帰ってきたウルトラ38番目の弟

ウルトラシリーズについて色々と書いていくブログです。

「宇宙から来たビジネスマン」

「宇宙から来たビジネスマン」
ネオ・ウルトラQ』第3話
2013年1月26日放送(第3話)
脚本 いながききよたか・山本あかり
監督 入江悠

 

宇宙ビジネスマンヴァルカヌス星人
身長 170cm
体重 100kg
地球とは美醜の感覚が異なるヴァルカヌス星からやって来た。その目的はビジネスでヴァルカヌス星の価値基準で「美しいもの」を持つ人間と契約を交わしてヴァルカヌス星へ連れ帰ろうとした。
あくまで契約とルールに則って行動し、自分の星の善悪の基準に照らし合わせて判断する。
モデルの美樹も契約に基づいて連れ帰ろうとしたが絵美子達の交換条件を聞き入れて解放する。しかし、美樹本人が望んだので最終的にはヴァルカヌス星へ連れて帰った。
相手に渡していた名刺には「羽屋丈二」と言う名前が記されていた。
名前の由来はローマ神話の火の神「ヴァルカン」から。ヴァルカンはギリシア神話に登場する醜い容姿を持つ神「ヘパイストス」に当たる。ヘパイストスの妻が美の神「アフロディテ」なので、ラストシーンのヴァルカヌス星人と美樹の場面はヘパイストスとアフロディテなのかもしれない。

 

物語
消息を絶ったモデルの美樹の足取りを追った絵美子達はヴァルカヌス星から来たビジネスマンの所へと辿り着く。
あくまで契約に基づいて行動するヴァルカヌス星人から美樹を解放するべく絵美子は新たな契約を提案する。

 

感想
人間と同じ姿をしていながら人間とは異なる価値観を持つ宇宙人を通して人間を描いた話。
ヴァルカヌス星人は地球人が動物を売買するように自分達は地球人を売買しているとして人間を売り買いしてはいけないと言う地球人の価値観を根底から覆した。
とは言え、地球人も同じ人間を色々な目的で売り買いしているのでヴァルカヌス星人のやっている事は地球人の一面とも言える。

 

あくまで契約に則って行動するヴァルカヌス星人のキャラクターが興味深い。
契約が結ばれた折にはパーティーも開いてしまうのは今までの宇宙人には無い描写で面白かった。
ヴァルカヌス星人は嘘偽りは言わず、あくまで信用を重んじていたが、対する地球人は絵美子が約束を守れなかったり、結婚詐欺師が登場したり、美樹が表面上と心の底では違う事を考えていたりとどうにも信用できなかった。

 

ヴァルカヌス星人が使う美しさを計る機械を分析した屋島教授は地球人も負けてはいられないとして人間から負のエネルギーを吸収する装置や時間を遡って磁場から負のエネルギーを吸収する装置を次々と開発する。
う~ん……。どうして屋島教授がいきなりこんな凄い物を作れるんだろう?
『Q』の一の谷博士や『初代マン』のイデ隊員はそう言うのをいきなり作れても違和感の無い描写が行われていたが今回の屋島教授は唐突で不自然だった。

 

負のエネルギーを吸収された結婚詐欺師は罪悪感に押し潰されて自殺寸前まで追いつめられてしまう。
人間は生きていく中で多少なりとも嘘を吐いたり小さな罪を犯したりしている。その時に罪悪感に押し潰されない為にも多少の負のエネルギーは必要なのかもしれない。
今回の話は『平成セブン』の「太陽の背信」や『ダイナ』の「平和の星」に通じるところがある。

 

絵美子は美樹を助ける為に他の人間を差し出そうとしたり、負のエネルギーを集める為に結婚詐欺師は死んでも良いと言い放つ等、主人公の一人としてそれはどうなのだろうか……と首を傾げる言動をしている。
視聴者に対してまだロクに紹介をしていない状態で今回の話をしてしまったので彼女のイメージはかなり悪いところから始まってしまった。
そう言えば正平も「クオ・ヴァディス」で感情的と言うかヒステリックになっていてあまり良いイメージが無かった。
本作は主人公3人の話を最初にしっかりとやっていなかったからか、どうにも感情移入しにくくなってしまった。

 

絵美子や正平と比べると南風原はその脆さ等が第1話から描かれていたので感情移入しやすくなっている。
南風原の負のエネルギーを計ったら意外と高かったが、一体、何の負の感情が出ていたのだろう?

 

ヴァルカヌス星人が美しいと感じる人間の負の感情。それは「嫉妬」「怒り」「劣等感」と言ったもので、ウルトラシリーズなら「マイナスエネルギー」に属するものと思われる。
『ネオ・Q』は宗教関連の話が多いのでキリスト教の「七つの大罪」が関わっているのかもしれない。

 

最終的に美樹は自分の意思でヴァルカヌス星に旅立つ。
美樹の現状を考えたらこれは当然の選択。美樹は顔の事で辛い人生を歩んで自殺寸前だったが美しい顔を手に入れられて人生が変わった。元の醜い顔に戻って地球で生きるか美しい顔でヴァルカヌス星で見世物になるかと問われたら美樹は後者を選ぶであろう。
絵美子は随分と美樹に肩入れしていたが実は美樹の心情を考えずに行動していた単なる自己満足に過ぎなかった。

 

今回の話は山本あかりさんと入江悠さんのウルトラシリーズデビュー作となっている。