帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「レンズ越しの恋」

「レンズ越しの恋」
ウルトラQ dark fantasy』第19話
2004年8月10日放送(第19話)
脚本 小林雄次
監督 服部光則

 

物語
矢島写真館の息子・忠は店を継ぐか写真家になるかで悩んでいて大学でもフラフラとした毎日を送っていた。
ある日、屋根裏部屋で見付けた祖父の形見のカメラを覗くとレンズ越しに一人の少女の姿が……。

 

感想
エンディングナレーションでも語られているように自分はこういう話は「たまんない」と感じるタイプなので後半の展開は結構感動して見た。ただ、冷静に振り返ると矛盾点が色々あったのが気になる。
まずは「カメラ恋慕症」って何なんだ?と言う事。こういう作品なので恋したカメラがかつての映像を留めていたと言うのはアリなのだが、その場合、ビデオやDVDの録画のように決められた映像しか見る事が出来ないはずなのに劇中では過去の世界と繋がっているとなっていた。
又、忠が少女に東京大空襲の事を教えた為に歴史が変わって忠本人が生まれなくなるかもしれないと言う歴史改変の話が出ていたが、この場合も忠本人が歴史から消失したら少女に東京大空襲の事を教える人物がいなくなると言う「親殺しのパラドックス」が生じるはず。
他にも少女から忠はどう見えていたのかも気になる。劇中の描写を見る限り、いきなりカメラを覗いた忠が現れて誰かに話しかけられたら消えてしまうと言う不自然極まりない状況になっているはず。
今回の話は中途半端に量子物理学を持ち出さずに「不思議なカメラがあった」で話を進めた方が余計な疑問点が出なくて良かったと思う。

 

量子物理学云々の話を外すと自分の行く末を決められずフラフラとしていて祖母に頼まれた遺影の撮影にも踏み切れなかった青年が祖父の形見をきっかけに一人の少女と出会った事で自分の弱さと向き合って成長し祖母の遺影を撮る決断をするまでが描かれていて、最後に少女の正体が祖母だと判明して摩訶不思議な一人の人生を感動的に締めていて面白かった。
演出面でも同じ場所だが過去と現在と言う違う時間軸にいる忠と少女を光や色の使い方で効果的に表現していた。

 

8月第2週と言う事でウルトラシリーズでは久し振りに戦争を扱った話。
今回の話が放送された時点で第二次世界大戦終結して約60年になっている。体験者の高齢化が進んで戦争体験者と非体験者を繋ぐ物語を作るのが難しくなったが今回のように時間軸の操作が出来る特撮作品には21世紀における戦争を伝える作品の一つの形があるような気がする。

 

今回の話は小林雄次さんのウルトラシリーズ脚本デビュー作と服部監督の現時点でのウルトラシリーズ監督最終作となっている。