帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「右365度の世界 ~ALICE in the 365 degree world~」

「右365度の世界 ~ALICE in the 365 degree world~
ウルトラQ dark fantasy』第23話
2004年9月7日放送(第23話)
脚本 村井さだゆき
監督 八木毅

 

物語
「僕は、僕の世界へ行くよ 右365度の世界へ」。

 

感想
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を使いながら『ガイア』並みに量子力学の用語が出てくる話。内容は自己がまだ不安定な10代の若者が自分と言う存在や世界との関わりについて考え込んでいくと言うもので、この「心理学やSFの難しい用語がバンバン出てくる」「若者が自分と言う存在や自分と社会の関わりについて思い悩み考え込む」「限られた人々の決断がそのまま世界の存亡を決める事になる」と言った要素は2000年前後に流行した「セカイ系」に多く見られたものであった。(世代的なのもあるがBGMで『新世紀エヴァンゲリオン』を思い出した)

 

今回は渡来教授の講座の受講生が話の主人公だったので剛一や涼とは少し違った視点からの渡来教授が見られた。
剛一や涼は専門家ではないので渡来教授も素人の二人に分かるように話をしていたが今回は講義なので渡来教授も受講生はある程度の知識は持っている前提で話をしている。
少しずつ受講生が減っていくのは寂しそうであったが、自分の考えを理解出来る人に語っている時の渡来教授は他の話では見られない嬉しさが出ていた。

 

「怪獣退治のため 休講 渡来」の張り紙はウルトラシリーズ数あれど渡来教授にしか出来ないであろう面白い言い回しであった。
この張り紙一枚で怪獣が出現する『Qdf』の世界観と渡来教授の特異性が表現されている。

 

CG等を使って表現された「右365度の世界」はかつて日本のTVに特撮技術を本格導入する事を一つの目的としていた『Q』のテーマを汲んでいると言える。

 

「今の人間社会に適合出来なかった人達が生きられる世界」と言うのは『Q』の「あけてくれ!」を思い出すものであった。

 

「君は、君の世界にいる?」。