバサはマホロバが持って来ていた青銅のスパークレンスを見付ける。
ツバサ「母から聞いたスパークレンスに似ている。父ダイゴが巨人になったと言うあれか!? あの怪獣は僕が連れて来たんだ。なれるものなら……!」。
そう言ってツバサは青銅のスパークレンスを掲げてティガに変身する。
ここでのティガの戦いは初変身らしい初々しさがよく出ていた。

 

「怪獣が現れた時、光の巨人が現れる」と言う予言が真になったと語るイザレの巫女だがツバサは自分の力ではあれが精一杯だったと弱音を吐く。
ツバサ「僕の父マドカ・ダイゴはかつて光の意思を継ぐ者でした。だけど父はかつて巨人でいるより人間でいたいと願った事がある。その迷いが今、僕の中で戦っているんだと思う。巨人になりきれない。それは僕が父の記憶遺伝子を継いでいるからだ」。
待て待て待て。縄文時代の人間にその説明は理解できるのか?
とにかくツバサの遺伝子では完全に光の巨人になれないらしい。『ティガ』『ダイナ』では人間が進化したら光になれると言う話があったが、それと共に人間が今あるままの状態で頑張っていこうと言う話も数多くあった。ひょっとしたら、人間の遺伝子は光に進化するよりこのまま人間でいる事を選択したのかもしれない。

 

ツバサはマホロバに変身してみたらと尋ねるが、マホロバはただの狩人である自分にそんな力は無いとあっさり断る。
とりあえず試してみても良かったと思う。もし変身できたら物凄く強い光の巨人になれそうだ。

 

イザレの巫女は「光の巨人を蘇らせるのはこの里におる者と予言されている」と語り、その話を聞いたアムイはティグルーの存在を語る。
ティグルー。それは人間の力を超えた能力を持つ者達で、空を飛び、獣より速く走れる超能力者達との事。マジかよ。凄いな、縄文時代

 

ティグルーは毎年この時期になると特別な力を磨く為に秘境に入って修行しているらしい。ティグルー同士なら離れていても会話が出来るが、それ以外の者が村に呼び戻す手立ては無い。しかし、次の瞬間、ティグルーが乗るアメノトブトリの音が村に響く。ただならぬ気配を感じてティグルーが戻って来たのだ!
どこぞのトンデモ忍者作品かよ!と思うようなティグルーの格好。本当に本作は縄文時代が舞台と書いて良いのか不安になってくる……。
因みにティグルーは3人以外にもいるが修行中に遭難してしまい全員脱出できたが村の危険を感じて動ける3人が先に帰って来たらしい。ダイダラやオロッチがティグルーの存在を知らなかった事からドグラマグラの妨害とかではなさそう。と言う事は闇とか無関係に自分達の修行で危うく全滅しかけていたのか……。特別な力を磨くと言ってそれで全滅していたらシャレにならないぞ。

 

マホロバとティグルーによってダイダラとオロッチが倒されるが、そこにドグラマグラが闇の魔神ドグーフを連れて襲来する。
闇の魔神が来た事を知ったツバサは青銅のスパークレンスを見つめて決意する。
ツバサ「僕はもう一度巨人になってみる。命を惜しんでいる暇は無い。迷いを振り切れるかどうか分からないがやれるだけやってみるさ!」。
そこにやって来たイザレの巫女は謎の頭飾りをアムイに付ける。
イザレ「ティグの紋章がアムイの覚醒を手助けするだろう。今、私は確信する。アムイこそ真の光の意思を継ぐ者だと」。
ドグラマグラ達が闇に関する道具を色々持っていたので、それに対する光に関する道具があってもおかしくはない。現代にそう言った道具が殆ど出てこなかったのは3000万年と言う長い年月の間に紛失したのかな。

 

山を破壊して隠されていた光のピラミッドを発見するジョーモノイド。光のピラミッドの中にはちゃんとティガと2体の巨人の石像があった。懐かしい。
ツバサはティガの石像とシンクロしながら変身するがドグーフとジョーモノイドに囲まれて1対2の戦いを強いられてしまう。
因みにツバサが変身したティガは不完全らしく小さいのだが、これもビルのような大きさが分かる建物が無いのでその小ささが分かり難かったのが残念。

 

