帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「らくがき」

「らくがき」
ウルトラQ dark fantasy』第2話
2004年4月13日放送(第2話)
脚本 武井彩
監督 服部光則

 

落書き宇宙人ジラフ星人
ある街に落書きをしていた謎の宇宙人。落書きの場面を目撃した加代子の周りに出現するようになる。他にもミステリーサークル等に関わっているらしい。
落書きをしていた理由は不明だが剛一達は地球が自分達のテリトリーである事を証明する為ではないかと推理した。
名前の由来は「落書き」の英語である「graffiti」かな。

 

物語
藤野加代子は夫に無理を言って高級住宅街に念願のマイホームを建てたが実際は汚れきっていた街の姿に日々苛立ちを募らせていく。
ある日、公園の落書きを消していた加代子は不思議な落書きを見付ける。

 

感想
今回の話からゲスト中心の話になる。他のウルトラシリーズでは怪獣や宇宙人が超常現象を象徴する存在となっていたが『Qdf』ではゲストの人間がその役割を担っている。結果として『初代マン』以降は少なくなっていた「アンバランス・ゾーンに陥った人間の恐怖」を再び描く事になった。
今回のゲストである宝生舞さんの神経質で心が追い詰められていく主婦の演技が見事であった。

 

宇宙人の落書きを加代子以外は誰も目撃できなかった事から自分の思い通りの生活を送れなかった加代子が思い込みで宇宙人を作り出したのかと思いきや加代子が見た落書きと同じ形のミステリーサークルが発見された事で加代子の訴えが正しかったのかもしれないとなる。
実を言うと、この時点でも加代子の訴えが正しいかどうかはまだ分からなかったりする。と言うのも加代子がTV等でミステリーサークルを見てそれと同じ模様が自分の周りにも現れたと思い込んでいた可能性があるのだ。
終盤、精神科医の診察を受けた加代子は自分が病気だった事を認めるが、ラストで医者達が加代子の赤血球に模様が付けられているのを発見。血液に落書きをすると言う人間を超えた存在でなければ出来ない事が第三者によって発見された事で加代子が訴えていた宇宙人の話が正しかった事がようやく証明される。
だが、時既に遅く、加代子は自分が病気である事を認めていたのではなく、宇宙人に狙われた自分はもう助からないと諦めていて、そのまま十年前に失踪した一家と同じように姿を消してしまった。果たして、加代子と同じく宇宙人の謎を追っていた剛一はこのまま無事でいられるのだろうか……。

 

今回の話は武井彩さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作となっている。

 

今回の話は梅津裕一さんによってノベライズされている。