「怪獣千夜一夜物語(後編)「1500万人の餌」」
『ウルトラQ倶楽部』第14話
2004年1月11日放送(第14話)
脚本 上原正三
演出 飯島敏宏
ひとめぼれ怪獣ヒメ
号令で蜃気楼の中から怪獣軍団を呼び寄せた。
一平の説得を受けて怪獣軍団と共に姿を消した。と思われたが……。
暴君怪獣ステーキング
キバマンモスと共に地上を制した怪獣。
原始象怪獣キバマンモス
ステーキングと共に地上を制した怪獣
水棲怪獣タマラン
巨大なアザラシを思わせる怪獣。
川を制して人々が東京から逃げ出せないようにした。
名前の由来はアザラシの「タマちゃん」かな。
海怪獣タコヤング
海を制して人々が東京から逃げ出せないようにした。
名前の由来は「タコ」かな。
毒蛇怪獣ハブギラス
体長が100mもあり、一度に1000人をたいあげられるらしい。
地下鉄に逃げ込んだ人々を追い立てる為に送り込まれた。
名前の由来は「ハブ」かな。
モンスター星人
宇宙船から地球の様子を監視していた謎の宇宙人。その目的は……。
物語
怪獣に占拠された東京から人々は逃げ出そうとするが怪獣軍団に行く手を阻まれて安住の地を完全に失ってしまう。
意を決した一平はヒメを説得。やがてヒメと怪獣軍団は姿を消した。果たして地球は救われたのだろうか?
感想
「怪獣千夜一夜物語(前編)「ひとめぼれ」」の続き。
怪獣が次々と現れたので人々は東京を捨てて地方への疎開を始める。自分だけは助かろうと言う気持ちから混乱が生じルールやマナーが失われていく様はウルトラシリーズでは意外と触れられない人間の暗部を見せていた。
地下鉄に逃げ込もうとしたら待ち構えていた怪獣に狙われる場面はかなりショッキング。このシチュエーションは洋画のモンスターパニック映画ではよく見られるがウルトラシリーズでは無かった気がする。今回は言葉と音のみのラジオドラマであったがこれを映像作品で表現していたらシリーズ屈指のトラウマシーンになっていたかもしれない。
ヒメによって車ごと東京タワーの頂上に連れ去られた一平は種が違うと遺伝子配列も違って愛し合う事が出来ないと説得を試みる。事実ではあるが、モロボシ・ダンとアンヌ隊員とかには聞かせられない内容だ。
怪獣が人間を逃がさないようにしながらも実際にはまだ人間を襲っていない事から一平は説得を続ける事にし、何故か怪獣同士が共食いを始める中、一平の説得を聞き入れたと思われるヒメは怪獣軍団を率いて姿を消した。
一平の説得が成功したかと思われたが、その時、地球を離れる宇宙船があった。宇宙船にはカプセルに納められた冬眠状態の怪獣達を見るモンスター星人が乗っていた。
地球は良い餌場になると思われたが検体に選んだ一平の体から水銀とダイオキシンが検出された事からモンスター星人は人間が汚染され過ぎている太陽系第三惑星は怪獣牧場には向かないと判断したのだった。
怪獣同士が共食いを始めたのは人間が汚染されていたので食べられる餌が無かったから、ヒメが一平を車ごと東京タワーの頂上に連れ去ったのは宇宙から検体を検査しやすい為であった。つまり、ヒメが一平に一目惚れしたと言うのは人間の勝手な勘違いであった。地球で一平が地球を救った英雄気取りしている中、モンスター星人は怪獣の餌場にもならない地球を後にするのであった。
この大どんでん返しと考えたらかなり怖い皮肉は全ウルトラシリーズでも屈指。こういう結末を用意出来るのはターゲットが子供ではないからなのかな。