帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「MEMORIES」

Episode10 MEMORIES」
ULTRASEVEN X』第10話
2007年12月7日放送(第10話)
脚本 小林雄次
監督 小中和哉

 

物語
隕石が落下した能朱湖は解析不能放射線の為に周囲が封鎖される事になった。しかし、市民ネットワークに所属していたハイバラはそれを政府による情報操作である事を突き止める。
ハイバラの遺志を継いで謎を追うジンはこの世界の恐るべき真実を知ってしまう。

 

感想
最終三部作突入。
なんとジンがセブンXに変身せず敵の怪獣やエイリアンも登場しない。
回想シーンは除いてウルトラマンが登場しなかったウルトラマンシリーズは今回の話が初めて。

 

隕石が落下したと言う能朱湖に向かったジンはそこでハイバラと出会って情報チップを託される。
ここでジンは政府が情報を操作して真実を隠蔽している事、その謎を突き止めようとする者は政府によって処分されている事を知り、政府が情報操作した事件の中に「DREAM」で自分が巻き込まれたビル爆発事件や「TRAVELER」でエレアが握っていたAQUA PROJECTが含まれていた事を知って行動を開始する。

 

放送を管轄している政府のメイン機関である情報局に乗り込んだジンはハイバラと同じ市民ネットワークに所属しているサキから情報提供を受ける。
それにしても政府が怪しいと気付いていながら情報局に正面から乗り込み、人がいる所で市民ネットワークの名前を出して話をするジンはかなり軽率。
今までのジンは政府の側から調査・監視していた立場だったので、自分が政府に調査・監視されると言う発想には至らなかったのかもしれない。

 

政府のインフォメーションを作っていると噂された情報局のスタジオXであったが、それすら単なる中継地点に過ぎず、情報の発信源を探ったジンはエレアがいる森林地帯の廃墟ビルへと誘導されてしまう。
新聞、ラジオ、TV、インターネットと新しいツールが登場する度に情報化社会は発展していったが、あまりに大きく複雑になった結果、情報のスタート地点を目にする事が難しくなった。こう言った社会の変化を物語に取り入れられるのがSFの面白さの一つ。情報を武器に世界を支配するグラキエスはこの時代ならではの新しい敵であった。

 

DEUSによってエレアは科学省の職員だったが3ヶ月前に事故で死亡していると発表される。この事からケイとエスはジンが会っていたエレアは擬態していたエイリアンだと考える。
ジンの訴えも二人には信じてもらえなかったのだが、それならハイバラの情報チップを見せれば良かったのにと思う。エレアに関しては確かに信じさせるだけの証拠は無いが政府が情報操作している証拠はハイバラの件で十分だと思うのだが……。

 

政府モニターが実は監視カメラだったと言うアイデアが見事。
情報を発信する装置が実は情報を収集する装置でもあったと言う発想が面白かった。
今やTV、パソコン、スマホ等、様々なモニターがあるが、もしそのモニターが全て自分を監視するカメラだったと考えたらかなり怖い。

 

いよいよメインの謎に斬り込んだ回だがイマイチ盛り上がりに欠ける話であった。
政府やエレアと言った今のジンにとって大切なものへの信用が一気に崩れる話なのだが、ハイバラがジンに情報チップを託してサキがジンを信用して一緒に危険を冒したり、政府によってジンとエレアが離れ離れになってしまうと言った展開がちょっと強引で不自然であった。
『SEVEN X』は深夜作品で視聴する年齢層も従来より高めに設定していると思われるので強引で不自然な展開は出来るだけ無くしてほしかった。

 

と言う事で次回「AQUA PROJECT」に続きます。