ツバサがティガに変身したのに呼応するかのようにアムイのティグの紋章が光る。
一方のティガは再びカラータイマーが点滅し体が消滅していく。なんとかゼペリオン光線でジョーモノイドを倒すもドグーフに倒され再び消滅してしまう。
そこにアムイがやって来て青銅のスパークレンスを手にする。ティガの石像とシンクロするティグの紋章。そしてアムイはティガに変身する!
気のせいか、アムイが変身したティガは顔が丸っぽい感じがする。子供のアムイに合わせたのかな。

 

今度は完全に変身できたらしく光の巨人はドグーフに負けない大きさになっていた。ドグーフの光線をスカイタイプでかわすとスピードを生かした空中飛行で翻弄し、隙を突かれて地中に埋められても止めを刺そうとするドグーフをパワータイプで押し返す。
久々のトリプルチェンジだが、どうして出来たのかと言う疑問が生じる。
自分は「光を継ぐもの」で破壊された2体の石像の力がティガに宿った事でトリプルチェンジが出来るようになったと解釈していたが……。
考えられるとしたら、
①ダイゴの記憶遺伝子を継いだツバサが先に変身していたので、アムイはツバサ経由でダイゴの記憶遺伝子が持っていたトリプルチェンジを使えた。
②近くにティガを始め3体の石像があるので、ティグの紋章でティガの石像だけでなく他の2体の石像ともシンクロして、その2体の能力も使えた。
③『THE FINAL ODYSSEY』を見るとティガのトリプルチェンジは2体の石像ではなく超古代にダーラムやヒュドラの力を得たものだった可能性が有り、そうだとしたら、この時代でもティガはトリプルチェンジが可能となる。
と言ったところかな。

 

ドグーフは闇の魔神でありながら光を使った技が多いのが意外だった。
ドグーフの強烈な光に苦しむ光の巨人だったが、マホロバがヤミナギノツルギで術を無効化するとデラシウム光流でドグラマグラごとドグーフを粉砕するのだった。
ガタノゾーア戦もだったがティガは強敵とはパワータイプで戦う事が多い。

 

戦いが終わった後、ツバサはマホロバに対して初めて会った時からの気持ちを伝える。
ツバサ「マホロバ。あんたとは初めて会った気がしない」。
それは口説き文句だぞ。
マホロバ「俺もだ」。
笑顔で答えると言う事は気があると言う事かな?
ツバサ「姉さんとそっくりだ」。
マホロバ「冗談はよせ! 怒るぞ。誰が信用するものか」。
既に怒っているマホロバ。しかしツバサはそれに全然気付かず、いつも肌身離さず持っているペンダントを見せる。そこにはツバサの姉ヒカリの写真が収められていた。
マホロバ「お前は……俺の子孫なのか?」、
ツバサ「多分ね」。
親子とはまた違うがマホロバとツバサに血の繋がりがあった事が判明した事で二人の恋愛の可能性は無くなってしまった。
ところでマホロバがツバサの先祖だとしたら、やはりティガに変身できたのではと思えるのだが、この頃はまだ女性が単独で変身して主役を務めるのは難しい時代だったのだろう。(ダイゴの子供として既にヒカリがいるのにいきなりツバサが出てきたのも同じ理由かも)

 

闇の魔神が消滅して世界に再び光が戻り、村人達は帰って来たアムイを真の勇者として称える。そしてマホロバは新たな旅に出て、ツバサもアムイの「ずっとここにいてくれるよね?」と言う言葉に「そうもいかない。自分にも待っている家族がいる」と答える。
「鳥(アルファS5号)はもう治らないから戻れないのでは?」と尋ねるアムイにツバサは「蘇らせてみせるよ。あの山の巨人のようにね」と答える。そしてある日、アムイは崖に突き刺さっていた鳥(アルファS5号)がいなくなっている事に気付いた。

 

「遥か後になって、この里は「ティガの里」と命名される事になる。ティガの里の遠い記憶はこれから数十世紀に渡り人々に知られる事は無かった」。
今回は「外伝」と銘打たれている事もあって本編との繋がりは薄いが、第1話以来殆ど触れられなかった光のピラミッドを取り上げた事で「光を継ぐもの」から始まった『ティガ』『ダイナ』の物語が本作によって再び第1話に戻る形になっている。

 

エンディングではメイキングシーンが流されている。
エンディング曲はProject DMMの『鼓動 ~for TIGA~』。
本作は後に未公開シーンを加えた完全版が発売されている。

 

本作は山本優さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。